ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいとやってきた中根さんのお気に入りは、古代の人びとの空想を絵にする授業です。資料を基に状況をイメージする力は、歴史学に欠かせません。歴史を学んだ人は、社会に出て働くようになっても、培った力を生かせるときが必ずやってきます。「歴史学は学問の王様だから」と魅力を語る先生の指導のもと、中根さんの探究が始まります。

03 想像上の獣の絵を描く授業

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大艸:1年生の時ってあんまり歴史の授業ないでしょ?今どんな授業取ってますか?
 
中根:好きなのは、心理学の授業と「中国の民衆文化」です。前期は「京都の歴史と文化」を取ってたんですけど、大人気で、200人くらいいました。
 
大艸:あの講義は人気らしいね。僕も去年から「京都探究コース」の担当なので、学生に教えるためにいろいろ街中を歩いてるんですよ。
 
中根:「京都の歴史と文化」も良かったんですけど、「中国の民衆文化」がすごく面白いです。中国に伝わる四凶とか四霊とかあるじゃないですか。資料を基にして、麒麟とか鳳凰の特徴を挙げていくんです。民衆にとって良い政治だった時に麒麟が現れるとか。それで、それらの獣は民衆にとってどういう存在かっていうことをふまえて、イラストを描いて提出するっていう課題があって。
 
大艸:文字を立体的に変換するみたいな?
 
中根:そうです。当時の民衆の意図も汲んでイラストを描くんですけど、私、絵を描くのが好きだし、伝承とか伝説とかも好きなので、めちゃくちゃ楽しいです。
 
大艸:そういうのはすごく大事ですよ。文章を頭の中でイメージする力。誰が誰を倒してどういう風に動いて、っていうのはイメージするしかないんだけど、歴史をやるうえで必要な能力なんやね。目隠しした授業覚えてる?
中根:はい。文化財をスクリーンに映し出して、目隠しした人にその特徴を教えるっていう授業ですよね?
 
大艸:そうそう。それで目隠しした人が、最後に似たような写真の中から該当する文化財を選ぶやつ。あれも、言葉で伝わる情報を自分の中でどうイメージするかですもんね。想像力って絶対大事やと思いますよ。小説読むときも論文書く時も。自分の中で何を書いてるかをはっきりイメージしないと。中根さんはイメージがしやすいタイプじゃない?
 
中根:しやすいです。
 
大艸:じゃあ歴史学向いてるかもしれんね。
 
中根:え、意外なところから。

PROFILEプロフィール

  • 大艸 啓

    文学部 歴史学科 講師



    1982年京都市生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。 同朋大学仏教文化研究所所員を経て、2018年大谷大学文学部歴史学科着任。
    日本古代の仏教史像を、様々な切り口から捉えなおすことを目指している。とくに正倉院文書を素材として、官人社会・都市社会の視角から仏教の展開を再構築することと、浄土信仰や太子信仰の黎明期の実態を明らかにすることに取り組んでいる。また、平安京の成立と展開についても関心があり、平安京以前の京都の歴史も視野に入れながら検討したいと考えている。



  • ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいと思い、大変だったAO入試のプレゼンもクリアし大谷大学へ入学。趣味にかけるお金はアルバイトで稼ぎつつ、もちろん勉強も大変だけど楽しくできている。お気に入りの授業は、古代の人びとの空想を絵にするもの。
    卒論のこと、めざす職業のこと、考えていかなければならないことはたくさんあるけれども、大学4年間で歴史学に浸って、将来に生かせる力をつけていこうと思っている。