お寺に生まれ、なんとなく自分が家を継ぐものだと思って真宗学を学びにやって来た佐々木君を迎えたのは、アメリカで仏教に出会ったConway先生です。仏教の教えによって救われた経験を持つ先生は、英語でもっと真宗を広めていきたいと考えています。以前から英語に興味があった佐々木君も、将来はそういう方面で働きたいと思うようになりました。毎日がとても楽しい寮生活を送りながら、さらに英語力を磨いていく予定です。

04 最初は、何を言っているかわからない

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Conway:大学の授業はどんな感じ?素晴らしいとは言わなくてもいいけど……。
 
佐々木:まだ基礎だから、今のうちにしっかり身につけておきたいなと思います。
 
Conway:そうですね。そういう意味では、漢文の授業も、親鸞の生涯についての授業も大事になりますよね。僕も、指導教員にいつも「真宗の勉強には時間がかかる」と言われていました。じっくりとやっていくと良いと思いますね。一般教養科目の中で面白いのはある?
 
佐々木:面白いとはあんまり思わないですね。
Conway:難しいなというのは?
 
佐々木:『歎異抄』を読む授業です。
 
Conway:「『歎異抄』論」ですね。難しいですよね。これから3年かけて『歎異抄』を読んでいくわけですから、今わからなくてもいいんですけど、どこが難しいと感じる?
 
佐々木:何言ってるかわからないです(笑)。
Conway:そうですか(笑)。僕も日本に来て、真宗学科の修士課程に入ったときに、本当に何言ってるかわからなくて。もちろん日本語も十分ではない状態でしたけど、本当に高校、大学で勉強した日本語と全然違う言葉が飛び交っていて、何が起こっているのかわからないなと。でも会話がどうも成立しているみたいだなと不思議に思って、先生に相談してみたら、真宗の勉強には時間がかかると言われました(笑)。じっくり勉強すればやがてわかるようになると。漢文も難しいでしょ?
 
佐々木:難しいです。辞書を引いても出てこなかったり。そういうところは先生に聞くしかないかなと。
 
Conway:そういうものもありますね。ある程度蓄積、経験を積んで、勘でわかるようになっていくんです。
 
佐々木:勘なんですか!
 
Conway:いっぱいいっぱい辞書を引いて、ある程度分かってくるようになると、この字とこの字の組み合わせだから、こう読むんだなとか。背景もわかるようになると、少し読めるようになってきますね。でも本当に外国語ですよね。日本語も、1年でしゃべれるようになったわけじゃないでしょ。だからね、4年かけてじっくりやっていくと良いと思いますね。

PROFILEプロフィール

  • マイケル コンウェイ

    文学部 真宗学科 講師



    1976年アメリカ合衆国イリノイ州生まれ。1997年ノースウェスタン大学卒業(歴史学専攻)。2009年大谷大学大学院博士後期課程満期退学。2009年大谷大学文学部任期制助教着任(2011年まで)。2011年博士号取得、東方仏教徒協会(The Eastern Buddhist Society)編集者着任(2015年まで)。現在、大谷大学文学部専任講師(真宗学)。
    親鸞の思想の背景を知るために、中国浄土教の祖師、とりわけ隋・唐代に活躍した道綽を中心に研究を進めてきた。また、親鸞の思想が現代にまでどのように展開されてきたかということを視野に入れ、曽我量深、金子大栄、安田理深に代表される真宗大谷派の近代教学者の研究にも取り組んできた。更に近年では真宗の教義と教学をいかに英語で表現すべきかという問題について考えており、鈴木大拙が英訳された『教行信証』を始めとして、親鸞の書物の英訳を比較し考察している。



  • お寺に生まれ、なんとなく自分が家を継ぐものだと思って真宗学を学ぶため大谷大学を受験。苦手な正座の訓練も兼ねて入った茶道部の活動に、毎晩が修学旅行の夜みたいと思えるほど楽しい寮生活に、充実した毎日を送っている。
    洋楽好きの親の影響で小さい頃から海外のバンド音楽をよく耳にしていたことをきっかけに英語に興味を持ち、将来は英語で真宗を広められる仕事をめざすことも視野に入れ、英語力を磨いていく予定。