お寺に生まれ、なんとなく自分が家を継ぐものだと思って真宗学を学びにやって来た佐々木君を迎えたのは、アメリカで仏教に出会ったConway先生です。仏教の教えによって救われた経験を持つ先生は、英語でもっと真宗を広めていきたいと考えています。以前から英語に興味があった佐々木君も、将来はそういう方面で働きたいと思うようになりました。毎日がとても楽しい寮生活を送りながら、さらに英語力を磨いていく予定です。

02 寮は、毎晩が修学旅行の夜のよう

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Conway:今は寮に住んでますよね。この間は、報恩講でお世話になりました。準備が大変だったでしょ?お勤めの練習はいつから始めたんですか?
 
佐々木:毎日の勤行はやってたんですけど、報恩講に向けては、いつだったかな……?声明講習っていうのが週に1回あって、そこで教えてもらったら、読むお経が増えていくんです。
 
Conway:朝ごはんと夕ごはんの前にお勤めをする生活ですよね。そういう寮の生活はいいですね。なかなか皆さんよく読めるようになってきていて、僕より読めていて、ちょっと恥ずかしかった(笑)。寮に入って良かったところは?
 
佐々木:大学入学当初は、友達とかいないと思うんですけど、寮生だったら最初からいいスタートが切れると思います。僕は親の勧めで入ったんですけど、みんなと一緒に過ごす時間が増えるうちにどんどん仲良くなって、今ではもう毎日楽しい時間を過ごしているって感じです。声明講習も始まって、家がお寺の子でも今まで学んでこなかったと思うので、いい機会になると思います。
 
Conway:寮生はほとんどお寺の子?
 
佐々木:そうですね。17人中、4,5人はお寺の子じゃないですけど、一緒に頑張ってお経を学んでます。真宗学科の他にも、仏教学科や哲学科、歴史学科の子もいます。
Conway:お寺の子じゃなくても違和感がない?
 
佐々木:はい。仲良いです。
 
Conway:この前行った時、お寺じゃない子も「寮に入って良かった」って言ってましたね。最初は抵抗があったけど、とても良い雰囲気の中でやれているのは嬉しいって。
 
佐々木:やっぱみんな宗教に対してイメージがついちゃってると思うんですよね。宗教=洗脳とか。そういうのじゃないっていうのを、寮に入ったら学べるかな。
 
Conway:そうですよね。誰かが清沢先生(※)のことも言ってましたよね。真宗の門徒にならなくても、清沢先生の言葉はこれから生きていくうえで大事にしていきたいって。そういう言葉が聞けて嬉しかったです。かなりの時間を一緒に過ごしてるんでしょ?
 
佐々木:はい。週末も寮生と遊びに行ったり映画を見たり、ずっとしゃべってたりしてます。修学旅行の夜みたいな。僕は来年も残留生として寮にいることになったので、もうしばらくこういう生活ですね。
 
Conway:毎晩そんな感じなんだね。それは楽しそうだ。
(※清沢先生……大谷大学初代学長の清沢満之。真宗大谷派の僧侶であり、哲学者、宗教家でもある。)

PROFILEプロフィール

  • マイケル コンウェイ

    文学部 真宗学科 講師



    1976年アメリカ合衆国イリノイ州生まれ。1997年ノースウェスタン大学卒業(歴史学専攻)。2009年大谷大学大学院博士後期課程満期退学。2009年大谷大学文学部任期制助教着任(2011年まで)。2011年博士号取得、東方仏教徒協会(The Eastern Buddhist Society)編集者着任(2015年まで)。現在、大谷大学文学部専任講師(真宗学)。
    親鸞の思想の背景を知るために、中国浄土教の祖師、とりわけ隋・唐代に活躍した道綽を中心に研究を進めてきた。また、親鸞の思想が現代にまでどのように展開されてきたかということを視野に入れ、曽我量深、金子大栄、安田理深に代表される真宗大谷派の近代教学者の研究にも取り組んできた。更に近年では真宗の教義と教学をいかに英語で表現すべきかという問題について考えており、鈴木大拙が英訳された『教行信証』を始めとして、親鸞の書物の英訳を比較し考察している。



  • お寺に生まれ、なんとなく自分が家を継ぐものだと思って真宗学を学ぶため大谷大学を受験。苦手な正座の訓練も兼ねて入った茶道部の活動に、毎晩が修学旅行の夜みたいと思えるほど楽しい寮生活に、充実した毎日を送っている。
    洋楽好きの親の影響で小さい頃から海外のバンド音楽をよく耳にしていたことをきっかけに英語に興味を持ち、将来は英語で真宗を広められる仕事をめざすことも視野に入れ、英語力を磨いていく予定。