文学科には、ご自身の専門領域について楽しげに話してくださる先生方がたくさんいらっしゃいます。漫画や落語をはじめ、授業を通して古来からの多様な作品に触れる中で、自分の関心がどこにあるかを見つけていく過程は、新たな発見の連続でもあります。将来は図書館司書になりたいという伏木さんは、何にでも一生懸命取り組む「キラキラした」大学生活を送りながら、少しずつ将来への道を歩んでいます。

04 『山月記』から『ドラクエ』まで、多様な作品から学ぶ

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中川:文学科の学びってどんな感じ?
 
伏木:「国文学概論」を取ってるんですけど、和歌は面白いですね。「5・7・5・7・7」の中にギュって詰めるのがすごいですよね。この前私も詠んでみたけど難しかったです。授業で先生が「オチをつけるな」って言ってはって。つけてないつもりなんだけど、ついてるのかな、とか。短歌は、意味はわかるんですけど、世界観は難しいですね。
 
中川:そこで文学の仕組みとかは一応教わったわけね。他の授業はどう?
 
伏木:他の授業は、先生の話を聞いてることが多かったので、もうちょっとグループワークとかしたかったなと思いました。
中川:やっぱりグループワークが好きなんやね。
 
伏木:はい。人の意見を聞くとやっぱり深まるじゃないですか。
 
中川:自分も意見を言うし、人のも聞いて、深めていくのか。しっかりしてるな。人の意見を聞いて自分の考えを変えられるというのはすごいよね。國中先生の詩の授業は取った?
 
伏木:取りました。わからんやつは全然わからないですね(笑)。でも「文学鑑賞」はいろんな先生から教えてもらえるからいいなって。この間は安藤先生が『山月記』をやって、国語教育では『山月記』をどういう風に教えるかっていうのを教えてもらいました。確かに高校の時はそういう感じで教えてもらったなって思いだしました。中国の『人虎伝』から来てるじゃないですか。それも気になって。
 
中川:虎になっていく苦しみは、『人虎伝』ではほとんど書いてないんです。「宮殿の礎に埋もれてしまう」っていうのとか、「臆病な自尊心」っていう言葉は一言も出てこないんですよ。だから中島敦と『人虎伝』を比べてみると面白いよ。漢文だけど。
 
伏木:ぜひ書き下し文でお願いします。白文は無理です(笑)。でも「文学鑑賞」を取って良かったなと思ってます。大秦先生は『古事記』とか神話の話をしてくださいました。
 
中川:大秦先生は古代が専門だからね。みんな自分の専門の分野で講義するから、面白くなるよな。僕は映像を見せたし。落語は文学からできてきたってわかってくれると良いね。ただ落語を楽しむだけじゃなくて。他は?
 
伏木:泉谷先生の授業を受けました。『ドラゴンクエスト』ってゲームがあるじゃないですか。あれはシリーズがいっぱいあるんだけど、全部勇者が魔王を倒しに行くっていう形になってて、それは全部小説にそういう型があるんだって教えてもらいました。逆に、それを裏切ってくる形もあって。そういう小説を読んでみたいなって思いました。
 
中川:パターン通りじゃなくて、裏切られるやつね。そういうのも面白いね。いろんなことを吸収してるのはいいね。

PROFILEプロフィール

  • 中川 眞二

    文学部 文学科 教授



    大谷大学大学院文学研究科博士後期課程退学。文学修士。大谷中高等学校常勤講師、専任講師を経て、2012年大谷大学文学部専任講師に着任。2014年同大学准教授、2020年同大学教授。
    庶民の文学享受が研究課題。江戸時代になり、庶民が文化の担い手となり、庶民文化が花開く。そのなかで、庶民を対象とした仮名草子を主な研究対象である。特に浄土真宗の僧でもあった浅井了意や禅宗の僧であった鈴木正三は数多くの著作を残している。現在は、その著作の文学性や庶民教化の姿勢、その背景にあるものについて考えている。特に、仏教や儒教の思想がどのような役割を果たしているのかといったことに関心を持っている。



  • 将来は図書館司書になりたいという夢があり、図書館司書資格が取れる文学科を探した時、母親のすすめで大谷大学に進学した。通学には時間がかかるが、もともと興味があった演劇部に入ったり、面白いと感じる授業も多く、毎日楽しい大学生活を送っている。
    漫画や落語をはじめ、授業を通して古来からの多様な作品に触れる中で、自分の関心がどこにあるかを見つけていく過程は、新たな発見の連続。何にでも一生懸命取り組みながら、少しずつ将来への道を歩んでいる。