お寺の息子に生まれたという「きっかけ」を生かして谷大にやってきた岡田君は、友達や先生にも恵まれ、楽しい毎日を過ごしています。先生と話していても、即座に自分の言葉で返答ができるのは、普段からいろいろ考えている証。コロナ禍の中でも「得られるもの」に喜びを見出し、価値あるものへと認識を変えていく姿勢は、先生をして「偉い」と言わしめるほどです。岡田君が、「学ぶと人に優しくなれる」という真宗学をどう追究していくのか、今後の探究に注目です。

01 自分にしかできないことを考えて、真宗学科1本で

一楽:久しぶりやね。
 
岡田:はい、お久しぶりです。
 
一楽:岡田君とは、君がまだ小さい頃にご実家の報恩講(※)に呼ばれたりして、何度か会ったことがあるんだけど、大きくなっててびっくりした。お父さんは僕の後輩で、三木先生と同級なんだよな。お父さんがまた強烈な個性の人でね。
 
岡田:はい。それは、もう(笑)。
一楽:高校時代から大谷大学に来るっていうのは決めてたの?
 
岡田:いえ、正直なところ、大谷大学には行かないかなと思ってたんです。大谷大学は父からすごい薦められてて、門徒さんからも「大谷に行ったら頑張って」って言われたりとかはしてたんですけど、僕は元々理系で、物理とか数学が好きで、高校時代は仏教の勉強とかはしたことがなかったんです。
 
でもだんだん、自分にしかできないことと言うか、1回きりの人生なので、せっかくお寺の息子という立場に生まれたなら、やるきっかけがあるならやってみようかと思うようになって。それで最後の第3期の一般入試で入りました。ほんとにギリギリまで考えたって感じです。
 
一楽:でもお父さんは無理やり強制するような感じではなかったでしょ?
岡田:そうですね。父も母も、好きなことをすればいいって。門徒さんから何を言われようが、自分の好きなことをしなさいって言われてました。でも僕が「大谷大学に行きます」って言ったら、やっぱり喜んでましたね。
 
一楽:真宗学科というのは、ストンときた?
 
岡田:仏教学科も視野に入れようかなと思ったんですけど、入学願書の第2希望を書く欄を見たときに、第1希望に落ちて第2希望の学科に行くってなったら、真剣に受けられないというか、ここは2番目だったなって考えちゃうと、自分の中で勉強することに対して意欲がなくなっちゃう気がして、真宗学科1本で受けようと思いました。
 
父も、それこそ一楽先生とか三木先生とか、学長の木越先生とかも知り合いで、真宗学科は先生たちも良いし、「仏教界の東大だ」って言ってて(笑)。自分では悩んで決められないときに、知ってる人からアドバイスをもらうと楽になるというか、決心がついたので、そこについては父に感謝しています。
(※報恩講……親鸞聖人の御命日(11月28日)を縁として行う法要のこと。)

PROFILEプロフィール

  • 一楽 真

    文学部真宗学科 教授



    1957年石川県生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。現在、大谷大学教授。
    研究のテーマは「親鸞の仏弟子論」。仏教はどのような生き方を人間に開くのか、それを親鸞の生涯と思想を通して尋ねることを目的としている。方法としては、親鸞がどのようにこの世を見つめ、どのように人間の問題を捉えていたかを、『教行信証』をはじめとする親鸞の著作を通して明らかにしていく。あわせて、親鸞を生み出した歴史と、その時代についても考察を加えていく。



  • お寺の息子に生まれたが、元々好きな分野は理系だったため、大谷大学を受験するつもりはなかった。しかし将来自分にしかできないことを考えると、自分の境遇を生かしてやってみようかと思うようになり、ギリギリまで考えた末、受験を決意した。
    先生と話していても、即座に自分の言葉で返答ができるのは、普段からいろいろ考えている証。コロナ禍の中でも「得られるもの」に喜びを見出し、価値あるものへと認識を変えていく姿勢で、「学ぶと人に優しくなれる」という真宗学をどう追究していくのか、今後の探究に注目。