文学科には、ご自身の専門領域について楽しげに話してくださる先生方がたくさんいらっしゃいます。漫画や落語をはじめ、授業を通して古来からの多様な作品に触れる中で、自分の関心がどこにあるかを見つけていく過程は、新たな発見の連続でもあります。将来は図書館司書になりたいという伏木さんは、何にでも一生懸命取り組む「キラキラした」大学生活を送りながら、少しずつ将来への道を歩んでいます。

07 自分で問いを立てていくのが大変

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中川:後期のテストが近づいてるけど、勉強の方法は変わりましたか?
 
伏木:高校の時はここからここってテスト範囲が決まってて、これだけやっとけば大丈夫っていうのがあるじゃないですか。でも大学は、自分で取り入れて考えてレポートを出すっていう感じなんで、難しいです。
 
中川:範囲があるようでないもんね。自分で問いも立てないといけないからね。
伏木:私、レポートが苦手なんですよ……。前期のテスト、語学系は、訳を書きなさいっていうのは高校の時と似てたんですけど、そのうえでこの作者が言いたいことは何か、って出るので、咀嚼しないといけないなって感じでしたね。「心理学」は、攻撃性について、自分が今まで体験した中でその時どういう感じやったか、攻撃的にならないためにはどうしたかっていうのを書かないといけなかったのが大変でした。
 
中川:経験をもとに書かないといけないんだね。僕の演習の授業も自分で問いを立ててもらわないといけないけどどう?
 
伏木:楽しいです。先生の演習の授業は、今は短歌があって、その短歌が作られた経緯を考えようみたいな感じですよね。その短歌が作られた経緯を物語にして仕上げて出すっていうのは、楽しいです。
 
中川:楽しいか。それは良かった。歌物語ってあるでしょ、『伊勢物語』とか。あんな感じでね。今年は、あとは小川洋子さんの現代小説を取り上げて終わりかな。いろんな文学作品に触れてもらって、その意図を考えてもらうってことをやってますのでね。ゼミなんかはそういう感じだからね。情念のあまり蛇になる話とかあって、そういうのもパターンを探して問いを立てていくっていうことでやってるんだけど、僕はやってて楽しいけど、学生はどうなんかなって思ってて。
 
伏木:楽しいと思います。
 
中川:そうか。来年から文学の専門授業を取っていくようになるけど、そういう中で、どんな風に見方が変わっていくかだね。今はその準備をしといてくれたらいいと思う。例えば、卒業論文で「猿蟹合戦」を取り上げた子もいたよ。江戸時代の子どもが読んだ本なんだけど、時代や地域によって内容が変わっていくんですよ。
 
伏木:最近だと、お母さんガニが死なないバージョンとかありますよね。
 
中川:何パターンかあるね。民話とかでもね、琵琶湖の下に竜宮城があるとかいう話もあるんやで。そういうのは近現代文学でもあるよね。たくさんの話に触れてると、そのうち「これはあのパターンやな」ってわかってくるよ。

PROFILEプロフィール

  • 中川 眞二

    文学部 文学科 教授



    大谷大学大学院文学研究科博士後期課程退学。文学修士。大谷中高等学校常勤講師、専任講師を経て、2012年大谷大学文学部専任講師に着任。2014年同大学准教授、2020年同大学教授。
    庶民の文学享受が研究課題。江戸時代になり、庶民が文化の担い手となり、庶民文化が花開く。そのなかで、庶民を対象とした仮名草子を主な研究対象である。特に浄土真宗の僧でもあった浅井了意や禅宗の僧であった鈴木正三は数多くの著作を残している。現在は、その著作の文学性や庶民教化の姿勢、その背景にあるものについて考えている。特に、仏教や儒教の思想がどのような役割を果たしているのかといったことに関心を持っている。



  • 将来は図書館司書になりたいという夢があり、図書館司書資格が取れる文学科を探した時、母親のすすめで大谷大学に進学した。通学には時間がかかるが、もともと興味があった演劇部に入ったり、面白いと感じる授業も多く、毎日楽しい大学生活を送っている。
    漫画や落語をはじめ、授業を通して古来からの多様な作品に触れる中で、自分の関心がどこにあるかを見つけていく過程は、新たな発見の連続。何にでも一生懸命取り組みながら、少しずつ将来への道を歩んでいる。