コロナによる活動制限のために、例年に比べて現場に出るのが遅かった坪田さんは、現在、それを取り戻すかのように充実した実習体験を重ねています。保育園、幼稚園、助産院など、多様な保育の場に赴いて、授業で習ったことを目の前で体感し、足りなかったことに気づき、反省をして次の機会に生かすという学びのサイクルを上手に活用しています。子どもと保護者に安心してもらえる保育ができるよう、着実に力をつけています。

03 実習は、失敗しても勉強になる

OTANI'S VIEW

更新日:
川北:実習のときは、自分で時間をもらって何かすることもあった?
 
坪田:はい。部分実習(保育の一場面を実習生が主導で行う)の時もあったんですけど、乳児さんのクラスに入ったときは朝の会を任されて、めっちゃ難しかったです。自分で実習案を書いてた時は、「こうなった時はこうしよう」っていうのを想像して対応策を考えていたんですけど、それだけじゃないところもいっぱいあって。ここは考えられていなかったなって思うこともいっぱいあったし、担任の先生にサポートしてもらったこともたくさんあるので、全然周りが見れてないなって思うことがたくさんありました。
 
川北:子どもたちにどんな言葉をかけるかっていうのは、普段、先生が話すのを聞いていたとしても、実際に自分が言うとなると、どうだったっけ、って思うよね。実習を1回やっただけでは身につかないので、積み重ねだと思うけど。園の先生も言ってくれはったと思うけど、実習って失敗してもいいんです。何がアカンかったかっていうのを見つけて、次の機会に生かしていく。働いてからでも、実習の時にできていなかったからここは気をつけようって考えられるから。他には?
 
坪田:『わたしのワンピース』っていう絵本を読んで、それを題材にして、自分たちで洋服を作るっていう設定保育をしました。うさぎちゃんがワンピースを着てお花畑に行ったら、そのワンピースがお花の模様になったり、雨の日だったら雨の模様になるっていうお話で、クレヨンと絵具を使って、描いた絵をはさみで切るっていう内容だったんですけど、工程が多くて、うまく回すのが難しくて。1人ひとり絵を描くスピードも違うし、1つのことに対してこだわりが強い子もいて、差ができちゃうのを埋めるのが難しかったなって思います。
川北:実習期間って、子どもたちのことをまだ理解できてないことも多いし、大学の授業で子どもたちは1人ひとり違うっていうのは習ってるけど、実際に見ないとどう違うのかってわからないし、何がその子は好きなのかっていうのは、しばらく付き合ってみないとわからないものだから、そういう状態でクラス全体を保育するのは、ほんまに難しいと思う。だから、失敗してもいいんだけど、その上で自分はこの部分が想定できてなかったなって反省するのが大事。子どもたちも、昨日まで見てた子どもたちと違って、こういうことが好きなんやとか、新しい発見もあったりするから、それが勉強なんだよね。
 
担任の先生は1人ひとりの特性を掴んではるけど、「この子はここでこれだけの時間を取っておこう」っていうのはだんだん掴めてくるようになります。それが保育のプロになるっていうことだから。まあ、実習では実際の子どもの様子を見れたのが収穫ですね。
坪田:そうですね。自分が思いついたものを全部描く子もいるし、ひとつのものをじっくり描く子もいるので、そういう違いはなかなか想定できてなかったなって思います。
 
川北:学生が実習から戻ってきた後って、顔つきが全然違うんですよ。すごく成長して帰ってきたなっていうのがわかるので、現場に行かせてもらえるのはありがたいですね。コロナ禍の時は、実習に行かなくても授業で補えばいいっていう通達が文部科学省や厚生労働省からあったんだけど、私たち教員は、4年生のギリギリになってもいいから実習には行かせたいよねって言ってたんです。実習に代わる授業をしなさいと言われてもなかなかできないくらい、実習ではいろんな経験をさせてもらえるので。

PROFILEプロフィール

  • 川北 典子

    教育学部 教育学科 教授



    京都府生まれ。1985年京都女子大学大学院家政学研究科児童学専攻修了。龍谷大学短期大学部社会福祉科講師、関西保育福祉専門学校講師、平安女学院大学短期大学部教授を経て、2018年大谷大学教育学部教授。
    研究内容については、次の2つ。
    (1)関西圏の児童文化財について、主に明治以降の歴史を辿り、現代の子どもの文化に活かす方法を考えてきた。具体的には、絵本・児童文学・玩具・紙芝居・人形劇を研究領域としている。
    (2)絵本や玩具等の児童文化財を有効的に活用した子育て支援学の構築を考えている。子どもや若者も含めて、現在支援される人々が、今後支援する側に廻っていけるような循環型の支援の仕組みをつくっていきたいと思っている。



  • 幼児教育の現場に出られる体験学習の多さに惹かれ大谷大学を受検したが、1年生の時はコロナ禍による活動制限のため、実際に現場に出られたのは例年よりも遅かった。その遅れを取り戻すかのように、現在、充実した実習体験を重ねている。
    保育園、幼稚園、助産院など、多様な保育の場に赴いて、授業で習ったことを目の前で体感し、足りなかったことに気づき、反省をして次の機会に生かすという学びのサイクルを上手に活用している。将来は、子どもと保護者に安心してもらえる保育士をめざす。