谷大の充実したフィールドワークに魅力を感じて入学してきた行徳さんは、さっそく社会福祉施設に行ってきました。現場を見て話を聞き、体験させてもらった経験がさらなる意欲につながり、中学の職場体験で抱いた福祉の仕事への興味が、社会福祉士という形のある夢へと育ってきました。夜回り活動や引きこもり支援をしている経験豊富な先生のもと、持ち前の朗らかさを発揮して勉強していく予定です。

07 その人を1人にしないために声をかける

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岡部:高校の時もボランティア活動してたんだよね?
 
行徳:はい。年に1回やったんですけど、地域の人が着なくなった服とかを学校に持って来てもらって、それを段ボールに詰め替えて海外の貧しい国や地域に送るっていうボランティアをしてました。
 
岡部:それは何でやろうと思ったの?
 
行徳:教室に紙が貼ってあって、なんか面白そうと思って。あとは近所の人に声を掛けられて、地元のパトロールもしてました。毎週火曜日の夜、変な人がおらんかっていう。
岡部:変な人がいたらどうするの?
 
行徳:……会ったことないです。
 
岡部:防犯対策ってことか。パトロールっていろいろ難しいことがあるからまた今度話すけど、地域の夜回りって言って、外で生活している人たちに声をかけるホームレス支援の活動があって、それに参加してみると面白いと思いますよ。地域の防犯じゃなくて、地域の路上で生活してる人たちに声をかける。
 
行徳:それ、怖くないですか?台湾に行った時も、歩道橋におじさんが座ってて、周りはみんな避けていくし、怖くてしゃべりかけられなくて。いますよね、そういう方も。
 
岡部:そこから一歩進むのが社会福祉士だよ。中野先生も夜回りやってるよね。地域から悪い人たちを排除するパトロールもあるけど、地域に住んでるのに周りから疎まれたり無視されてる人たちの状況をどうより生きやすいものにできるのかを考えるのが社会福祉士です。
 
行徳:めっちゃやりたいです、それ。
 
岡部:そうやろ?そういう意味では、本当に夜回りは面白いと思います。一般の人は怖いと思って避けていくけど、自分は声をかけてみる。それで鬱陶しがられることもあるけど、めげないで。
 
行徳:メンタル強化ですね。
 
岡部:そこで傷ついてても、その人たちの生活は支えられないよね。
 
行徳:自分、結構メンタル弱いんで、なかなかいいかもしれないです。しゃべって、冷たくされたって、何回もやっていったら、こんなん大丈夫やって思えるかも。
 
岡部:慣れじゃなくて、何のために声をかけるかで、タフさが変わるんだよ。その人を1人にしないために声をかけるんだから、何を言われたって、その人の状況を判断することが重要だから、些末なことだと。まあちょっと傷つくこともあるけど、それはそんなに大きなことじゃないと思えるようになります。

PROFILEプロフィール

  • 岡部 茜

    社会学部コミュニティデザイン学科 講師



    石川県生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。 博士(社会学・立命館大学)。滋賀県立精神保健福祉センターひきこもり支援センター非常勤職員(2013~)などを経て、現在に至る。
    生活困難に直面している若者を対象としたソーシャルワークについて研究している。現代社会では、ひきこもりやホームレス、過労死など様々な若者の生活困難が明らかになりつつある。そうした状態を統一的に検討するソーシャルワークの視角を考えるとともに、生活に困難さを感じている若者とそうした課題に関心を持つ人々が、お互いにより生きやすい地域・社会づくりを可能としていける方法を模索している。



  • 大学案内の冊子を見てピンと来た大谷大学。オープンキャンパスも何度も参加し、充実したフィールドワークに魅力を感じて受験を決めた。1年生のうちから社会福祉施設の現場を見て話を聞き、体験させてもらった経験がさらなる意欲につながり、中学の職場体験で抱いた福祉の仕事への興味が、社会福祉士という形のある夢へと育ってきた。
    夜回り活動や引きこもり支援をしている経験豊富な先生のもと、持ち前の朗らかさを発揮して勉強していく予定。