コロナによる活動制限のために、例年に比べて現場に出るのが遅かった坪田さんは、現在、それを取り戻すかのように充実した実習体験を重ねています。保育園、幼稚園、助産院など、多様な保育の場に赴いて、授業で習ったことを目の前で体感し、足りなかったことに気づき、反省をして次の機会に生かすという学びのサイクルを上手に活用しています。子どもと保護者に安心してもらえる保育ができるよう、着実に力をつけています。

01 「コロナの時代の学生だから仕方ない」にはしたくない

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川北:コロナ禍で始まった大学生活ももう3年目。早いね。
 
坪田:はい。1年生のときは最初から不安しかなかったです。授業のこともよくわからないし、友達もできるかなと思ってて。
 
川北:大学生活が始まるのを楽しみにしてたのに、今の3年生は出だしからオンライン授業だったよね。私たちも慣れなかったけど、どうでした?
 
坪田:動画を見るだけより、やっぱり対面で授業を聞いた方が頭にも入りやすいし、実践活動もオンラインじゃできないし、対面の方が楽しく学ぶことができるので、オンライン授業は大変でした。
 
川北:私たち教員にとっても、学生によって理解度が違うなっていうのもつかみにくいし、オンライン授業では、絵本と紙芝居の違いって見せられへんのよね。「絵本は見えにくいので、紙芝居の方が良いですよ」っていう話も、画面で見たら一緒やしね。入学してから2カ月くらい経って、演習的な授業だけは対面でできるようになっても、マスクしてたらなかなか顔も覚えられないし、本当に人と人を分断するウイルスやなって思いましたね。
 
このコロナ禍では、短大だったら2年間ずっとオンライン授業で終わってしまうところもあって、その場合は実習を1回もやってないのに就職しなければいけなかったりするんですよ。大学生活って、当たり前だと思ってるけど、ちょっと何かがあったら崩れていくんやなって思いました。大谷大学でもたった半年のオンライン期間やったけど、キャンパスに学生が誰もいないのは寂しかった。だから、ちょっとずつ学生が戻ってきて、ワイワイ言ってるのを見たら、ものすごく嬉しかった。あの気持ちは忘れられないな。
そんな中で、できないことはいっぱいあるけど、その代わりに幼教の学生たちがどんな力をつけたらいいんやろうっていうのを、私たちなりに考えて、乳幼児用のおもちゃを作ってもらったんですよね。どんな工夫をしたら子どもたちにとって良いのかって考えながら。保育の仕事って臨機応変な力も問われるし。スタートはそんなふうだったけど、今の学生たちが社会に出て働きだしたときに、「コロナの時代の学生だから仕方ないね」って言われるのは理不尽やし、そんなことには絶対させたくないので、ちゃんと取り戻しつつ、4年間満足して社会に出て行ってもらいたいなと思っています。今の時点で学生生活はまあまあ満足ですか?
 
坪田:はい。対面の方が楽しいですし。
 
川北:ようやく楽しんできている感じだね。1人暮らしは慣れた?
 
坪田:はい。4月からは妹も京都に来たので、2人暮らししてます。早く帰った方が夕飯を作るってことにしてるので、家に帰ってご飯があると、楽やなって思います(笑)。家事も分担できるし。
川北:それはいいね。京都ではいろんなところに行った?
 
坪田:1~2年生の時はあまり行けていなかったので、3年生になってから結構いろいろ行ってます。カフェとか、お寺巡りも結構できるようになってきて。
 
川北:あと1年ちょっとだから、楽しまないとね。

PROFILEプロフィール

  • 川北 典子

    教育学部 教育学科 教授



    京都府生まれ。1985年京都女子大学大学院家政学研究科児童学専攻修了。龍谷大学短期大学部社会福祉科講師、関西保育福祉専門学校講師、平安女学院大学短期大学部教授を経て、2018年大谷大学教育学部教授。
    研究内容については、次の2つ。
    (1)関西圏の児童文化財について、主に明治以降の歴史を辿り、現代の子どもの文化に活かす方法を考えてきた。具体的には、絵本・児童文学・玩具・紙芝居・人形劇を研究領域としている。
    (2)絵本や玩具等の児童文化財を有効的に活用した子育て支援学の構築を考えている。子どもや若者も含めて、現在支援される人々が、今後支援する側に廻っていけるような循環型の支援の仕組みをつくっていきたいと思っている。



  • 幼児教育の現場に出られる体験学習の多さに惹かれ大谷大学を受検したが、1年生の時はコロナ禍による活動制限のため、実際に現場に出られたのは例年よりも遅かった。その遅れを取り戻すかのように、現在、充実した実習体験を重ねている。
    保育園、幼稚園、助産院など、多様な保育の場に赴いて、授業で習ったことを目の前で体感し、足りなかったことに気づき、反省をして次の機会に生かすという学びのサイクルを上手に活用している。将来は、子どもと保護者に安心してもらえる保育士をめざす。