仏教学演習(I〜IV)

学びの場として中心となるゼミ形式の授業です。まずは仏教の基礎を学び、徐々に深く発展的な内容へと進むようになっています。第2学年から、〈現代仏教〉〈仏教思想〉の二つのコースに分かれて演習を行います。現代仏教コースの演習では、仏教の視点から現代をどう捉えられるか考えることを重視して、講読や学生によるゼミ発表が行われます。仏教思想コースの演習では、仏教の主要な課題に触れることを重視して、仏教文献の講読や学生によるゼミ発表が行われます。

大乗仏教入門

大乗経典出現の意味は何でしょうか。この問いを解く鍵は、仏教の信仰です。仏教の経典とは仏陀釈尊の教説を伝える言葉です。それは〈仏陀釈尊への信仰〉によって支えられています。阿含経典と大乗経典という二つの伝承がどうして成立することになったのでしょうか。そこには信仰の異なりがあるのでしょうか。こうした基本的な問いを持って、仏教思想史における〈大乗仏教の成立〉をたずねてみます。〈釈尊の信仰〉から〈親鸞の信仰〉に至る仏教の信仰概念をたずねることで、大乗仏教成立の意味とその中心課題を確かめます。

インド仏教思想論

インド大乗仏教の思想、とくに中観思想と唯識思想とその歴史について学びます。ナーガールジュナ(龍樹)の『中論頌』とその註釈書を通して、あるいは瑜伽行唯識学派の典籍である『瑜伽師地論』や『摂大乗論』などを通して、仏教思想の基本的な事柄についての理解を深めます。

中国仏教思想論

インドから伝来した仏教は、南北朝時代から隋唐時代にかけて真の「中国」仏教へと変革され、完成されていきました。この授業では、その形成と完成の過程について学びます。とくに隋唐代に興起した三論宗・天台宗・法相宗・華厳宗を中心に取り上げ、これら諸宗の形成や主要な教義(教相判釈など)について理解を深めていきます。また、禅宗・律宗・浄土教といった実践仏教の展開にも触れます。

日本仏教思想論

日本の仏教は、主に中国や朝鮮から輸入されたものですが、日本固有の宗教や政治状況の影響もあり、独自の展開を示しました。そのうえで、文学・美術など様々な文化に多大な影響を与えました。現代日本文化のベースとなっている仏教の思想を多面的に確かめていきます。

現代仏教論

現代社会の諸特徴について、仏教の視点から考察することを目的としています。前半ではE.F.シューマッハーの「仏教経済学」を読みながら、また、シューマッハーに影響を与えたM.K.ガーンディーの思想によりながら、現代社会の問題について批判的に考察します。後半では、世俗化の進む現代社会において現れた「新宗教」的な諸特徴をもった様々な「新仏教」の潮流について学びます。

地域仏教論

今年度は、ヒマラヤ山脈の麓に広がるチベットの仏教を学びます。そこでは主にインド大乗仏教と後期密教の伝統が継承され、仏教が人びとに根付いています。一方で仏教と同じく輪廻からの脱出と成仏を目標としながら、チベット土着の宗教伝統を受け継ぐユンドゥン・ボンの教えもこの地には存在します。こうしたチベットの宗教の中で、ブッダはいかに描かれ、いかなる教えを説いたとされるのでしょうか?また、チベットの人々はいかなる信仰を有しているのかを、チベット語を読みつつ俯瞰しながら、そこから我々が何を学ぶべきかを考えます。