文学部真宗学科を2015年度に卒業された高嶋彩音さんに、在学中に学んだこと等について語っていただきました。
※このページに掲載されている内容は、取材当時(2023年10月)のものです。

大学卒業後、京都にある高校で宗教科の教員として3年間勤務した後、株式会社オリエンタルランドに就職しました。現在は、東京ディズニーシーでキャラクターキャプテンとして、各キャラクターとお客様との触れ合いのサポートを担当しています。

卒業論文では親鸞思想を通して、表面上ではなく、人間の深いところにある言わば「心の叫び」のようなものに向き合う考察をしました。これは、さまざまなお客様と接し、いかに楽しんでもらうかを考える今の仕事につながっています。また、ゼミ担当の木越先生からは、迷った時には「難しいと思う方を選ぶのがよい」とアドバイスをいただきました。人生で迷ったときには、今でもこのことばが指針になっています。

高校と異なり、大学では一人で行動する機会が増えます。少し不安ですが、自ら行動することで縁がつながり、興味や関心が広がっていきます。出会った縁をつないでいき、これまでとは違うことに挑戦し、自分の引き出しを増やしていってほしいと思います。

高校教員から、エンターテインメントの世界へ

大学卒業後、高校教員として宗教科の授業を担当し、学級担任も任されていました。非常にやりがいのある仕事だったのですが、私自身が根っからのエンターテイナー気質で人を喜ばせることが好きであったこと、東京ディズニーリゾートで働くことに以前から憧れを抱いていたことから、転職を決意しました。

現在は、エンターテインメント本部 ショー運営部 キャラクター運営グループに所属しています。私の仕事であるキャラクターキャプテンは、キャラクターとお客様との橋渡しをする役割です。東京ディズニーシーはご存じのとおり人気のテーマパークですので、海外からお越しになる方など、さまざまなお客様にお会いしますし、中には障がいのあるお客様に出会うこともあります。障がいのある方でもいかに楽しんでいただけるかを常に考え、工夫を凝らして対応しています。視覚に障がいのある方には各キャラクターの特徴が伝わるように詳しく説明し、各施設のバックグラウンドストーリーを説明する際には、実際に手で触れていただき理解を深めていただいています。それぞれのお客様と向き合う時間は短いのですが、それでも楽しんでいただけた様子を見て自分自身も嬉しく思い、こうした幸せな時間をお客様と共有することにやりがいを感じています。

東京ディズニーリゾートには、そこで働くキャストの行動規準として、Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Inclusion(インクルージョン)、Show(ショー)、Efficiency(効率)の5点からなる「The Five Keys~5つの鍵~」が設けられています。その中でもインクルージョンは、人種や年齢、障がい、性別などの多様性を受け入れることです。私の高校教員としての経験や挑戦的に仕事をしている姿勢が評価され、今年より部署内でダイバーシティ&インクルージョンについてのインストラクターを務めることになりました。さまざまな考え方や多様な人たちを歓迎して尊重することは、真宗学科で学んだ「多種多様な人々が共に生きるとは」という考えや学びに繋がっており、大学で学んだことを活かせる機会に接することができてとても嬉しく思っています。

新たな縁と広がる興味関心を求めて動き出す

学生時代で印象に残っていることは、1年生の時の自灯学寮(※)での生活です。寺院出身である私と同じ境遇の学生たちと学寮で過ごす中で、少し後ろ向きに捉えていたお寺に対する自身のイメージが前向きに変わっていったことを覚えています。また、同じ寮生の感話には、それぞれが自分自身と真剣に向き合う姿に非常に刺激を受けました。自灯学寮で過ごした同級生とは、今でも連絡を取り合い集まる仲です。
※2023年度現在、寮生募集を休止中
 
授業以外では、大学近隣のフルーツパーラーで3年間アルバイトをしていました。職業や年代を問わずさまざまな方が訪れるお店で、お客様と話をする機会も多かったので、何かに挑戦したいという気持ちが湧いてきました。大学では2週間のインド研修に、その後は一人で海外に行き現地でのツアーに急遽参加する等、思い立ったらまずは行動することを大切にしてきました。
 
友人とともに行動することも楽しいですが、高校と大学とで異なるのは、一人で行動する機会が増えることです。自ら行動することでさまざまな人と縁がつながり、自分自身の興味や関心の幅が広がります。やるかやらないかで悩むより、まず行動することが大事です。その時には分からないかもしれませんが、何年後かに価値がある経験だったと思うはずです。自分自身を知り、これまでの自分が知らない世界に飛び込んでください。
卒業後、社会人になって感じるのが、学生時代のような自由な時間がある生活はもうないということです。今一番なりたいものは「大学生」と友人たちと口を揃えて話しており、そのくらい素敵な時間を過ごせるのが学生時代です。その時間を悔いのないように過ごしてほしいです。
  • アルバイト先(フルーツパーラー)のママさんと
    アルバイト先(フルーツパーラー)のママさんと
  • インド仏教遺跡研修(タージマハル)
    インド仏教遺跡研修(タージマハル)

PROFILEプロフィール

  • 高嶋 彩音(たかしま あやね)

    文学部真宗学科 2015年度卒業