ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいとやってきた中根さんのお気に入りは、古代の人びとの空想を絵にする授業です。資料を基に状況をイメージする力は、歴史学に欠かせません。歴史を学んだ人は、社会に出て働くようになっても、培った力を生かせるときが必ずやってきます。「歴史学は学問の王様だから」と魅力を語る先生の指導のもと、中根さんの探究が始まります。

01 伝承の地がたくさんある京都

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大艸:出身は?
 
中根:千葉です。今は下宿してます。
 
大艸:そうか。京都は外国人が多いでしょ。
 
中根:街中では日本語が聞こえてこないですもんね。
 
大艸:最初はびっくりしたんじゃないですか?
 
中根:千葉の浦安なので、結構外国人が来るので、こんなもんかと。高校も東京だったので、電車の中で私だけ日本人、みたいな時もありましたし。
 
大艸:そうなんや。大学に入る前は京都には何回か来たことあります?
 
中根:修学旅行とオープンキャンパスと、あとは旅行で来たことがあります。
大艸:じゃあ今いろいろ行ったりしてる?
 
中根:まだ一人暮らしするのが精いっぱいで、なかなか観光もできてないです。
 
大艸:この前授業でもちょっと話したけど、羅城門跡には行った?
 
中根:行きました。でも公園になってて。
 
大艸:あの辺は京都の中でも洛外になるので、つい100年ほど前までは何も建ってなかったんじゃないかな。京都は街中にも小さいお寺とかありますから、いろんなところに行って楽しんでください。
 
中根:バイトの帰り道に、義経が生まれた井戸の跡の石碑があるんです。大徳寺の近くなんですけど、「こんなところに!」って思いました。
 
大艸:牛若丸って、すごくゆかりの地とされる所が多いんですよ。「源義経産湯井の遺址」とか「牛若丸誕生の井」とか「胞衣塚(えなづか)」とかね。昔は子どもの成長を祈るために、胞衣(胎盤)を埋めるという風習があって。牛若丸の胎盤がホンマにそこに埋められてるのかわからないけど、そういう伝承があるところみたいですよ。牛若丸とか聖徳太子とか親鸞って、伝説がいっぱいあって、どれが本当かわからないっていうのが山ほどあるんですわ。でも伝承があるっていうのは、語られた歴史っていうのがあるってことなんでね。ぜひ行ってみてください。

PROFILEプロフィール

  • 大艸 啓

    文学部 歴史学科 講師



    1982年京都市生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。 同朋大学仏教文化研究所所員を経て、2018年大谷大学文学部歴史学科着任。
    日本古代の仏教史像を、様々な切り口から捉えなおすことを目指している。とくに正倉院文書を素材として、官人社会・都市社会の視角から仏教の展開を再構築することと、浄土信仰や太子信仰の黎明期の実態を明らかにすることに取り組んでいる。また、平安京の成立と展開についても関心があり、平安京以前の京都の歴史も視野に入れながら検討したいと考えている。



  • ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいと思い、大変だったAO入試のプレゼンもクリアし大谷大学へ入学。趣味にかけるお金はアルバイトで稼ぎつつ、もちろん勉強も大変だけど楽しくできている。お気に入りの授業は、古代の人びとの空想を絵にするもの。
    卒論のこと、めざす職業のこと、考えていかなければならないことはたくさんあるけれども、大学4年間で歴史学に浸って、将来に生かせる力をつけていこうと思っている。