大学の歴史

開校の辞

初代学長 清沢満之(1863~1903年)

1901(明治34)年10月13日 移転開校式において
『我が信念-清沢満之のことば』p.76

初代学長 清沢満之


 本日は、当真宗大学新築移転の式を挙ぐるに際し、広く朝野の諸氏の御高来を忝うし、ここに盛大なる式典を行うを得たるは、洵に私共の光栄と存じます。
 ついては本学は今日ここに始めて開設したのではなく、元京都にありましたのを此処に移して校舎のみ新たに建築したものであります。

 その概略は真宗大学要覧について御覧下された通りであります。唯そのだいたいについて申し上げますることは、本学は他の学校とは異なりまして宗教学校なること、ことに仏教の中において浄土真宗の学場であります。即ち、我々が信奉する本願他力の宗義に基づきまして、我々において最大事件なる自己の信念の確立の上に、その信仰を他に伝える、即ち自信教人信の誠を尽すべき人物を養成するのが、本学の特質であります。しかして本学は予科二年本科三年と分れて、都合五箇年の修業でひとまず卒業するのであります。

 さらに進んで攻究すべき人物を特に選抜して研究院に入れ、三年乃至五年をもってその業を卒わるのであります。またその科目に至りては、一派における宗学と、及び他の諸宗の教義の学と、最も本学に直接の関係を有する所の須要なる世間の学科とを教授いたします。もちろん今日の有様では完全ではありませぬけれども、冀はくば仏祖の冥祐の下に、外は広く内外諸士の賛助を得、内は教職員生徒一同に力を協せ、本学の目的を達したきことであります。