文学部真宗学科を2013年度に卒業された蔵敷友美さんに、在学中に学んだこと等について語っていただきました。
※このページに掲載されている内容は、取材当時(2023年7月)のものです。

現在、2歳の娘を育てながら地元の大学の図書館で働いています。大谷大学では短期大学部幼児教育保育科で保育士資格と幼稚園教諭の免許を取得し、真宗学科に編入学しました。卒業後は実家のお寺へ戻り、事務等の手伝いをしていました。その後、大学の事務職員として働いていましたが、結婚、出産を機に退職し、現在は育児をしながら再び大学図書館で勤務しています。
 
社会で働くとさまざまな人と接することが多くなります。その中には自分が想像もしていなかったような対応をされることもあります。そのような時に私は相手がなぜその言動に至ったのかということをよく考え、自分の感情だけで考えないように心がけています。真宗学科へ編入学する前は「お寺に生まれたから、お寺のことを学ぶ」という意識が強かったのですが、実際に卒業し、お寺ではないところで働き、生活していても真宗学科での学びが自然と「他者と共に生きていく」ということに繋がっていると思いました。真宗学は「真宗を学ぶ」だけではなく、「人としてどう生きていくのか」ということを学ぶことができると思います。

人の心を推し量ることの大切さを知る

幼児教育保育科に在籍している時に伺った児童養護施設での実習で、人のこころを推し量る大切さを知り、それができる人間になりたいと思いました。真宗学を学ぶことで人のこころがわかるようになるわけではありませんが、ある一面だけを見てそれがその人の全てであると思わないよう気をつけるようになりました。

人と接している時には、相手の反応に納得いかないことがあります。自分の意見に賛同してもらえなかったり、思っているような反応ではなかったり、そんなつもりはなかったのに攻撃的な反応をされてしまったり。人生は、常に「誰かと共に」生きていきます。そうなってしまったのはその人だけの問題だったのか、何か周りの影響もあったのではないかと考えることで、自分自身への問いかけにもなっています。

子育てにおいても大切なこと

人のこころを推し量る、というとまるで他人を相手にするような気がしますが、家族との関係においても大事にしたいと思っています。私には2歳の娘がいるのですが、子育ては、こちらが思う通りにはいかないことが多いです。というより思う通りにいかないことがほとんどです。娘に「ああしなさい、こうしなさい」ということがあります。娘のためにと思っているつもりですがよくよく考えてみると、「娘を自分の思う通りにしたい」という自分がいることに気がつきました。自分の思った通りにいけばスムーズにいきます。でも2歳といえども娘も一人の人間です。「家族だからわかるはず」「親だから理解してくれるはず」「子どもだから親の言うことを聞く」のではなく、相手が何を考えてその言葉を発したのか、その行動をしたのかを考え、家族と寄り添い生きていきたいと思っています。

PROFILEプロフィール

  • 蔵敷 友美(くらしき ゆみ)

    文学部真宗学科 2013年度卒業