文学科には、ご自身の専門領域について楽しげに話してくださる先生方がたくさんいらっしゃいます。漫画や落語をはじめ、授業を通して古来からの多様な作品に触れる中で、自分の関心がどこにあるかを見つけていく過程は、新たな発見の連続でもあります。将来は図書館司書になりたいという伏木さんは、何にでも一生懸命取り組む「キラキラした」大学生活を送りながら、少しずつ将来への道を歩んでいます。

08 『ゲゲゲの鬼太郎』を題材に、創作の意図を考える

OTANI'S VIEW

更新日:
中川:僕の授業のレポートは何書こうと思ってるの?
 
伏木:怪談とか調べて書こうと思ってます。この前やった「牡丹灯籠」っていう話、聞いたことあるなと思って。
 
中川:「令和元年版 怪談社牡丹灯籠」っていう番組がNHKでやってたらしいね。もともと中国の話なんだけどね。それを卒論にしてる人もいるよ。怖い話とか大丈夫なんや。
 
伏木:そうですね。映像で見るのは嫌ですけど、本の世界だけなら。
 
中川:授業の最初では、中学生の教材になってる『盆土産』っていう話を使って問いを立てる練習をしたね。
 
伏木:「エビフライ」がなぜ「えんびフライ」だったか、とか。
 
中川:そうそう。その問いを立てて、班で話し合って、論拠と仮説を立てて発表するってことをやってもらったね。
 
伏木:キジの話もしましたね。『沙石集』のキジの話から、落語にどう変わっていったか。なんで変わったのか、変わったところとその理由を、問いを立てて発表しました。
 
中川:明治の小泉八雲と、平成の落語家さんが落語にしてるんですよ。その違いをそれぞれの班で話し合ったんだよね。創作の意図を考えるっていう狙いで、その後やったのは怪談やな。例えば『ゲゲゲの鬼太郎』に出てくる下駄の「カランコロン」っていう音は、「牡丹灯籠」から来てるよねって。その音が幽霊登場の音なんやね。
伏木:昔は「す——…」やったんですよね。
 
中川:そうそう。江戸時代の最初はそうだった。それが「カランコロン」になって、鬼太郎に受け継がれていったんやな。そういうのを映像を交えて勉強した。よく覚えてるね。
 
伏木:今では幽霊って足がないっていうイメージですけど、普通に足があるんやって思いましたもん。
 
中川:今の幽霊はなんで足ないんか知ってる?それは、江戸時代の円山応挙っていう絵師が、そう描いたから。それが受け継がれてきてるんやね。

PROFILEプロフィール

  • 中川 眞二

    文学部 文学科 教授



    大谷大学大学院文学研究科博士後期課程退学。文学修士。大谷中高等学校常勤講師、専任講師を経て、2012年大谷大学文学部専任講師に着任。2014年同大学准教授、2020年同大学教授。
    庶民の文学享受が研究課題。江戸時代になり、庶民が文化の担い手となり、庶民文化が花開く。そのなかで、庶民を対象とした仮名草子を主な研究対象である。特に浄土真宗の僧でもあった浅井了意や禅宗の僧であった鈴木正三は数多くの著作を残している。現在は、その著作の文学性や庶民教化の姿勢、その背景にあるものについて考えている。特に、仏教や儒教の思想がどのような役割を果たしているのかといったことに関心を持っている。



  • 将来は図書館司書になりたいという夢があり、図書館司書資格が取れる文学科を探した時、母親のすすめで大谷大学に進学した。通学には時間がかかるが、もともと興味があった演劇部に入ったり、面白いと感じる授業も多く、毎日楽しい大学生活を送っている。
    漫画や落語をはじめ、授業を通して古来からの多様な作品に触れる中で、自分の関心がどこにあるかを見つけていく過程は、新たな発見の連続。何にでも一生懸命取り組みながら、少しずつ将来への道を歩んでいる。