ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいとやってきた中根さんのお気に入りは、古代の人びとの空想を絵にする授業です。資料を基に状況をイメージする力は、歴史学に欠かせません。歴史を学んだ人は、社会に出て働くようになっても、培った力を生かせるときが必ずやってきます。「歴史学は学問の王様だから」と魅力を語る先生の指導のもと、中根さんの探究が始まります。

09 ゲームではまった刀をテーマに論文を書く

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大艸:来年度からのコースは決めましたか?
 
中根:「日本史コース」にしようと思ってるんですけど、まだ迷ってます。
 
大艸:ある程度やりたい時代が決まってる人はいいんだけど、戦国大名を個別にやるんだったら川端先生のゼミが一番いいと思うし、京都を中心に戦国時代を見ていくんであれば、「京都探究コース」に来てもらったらいいなと思いますし、あるいはモノを中心にみていきたい場合は「歴史ミュージアムコース」に行けばいいし。京都は1000年の都ですからね。そういう文化の神髄みたいなのを、どういう切り口で論じていくか。難しい話ですけど、なんで1000年続いたのかとか、応仁の乱とかあったけど、なんで京都は復興できたのか、とか。そう言えば、なんで京都に来たの?
 
中根:「刀剣乱舞」っていうゲームが流行ってて。それに影響されて、高校の時は刀の展示会とか博物館にもよく行きました。刀って、深いんですよ。歴史の授業もすごく頑張ってやってたので、京都で歴史が勉強できるといいなって思って。今も刀は好きですけど、学芸員の倍率に打ちのめされて……。
 
大艸:あまり公になってないけど、京都のお寺って、意外と刀を持ってたりするんですよね。調べてみると、結構出てくるかもしれない。「持ってない」って言い張るかもしれないけど(笑)。刀には、それこそ伝承もいっぱいあるよね。
 
中根:ありますよね。刀を研究テーマにするんやったら、「歴史ミュージアムコース」ですか?
 
大艸:それは先生方と要相談やけど、ミュージアムコースやったら現物を見るし、やりやすいと思いますよ。浅見先生と國賀先生は、博物館にどういうものがあるっていうのは詳しいやろうし、オフィスアワーに話を聞きに行ったらええんやないかな。刀で卒論書いた子もいると思うよ。
 
中根:刀の伝承で卒論……、絶対楽しいですよね!
 
大艸:絶対楽しい(笑)。地域によって偏りもあるかもしれないし。
 
中根:ありますよね。それなら熱中できそうです。そういうテーマでもいいんですね。
 
大艸:もちろん。この『大谷大學史學論究』で、今までの卒業論文の論文題目がわかるんだよ。図書館でも見れるんやけど。
 
中根:あ、いますいます!「刀剣にみられる宗教的側面について」
 
大艸:思いっきりいるやん!
中根:すげー!そんな選択肢が……。やっぱりみんな好きなんですね。
 
大艸:人気なんですね。國賀先生の専門は絵画ですけど、プロ中のプロの学芸員やから、当然刀も扱ったことあると思うよ。確か学芸員の資格を取るための授業で、真剣を扱う授業があって、古文書とか仏像とか、実際に触らせてもらえる機会がないから、珍しいって言ってましたね。こういうのにも触れられるから、それを目当てに学芸員の授業を取ってみるのもいいかもね。
 
中根:はい、考えてみます。ありがとうございます。

PROFILEプロフィール

  • 大艸 啓

    文学部 歴史学科 講師



    1982年京都市生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。 同朋大学仏教文化研究所所員を経て、2018年大谷大学文学部歴史学科着任。
    日本古代の仏教史像を、様々な切り口から捉えなおすことを目指している。とくに正倉院文書を素材として、官人社会・都市社会の視角から仏教の展開を再構築することと、浄土信仰や太子信仰の黎明期の実態を明らかにすることに取り組んでいる。また、平安京の成立と展開についても関心があり、平安京以前の京都の歴史も視野に入れながら検討したいと考えている。



  • ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいと思い、大変だったAO入試のプレゼンもクリアし大谷大学へ入学。趣味にかけるお金はアルバイトで稼ぎつつ、もちろん勉強も大変だけど楽しくできている。お気に入りの授業は、古代の人びとの空想を絵にするもの。
    卒論のこと、めざす職業のこと、考えていかなければならないことはたくさんあるけれども、大学4年間で歴史学に浸って、将来に生かせる力をつけていこうと思っている。