谷大の充実したフィールドワークに魅力を感じて入学してきた行徳さんは、さっそく社会福祉施設に行ってきました。現場を見て話を聞き、体験させてもらった経験がさらなる意欲につながり、中学の職場体験で抱いた福祉の仕事への興味が、社会福祉士という形のある夢へと育ってきました。夜回り活動や引きこもり支援をしている経験豊富な先生のもと、持ち前の朗らかさを発揮して勉強していく予定です。

08 いろんなとっかかりを持って、路上で声をかける

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行徳:先生は今どういう研究をしてるんですか?
 
岡部:若者支援と社会福祉の研究です。主に「ひきこもり」って言われている人たちの「支援」の研究と、逆に家にいられない人たち、家出をしてる人やネットカフェを転々としてたりするような人たちの「支援」を研究しています。社会状況が変化する中で、若者が生きづらいって言われてるんですけど、若者に課題があるわけじゃなくて、社会が生きづらいので若者が苦労するっていうことがあると思うんですよね。これまでは支援の必要がないとされてきた人にまで、苦しさっていうのが国際的にも広がっているので、そういう人たちの状況を踏まえて、どう社会を変える必要があるのかっていうことを研究しています。
行徳:そういう研究って、どんなふうにやるんですか?
 
岡部:例えば、家出してる人たちには路上で声をかけて、キャッチの人たちと争いながら、そういう人たちに連れて行かれないように活動しているところがあって、そういう活動に学んだりします。たとえば、新宿の歌舞伎町とかで夜に見回りをして、10代の女の子たちが歩いてたら「ご飯とか休憩できるスペースがあるけどどう?」って声を掛けたりしている活動があります。
 
行徳:ええ、すごい!
 
岡部:「ウザイ」とか言われたりもするけど、言わない人もいるから。「ウザイ」って言ってくれる子たちは大人に対する防御もできるけど、ついて来ちゃう子たちはキャッチの人にもついて行っちゃうから、その前に実践側がアプローチする。
 
行徳:自分、絶対ついて行っちゃいますわ。
 
岡部:ついて行きそうだよね。ちょっと心配。「ひきこもり」については、家族から相談を受けて、はがきを送り続けるとか、本人が出れるようになったら本人と喋ったりとか。ゲームの話題なんかをいっぱい振りながら。社会福祉の機関ではどういう風に支援を届けるかみたいな研究をしています。だから手相占いとかタロット占いとかなんでもいろいろできるといいよ。私も手相占いを勉強しています。
 
行徳:当たりますか?
 
岡部:当たるかどうかはわかんないけど、「男運が悪い相だけど、なんかつらい経験あった?」とか聞いていくと、「実は彼氏に殴られて」とか向こうも話してくれることがあります。「それはこういうところに相談に行った方がいいね」とか、話のとっかかりになることがあるんだよね。若い人は占い結構好きだし、くだらないように思えることから支援が動いたりすることもあります。

PROFILEプロフィール

  • 岡部 茜

    社会学部コミュニティデザイン学科 講師



    石川県生まれ。立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。 博士(社会学・立命館大学)。滋賀県立精神保健福祉センターひきこもり支援センター非常勤職員(2013~)などを経て、現在に至る。
    生活困難に直面している若者を対象としたソーシャルワークについて研究している。現代社会では、ひきこもりやホームレス、過労死など様々な若者の生活困難が明らかになりつつある。そうした状態を統一的に検討するソーシャルワークの視角を考えるとともに、生活に困難さを感じている若者とそうした課題に関心を持つ人々が、お互いにより生きやすい地域・社会づくりを可能としていける方法を模索している。



  • 大学案内の冊子を見てピンと来た大谷大学。オープンキャンパスも何度も参加し、充実したフィールドワークに魅力を感じて受験を決めた。1年生のうちから社会福祉施設の現場を見て話を聞き、体験させてもらった経験がさらなる意欲につながり、中学の職場体験で抱いた福祉の仕事への興味が、社会福祉士という形のある夢へと育ってきた。
    夜回り活動や引きこもり支援をしている経験豊富な先生のもと、持ち前の朗らかさを発揮して勉強していく予定。