真宗学科
卒業生インタビュー
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文学部真宗学科を2014年度に卒業された小野将さんに、在学中に学んだこと等について語っていただきました。
※このページに掲載されている内容は、取材当時(2023年8月)のものです。
現在、真宗大谷派南米開教監督部の主計(会計)として、ブラジル連邦共和国に赴任しています。大学卒業後は東本願寺の事務職として真宗大谷派に採用され、本山宗務所内の総務部・組織部、福井県にある福井教務所に勤めたのち、今のブラジルへと至ります。
大学在学中、ゼミの担当だった井上尚実先生には、英語がそれほど得意ではない私を英語による発表会に案内していただくなど、特に「聞く力」を学ぶ機会をいただきました。ブラジルでは英語はそれほど通用せず、基本的にはポルトガル語を使うこととなりますが、「聞く力」は当地において全く知らない言語でやり取りする際にも役立っていると感じています。
高校での英語の授業はあまり得意ではありませんでしたが、慣れない外国語を駆使したコミュニケーションはとても楽しかったことを覚えています。いま苦手なことでも、将来どのように役に立つかは分かりませんので、様々なことに興味を持ち、チャレンジしていって欲しいと思います。
私が井上先生のゼミを希望したのは、第1学年の頃から海外における真宗の展開について興味があり、当時担任だった井上先生が英語も堪能で、アメリカとの関わりがあると知ったからでした。
井上先生は、私がボーイスカウト活動を行っている事も覚えていてくださり、興味があれば是非と英語でのボーイスカウト活動の発表会に誘ってくださるなど、授業とはまた違った活動の機会を与えてくださいました。
先述したように、私は英語が得意というわけではありませんが、授業とは違ったところで英語に触れるという経験を通じて、日本語以外の言葉を聞き取る耳の慣れ、また「聞く力」が各段に上昇したように感じます。
「聞く力」というとかなり大げさになりますが、全く知らない言語の環境に身を置くということは、話すことと同じくらい聞き取ることが重要になります。
仕事の中で日本人僧侶や日系2世くらいの方までと会話するのは日本語でも問題ないのですが、ブラジル人僧侶や日系3世になると、日本語での会話は難しく、主にポルトガル語でコミュニケーションを取ることになります。
残念ながら私のポルトガル語はネイティブには程遠く、現地の方からすれば5歳児程度の語彙と文法になってしまっていると思いますし、一方で相手が話している言葉を完全に理解することもできていません。特にポルトガル語は他のヨーロッパ圏言語のように男性名詞・女性名詞があり、動詞の活用もそれに応じて変わるため、日本語話者には非常に難しい言語となっています。
それでも現地の方は、私の拙いポルトガル語を理解しようと懸命に耳を傾けてくれますし、私もなるべく簡単な表現で話してくれる言葉を必死に聞き取ろうと努めています。
やはり経験・場数を踏むことが外国語の上達への近道かと思います。私が在学中には国際学部や真宗学科の国際コースはなかったので、今の大谷大学は外国語や外国語を通じて真宗を学ぶ環境に恵まれているのではないでしょうか。自分の知らない世界を開くためにも、海外研修やフィールドワークに積極的に参加してみましょう。そして外国の方々と日本語ではなく現地の言葉で、遠慮せずにどんどん話してみて欲しいです。気持ちは必ず通じ合い、ほんとうに広い世界が開けて来ると思います。
小野 将(おの まさし)
文学部真宗学科 2014年度卒業