将来はプロフェッショナルの書き手になることを目指して、創作ができる大学を選んで谷大にやってきた西本君は、すでに何編かの小説を書き上げ、各種の賞に応募もしています。読み手の共感を得るためには、視点を変えてみると良いという先生のアドバイスを受けながら、授業や文藝塾で得られる学びを作品作りに生かそうと、気持ちを新たに過ごす毎日です。数年後には卒業論文の代わりとなる作品を書くべく、日夜研鑽を積んでいます。

01 創作ができる大学を選んでやって来た

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國中:西本君は、陸上をやってるんだよね?
 
西本:はい。中学、高校と陸上をやってて、今も陸上競技部に入ってます。部活は主に競技場でやるので、キャンパス内ではほとんど活動してないんですけど。
國中:ああ、そうか。この大学は町のど真ん中で大きなグラウンドなどないから、運動とか、どこでやってるのかなって思うもんね。大谷大学の体育会系のクラブや部活がどういうふうに活動しているのかは、私はあんまり知らないんですけど。西本君はなんで京都に来たの?
 
西本:自分は広島出身なんですけど、元々県外の大学を受験する予定はなくて、県内の大学で文学科があるところにしようと思ってて。結局は成績の関係で行けなかったんですけど、高校の担任の先生と喋ったときに、県内のちっぽけな文学科に行くよりも、京都とか大阪の名の知れた大学に行った方がいいんじゃないかって言ってくれて。それで調べたらここが見つかって、県内でも県外でも同じくらいの費用はかかるし、どうせなら京都でやってみるかと思って。
國中:大谷大学としては、広島に良い先生がいてくれてありがたかった(笑)。でも、京都には他にも文学科を持つ大学があるじゃないですか。大谷大学に決めた理由は?
 
西本:ここは、古典も現代文学も両方対応してる感じでしたし、創作もできるような場所があるから、他の大学と比較してみて、創作まで熱を入れられるんだったら大谷がいいかなって思ってここにしました。
 
國中:大学のレベルにこだわらなければ、もっと創作に特化したところもあるよね?
 
西本:そうですね、専門学校とか。一応視野には入れてたんですけど、専門学校に入って続かなかったらどうしようかとかも考えちゃって。
 
國中:何かあったときってこと?もしかして打たれ弱い?
 
西本:打たれ弱いです(笑)。もし何かあったときに創作を止めちゃうかもしれないということも頭をよぎったので、それならより幅広く学べる大学の方がいいかなと思って。
 
國中:私の知る限り、西本君は手堅く単位を取ってるし、このままでいけば順調に卒業できそうですから、学士にはなれると思うんですよ。だからたとえプロの小説家になれなかったとしても、一応仕事をする資格というか、力は得られると思うんです。この前に話したときも、作家活動を続けながら就職もするっていうイメージを持っているって言ってましたよね。それは大変だけど、実際プロでもそういう両刀使いの人はかなりいるわけですから、頑張って欲しいと思います。

PROFILEプロフィール

  • 國中 治

    文学部文学科 教授



    早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程(日本近代文学専攻)単位取得満期退学。韓国大田広域市大田実業専門大学専任講師(日本語および日本事情を担当)、神戸松蔭女子学院大学文学部総合文芸学科教授などを経て、現職。
    昭和前期を代表する詩誌「四季」の文学者たち、特に三好達治と立原道造と杉山平一を中心に研究している。この3人は資質も志向も異なるが、詩形の追求と小説の実践、それらを補強する理論の構築に取り組んだ点では共通する。時代と社会にきちんと対峙しえなかったとして、戦後、「四季」は厳しい批判にさらされる。だが、日本の伝統美と西欧の知性を融合させた「四季」の抒情は奥が深くて目が離せない。



  • はじめは地元の大学を考えていたが、高校の担任の勧めで大谷大学を知る。すでに何編かの小説を書き上げ、各種の賞に応募もしており、大谷大学には創作できる場所もあるということに惹かれ、受験した。
    読み手の共感を得るためには、視点を変えてみると良いという先生のアドバイスを受けながら、授業や文藝塾で得られる学びを作品作りに生かそうと、気持ちを新たに過ごす毎日。将来はプロフェッショナルの書き手になることを目指し、数年後には卒業論文の代わりとなる作品を書くべく、日夜研鑽を積んでいる。