お寺に生まれ、なんとなく自分が家を継ぐものだと思って真宗学を学びにやって来た佐々木君を迎えたのは、アメリカで仏教に出会ったConway先生です。仏教の教えによって救われた経験を持つ先生は、英語でもっと真宗を広めていきたいと考えています。以前から英語に興味があった佐々木君も、将来はそういう方面で働きたいと思うようになりました。毎日がとても楽しい寮生活を送りながら、さらに英語力を磨いていく予定です。

06 窮屈な思いもあったけど、継がせてもらえるなら継いでみたい

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Conway:卒業後の考えはありますか?
 
佐々木:すぐ実家には帰らないと思うんですけど、開教使(※)にも興味あって。今はまだ、何をするかもわかってない状態なんですけど、そういう仕事にも就いてみたいです。
 
Conway:開教使の仕事には、だいぶ英語力が期待されます。英語の能力を高めていかないとなかなか採用してもらえないのが現状ですね。でも研修に参加すれば、開教使さんの1日の動きなんかもわかるしね。日本のお寺と共通するものもあれば、少し異なるものもあるんですよね。門徒さんのお見舞いに病院まで行かなければいけなかったり、日曜礼拝というものをやっているから、毎週日曜日に英語でお説教しなければならないし、とてもいい経験になると思うんですけれども、まず英語の勉強ですね。
 
佐々木:ですね。僕ボランティアとか興味があって、青年海外協力隊ってわかります?海外に出て、発展途上の国とかにいろいろ指導しに行くみたいな。それをやってみたいなと思ってて。
 
Conway:いいと思いますね。それをしばらくやって英語力を高めてもらって、開教使の募集が出たときに応募すると良いかもしれないですね。
 
佐々木:いろいろやってみて、いずれは自坊に帰って家を継げたらいいなって思ってます。
 
Conway:生まれたときから後継ぎとしてそう言われてきたんですか?
 
佐々木:何も言われてないですけど、僕、長男なんで。親の圧力もそんなに感じなかったですけど、自分が継ごうかなと。
Conway:それは、わりと喜んでやりたいことですか?
 
佐々木:中学校くらいまではわりと何も考えないで来たんですけど、家の手伝いで報恩講とか永代経とかの行事を重ねていくうちに、門徒さんとかに支えてもらってお寺が成り立ってるってことがだんだんわかってきて、継がせてもらえるなら継ぎたいなと。
 
Conway:それ、とても素晴らしいと思いますね。僕はお寺に生まれて育ったわけではないですから、皆さんの、時として窮屈な思いをしているであろうことは、あまりわからないんですけど。
 
佐々木:それはまあ、確かにありましたね。
 
Conway:でも真宗の教えは本当に人びとのためになるものですから、ぜひ共に学んで人びとと分かち合っていきたいですね。
 
佐々木:はい。
(※開教使……広く海外に教法を宣布するための活動に携わる僧侶。日本国外の寺院などに派遣される。)

PROFILEプロフィール

  • マイケル コンウェイ

    文学部 真宗学科 講師



    1976年アメリカ合衆国イリノイ州生まれ。1997年ノースウェスタン大学卒業(歴史学専攻)。2009年大谷大学大学院博士後期課程満期退学。2009年大谷大学文学部任期制助教着任(2011年まで)。2011年博士号取得、東方仏教徒協会(The Eastern Buddhist Society)編集者着任(2015年まで)。現在、大谷大学文学部専任講師(真宗学)。
    親鸞の思想の背景を知るために、中国浄土教の祖師、とりわけ隋・唐代に活躍した道綽を中心に研究を進めてきた。また、親鸞の思想が現代にまでどのように展開されてきたかということを視野に入れ、曽我量深、金子大栄、安田理深に代表される真宗大谷派の近代教学者の研究にも取り組んできた。更に近年では真宗の教義と教学をいかに英語で表現すべきかという問題について考えており、鈴木大拙が英訳された『教行信証』を始めとして、親鸞の書物の英訳を比較し考察している。



  • お寺に生まれ、なんとなく自分が家を継ぐものだと思って真宗学を学ぶため大谷大学を受験。苦手な正座の訓練も兼ねて入った茶道部の活動に、毎晩が修学旅行の夜みたいと思えるほど楽しい寮生活に、充実した毎日を送っている。
    洋楽好きの親の影響で小さい頃から海外のバンド音楽をよく耳にしていたことをきっかけに英語に興味を持ち、将来は英語で真宗を広められる仕事をめざすことも視野に入れ、英語力を磨いていく予定。