対談の様子

Students' Voices

対談2023年度#01

更新日:2023年12月15日

大谷大学だから体験できるリアルな学びを糧に、夢へのチャンスを掴みたい
文学部 歴史学科
國賀 由美子 教授
文学部 歴史学科 第3学年
田邊 優花 さん

分野にも時代にも縛られず、
幅広いフィールドで歴史を学べるのが
このゼミの魅力

國賀:このゼミを選んでくれたのはどうしてですか。

田邊:私が歴史に興味を持ち始めたきっかけは、小学生の頃、クラスで百人一首が流行ったことでした。当時、和歌の意味までは理解できなかったのですが、同じ31文字から成る和歌でも様々な作品があるのが面白くて、自分で解説本を読んだりもしていました。小学6年生で歴史の授業が始まり、より一層歴史に関心を持ち、歴史漫画もよく読んでいました。

大学1年生の時は、そこまでゼミを意識せず、面白そうと感じた授業を積極的に履修し、ゼミ選択(※)時は「百人一首」と「歴史的文化財」を興味のある分野として提出しました。歴史に興味を持つきっかけでもある百人一首は今でも好きですが、1年間いろいろな授業を受ける中で、私は和歌に限らず、文学、絵画、造形作品など、広く歴史的文化が好きなのだと気付いたんです。だから、和歌だったら日本史専門のゼミもあるけれど、最終的にはより広い分野にアプローチできる歴史ミュージアムコースに決めました。

※歴史学科のゼミ選考(学部や学科によって異なります。)では、1年生の後期末に興味のある分野を2つ書いて提出、それを基に教員がゼミを仮に振り分ける。自分の希望と異なる場合は申し出て、教員と話し合いの結果、変更することも可能。

國賀教授
対談の様子

國賀:百人一首をきっかけに歴史の世界に入り、大学1年間は広く浅く興味を持った授業を受けながら、「文化財を通して歴史に触れること」にフォーカスしていったのですね。確かに、年代やジャンルに縛られず守備範囲が広い点はこのコースの特色だなと、聞いていて改めて思いました。特に、自分の興味がまだ確定していない段階だと良いですね。ゼミでの活動はいかがですか。

田邊:やはり、ゼミ生それぞれに取り組んでいる内容が多種多様なのが非常に面白いです。今まで知らなかったこと、気になっていても調べたことがなかったことを、メンバーの発表を通して知ることができて、自分の興味や教養も広がります。例えば、京都の三大祭と言われる葵祭や祇園祭など、その起源や具体的な儀式といった詳しい内容については、仲間の発表を聞いて初めて知りました。

國賀:日常生活の中にあるもののルーツを知ることができると、生活もより豊かになって面白いですよね。

作品を通して歴史を見る中で得た様々な気づき

國賀:これまでのゼミ活動を少し振り返ってみましょうか。最終ゴールである卒業研究に向けて2年生から自己研究に取り組んできました。基本的に自主性を重視しているものの、いきなりというのも難しいので、ゼミに入りたての頃は図書館の活用方法や文献の調べ方など基礎指導から始めます。このゼミの大きなテーマは「作品(もの)から日本の歴史を考える」ということで、文献・史料上だけでなくできるだけ文化財そのものを見る機会を設けるために、定期的なフィールドワークを行っています。初回のフィールドワークでは与えられたテーマに取り組みますが、田邊さんの時は東寺に行きましたね。

田邊:東寺の立体曼荼羅には圧倒されました。曼荼羅と言われると平面のイメージがありましたが、仏像で立体的に表現されているのが興味深かったです。ゼミのフィールドワークでは、一人で見る時には得られない気づきや発見を仲間と共有できるのも面白いですね。今後も楽しみです。

國賀:文献調査も、初めは興味のある概説書から取り組み、2年生の夏期休暇の課題として、学術論文を1本しっかり読み込んでもらいました。そうやって、理解した論文の本数も増やし、発表も重ね、段階を踏んで卒業研究に必要な力を磨いてきました。3年生前期の現段階ではテーマを確定していませんが、田邊さんは今、明治時代の絵画に注目していますよね。

田邊:この時代については資料が豊富に残っているので、読み込む量が多く大変な分、やりがいがあります。今までは主に作者に焦点を当てて、作家伝や巻末年表を中心に読み込んできました。また、研究において私が意識しているのは、この時代だけでなく、それより前の時代の資料も見るようにすることです。すると、時代は違っても共通点が見つかり、繋がりを感じられて面白いです。

國賀:それは大事な視点ですね。時間の流れと同様に、文化も芸術も連綿と繋がっている中で、その時代の社会や生活の特色が作品にも反映されて時代ごとにアレンジがなされます。それを実感できるのもこのゼミだからこそですし、田邊さんがそこに自分で気づけたのは素晴らしいと思います。

対談の様子

人と「もの」を繋ぐ学芸員が果たす使命の大きさを実感しながら学ぶ日々

國賀:田邊さんは、学芸員の資格取得に向けても頑張っていますが、入学当初から目指そうと決めていたのですか。

田邊:新入生オリエンテーションで配布された、大谷大学で取得可能な資格一覧の冊子を読んだことがきっかけです。学芸員になるための博物館学課程はどの授業も興味深く、目指すことを決めました。卒業に必要な単位以外にも授業を履修しなければいけないのは大変ですがやりがいがあるし、今までは座学中心でしたが、来年は実習もあるので意気込んでいます。

國賀:4年生になると、実際に自分たちで大谷大学にある博物館での展覧会を企画・開催する実習があります。多くの大学ではバーチャルで実施されるところ、学内に博物館を所有する大谷大学では実物に触れてリアルに展示する実習ができるのは、大きな特色です。

田邊:博物館学課程で学んでいることもあり、展覧会でも、展示する側の視点に立って鑑賞するようになりました。すると、一つひとつの作品により真摯に向き合い、今まで鑑賞者としては得られなかった気づきや学びが格段に増えました。この経験は、来年の展示実習にも活かしたいです。

國賀:展覧会を企画・開催するにあたり、最大の壁は「我慢」だと私は思います。バーチャルだと、なかなかその我慢を体験できません。展示したい作品はたくさんあっても、借りることができない、スペースの問題で展示できない…など、学芸員の仕事って、実は我慢と工夫の連続なんですね。どう展覧会を作っていくか。試行錯誤があるからこそ、その先に大きなやりがいがあります。田邊さんは、将来、学芸員になりたいですか。

田邊:機会があればチャレンジしてみたいです。学芸員について、以前は「芸術作品の専門家、展示を作っている人」といった漠然としたイメージしか持っていませんでしたが、大谷大学で学ぶ中で認識の幅が広がりました。人類が、歴史を通じて大切に守り抜いてきた大きな価値のある品々を、保護・保存し後世に伝えていくという大切な役割も担う仕事なのだと実感してから、より学芸員への憧れやモチベーションが高まったように思います。

國賀:そう言ってくれて、嬉しいです。非正規職員からのスタートというケースも珍しくないけれど、それも一人前の学芸員になるために必要なステップである場合も多く、もし目指すなら前向きに頑張ってください。学芸員が扱う対象は「もの」でも、そこには、過去から現在まで多くの人々が関わってきて、それぞれの時代において多くの人々に大きな感動を与えてきました。どんな仕事もそうだと思いますが、やはり一人ではできないものなので、人と人の繋がりを大切にしてほしいなと思います。大学でも、ゼミの仲間や友達と協働しながら、学びはもちろん、今しかできない経験を深めていってくださいね。これから、就活、資格取得、卒業研究のための勉強も本格化して、両立がますます大変になるとは思いますが、自分をごまかさず積極的に取り組んでもらいたいです。それができた人には、残るものもたくさんあります。私たち教員も協力するので、楽しむことも忘れずに頑張っていきましょう。

大谷大学博物館前

大谷大学博物館

響流館1F

真宗・仏教学・哲学・歴史学・文学など多分野にわたり、充実した資料が多数収蔵されています。毎年、4回の企画展及び1回の特別展が実施され、展示と関連させた公開講演会やギャラリートーク、博物館セミナーなども。私も来年博物館学課程で取り組む実習生展(例年9月頃)は、どなたでも無料でご覧いただけるので、ぜひお越しください!

対談の様子

プロフィール

國賀 由美子 教授

文学部 歴史学科(専門分野:日本絵画史)

2017年、大谷大学 文学部 教授に就任。日本の中世から近代を中心に幅広い年代の美術作品、特に絵画作品から読み取れる歴史的事象を考察することを専門とする。

プロフィール

田邊 優花 さん

文学部 歴史学科(歴史ミュージアムコース) 第3学年

滋賀県・石山高等学校卒業
國賀ゼミにて明治時代の絵画について研究するとともに、学芸員資格取得も目指す。休日は、自身が所属する古美術研究会の友人と美術館や展示会へ出向くことも。