「大学は楽しすぎる」と言う阪本さんは、自身の体験が原点となって、幼稚園教諭を目指しています。課題の多い授業がたくさんある上、片道2時間かかる遠距離通学ですが、高校時代の部活で培った体力や精神力で上手に時間をやりくりし、学園祭の実行委員としても活躍しています。2年次以降は、幼稚園や保育園でのボランティア、保育実習、教育実習など、実践的な学びが目白押し。アクティブな阪本さんが、さらに精力的に動き回ります。

08 遊びのプロとしての役割

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阪本:先生の研究テーマって何ですか?
 
川北:もともとは児童文学とか絵本とか紙芝居なんですけど、今は子育て支援の場での絵本の活用についてとか、病院に長期入院している子どもたちの保育について関心をもっています。保育士の仕事としては難しいところだと思うので、いくつか病院を見学させてもらったりしながら、どんな難しさがあるのかとか、絵本やおもちゃは、しんどい状況にいる子どもたちにどのように活用できるのか、っていうことを考えてます。
お医者さんとか看護師さんって、本当に忙しいので、苦い薬でも飲まさなきゃいけないものはさっさと飲ませる。でもそこに保育士が入ると、なんでその薬を飲まなきゃいけないのかってことをじっくり話しながら子どもと関われるでしょ。ぬいぐるみを使ってお医者さんごっこをしながらとかね。そういう役割を保育士が担えるわけ。病気の子どもはそもそも遊ぶっていうことをしてこなかったから、病気の子の遊ぶ権利を奪わないように、遊びのプロとして病院に入ったりするんです。
 
阪本:そういうのは、医学の知識は必要なんですか?
 
川北:医療行為はしないですけど、ある程度薬を見たらわかるとか、説明する程度は知ってないといけないですよね。アメリカでは、チャイルドライフスペシャリストっていうのもあるらしいし、イギリスではホスピタルプレイスペシャリストっていう職種があります。あとはドクターとか、病気の子の親とも話をしないといけないから、精神的にもしっかりしてないとできない仕事かなって思います。
子育て支援は、大谷大学では京都市北区と連携して、0歳児さんとその親を募集して、学内で過ごしてもらったり、保育園や幼稚園と連携してお散歩がてら遊びに来てもらったりしています。そこでどういう絵本とかおもちゃを用意したらいいのかっていうことに関心があります。子育て支援の日は、2年生に「今日はどこどこの保育園の子どもたちが来るから、手伝いに行ける人ー?」って聞くと、みんな手を挙げて行ってくれるんです。来年はぜひ手を挙げてね。
 
阪本:はい。2年生になるとやれることも増えるから楽しみです。
 
川北:実は2年生はもっと大変な課題があってね。1年間で絵本を100冊読んで、100枚の絵本カードを作る。手遊びのカードを、楽譜も入れて30枚作る。それと、教員が8人いるんやけど、それぞれが選んだ本を読まないといけない。
 
阪本:それは、難しい本なんですか?
 
川北:児童文学を選んだ先生もいるし、厚い本を選んだ先生もいますよ。今の学生さんはあんまり本を読まない人も多いから、多分それが一番苦労してはるんじゃないかな。あと、障害のある大人の施設に行く機会がないので、障害者施設でボランティアを1日やってくるっていう課題も出ますから、それもがんばってね。

PROFILEプロフィール

  • 川北 典子

    教育学部 教育学科 教授



    京都府生まれ。1985年京都女子大学大学院家政学研究科児童学専攻修了。龍谷大学短期大学部社会福祉科講師、関西保育福祉専門学校講師、平安女学院大学短期大学部教授を経て、2018年大谷大学教育学部教授。
    研究内容については、次の2つ。
    (1)関西圏の児童文化財について、主に明治以降の歴史を辿り、現代の子どもの文化に活かす方法を考えてきた。具体的には、絵本・児童文学・玩具・紙芝居・人形劇を研究領域としている。
    (2)絵本や玩具等の児童文化財を有効的に活用した子育て支援学の構築を考えている。子どもや若者も含めて、現在支援される人々が、今後支援する側に廻っていけるような循環型の支援の仕組みをつくっていきたいと思っている。



  • 幼稚園が楽しすぎたという自身の体験が原点となり、幼稚園教諭を目指している。大谷大学を選んだのは、オープンキャンパスで先輩の話が聞けたことが一番の決め手。先生と距離が近く相談しやすい環境であること、少人数で一人ひとりのことを見てくれることなどを教えてもらった。
    課題の多い授業がたくさんある上、片道2時間かかる遠距離通学だが、高校時代の部活で培った体力や精神力で上手に時間をやりくりし、アクティブに活躍している。