高校卒業後は漠然と就職を考えていた小佐野さんですが、学ぶことの面白さを知り、自分で進路を選びたいと思って進学を決めました。大学は、大きなことを大きな視野で考えられる場所であり、機会であると話す先生からは、「学問をする」ことの大切さを教わります。歴史学科で根本を学ぶ学生だからこそ、何事にも自分なりの問いを立てられるというプライドを持つ小佐野さんは、過去を学びつつ、まっすぐに前を見つめています。

01 大学生活を楽しむには心の余裕も必要

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古川:こんにちは。普段は小佐野さんとあまり接する機会がないですね。私は「世界史コース」を担当していて、主に近現代日本史の中でも交渉史とか国際関係史を専門にしています。地域で言えば日本、アメリカ、イギリス、アフリカです。アフリカっていうのはちょっと珍しいんだけど、若い頃にアフリカに留学してたのでね。
 
小佐野:なんでアフリカに留学されたんですか?
 
古川:あんまり面白い話じゃないけど、僕は家庭が複雑なこともあって悩んでて、一番悩みを解決できそうな哲学を学んでいたんです。でも、悩みがどんどん深くなっていって、いったん大学を休学して、日本から一番遠いところに行きたいと思ったんです。それで民間の財団に応募して、ケニアに派遣されました。1年くらい向こうの学校でアフリカの歴史やスワヒリ語を学んだんだけど、行ってしまえば体験が重くて、帰国したらアフリカの研究をもっとやろうと考えたんです。
 
ところがアフリカの歴史は日本では学べなかったから、アメリカの大学に行ったんです。アメリカには、奴隷として連れて来られたアフリカン・アメリカンの人びとがいるから、関心が強くて講座もいっぱいあるんですよ。最初は語学学校から入って苦労しましたけど、大学院では日本とアフリカの交渉史を取り上げました。日本語の史料を使ったんですけど、アメリカでアフリカ史やってる人は誰も日本語の史料なんて読めないから、誰もやってないってことで、たかが大学院生の論文なんだけど、わりと学会で広まったんですよ。そこからどっぷりとハマりました。
僕の学生生活はそんな感じでしたけど、小佐野さんは?今はコロナ禍ですけど、思い描いてた大学生活と比べてどうですか?
 
小佐野:大谷大学はオンライン授業が少ないですよね。他の大学の友達はずっとオンライン授業だって言ってたんですけど、谷大はずっと対面だったので、コロナ禍でも授業にあんまり差し支えないかと思います。
 
古川:確かに谷大は、頑張ってできるだけ対面授業を維持してきたんですよ。やっぱり授業はきちんとやりたいですから。でも学食とかサークルはどうですか?
 
小佐野:サークルには入ってないんですけど、食堂は、今は感染症対策の減席で学食を利用できる学部を分けて運営されているのがちょっと不便かなと思いますね。あとは、大学生活の大変さでいうとやっぱり通学の電車です。大阪から通って来てるんですけど、1年生は必修も多いし、1限からの授業も多いので、影響ありますね。
 
古川:そうですよね。僕の学生時代とはだいぶ違うと思います。アルバイトはしてる?
 
小佐野:はい。家の近くのコンビニで。だいたい夜に入ってます。だから大学生活で何が一番大変かって言ったら、やっぱり時間と体力的なところですね。
 
古川:アルバイトをするのは、家計的な理由?
 
小佐野:それもありますし、ちゃんと自分のしたいこととか欲しいものを我慢せずに楽しく過ごそうって思ったら結構頑張らないと、大学生活も楽しめないかなと思って。私はK-POPが好きなので、オンラインライブのチケットを買ったりとか。
古川:何が好きなんですか?
 
小佐野:BTSです。
 
古川:最先端ですね(笑)。彼らは僕がやってるアメリカ文化にも関係があるんですけど、Billboardのチャートで1位を取ったでしょ。世界的にも人気の人たちを追いかけるとすると、お金はかかるね(笑)。やっぱり楽しむには心の余裕も必要ですからね。時には贅沢をする時間を作ることも大事だと思いますよ。

PROFILEプロフィール

  • 古川 哲史

    文学部 歴史学科 教授



    神戸市生まれ。広島大学総合科学部・総合科学科卒業。在学中、日本-アフリカ文化交流学院(在ケニア)に留学。その後、広島大学大学院社会科学研究科・イギリス地域研究講座、オハイオ大学国際事情研究所大学院・アフリカ研究講座(在アメリカ合衆国)、京都大学大学院人間・環境学研究科・共生文明論講座などで学ぶ。日本学術振興会特別研究員(史学・日本史)、京都大学総合人間学部研修員、国立民族学博物館共同研究員、明治学院大学国際学部在外研究員など。オハイオ大学、オハイオ州立刑務所、コロンバス日本語補習校、同志社女子大学、立命館大学、京都市立芸術大学、松下看護専門学校等で教える。2005年、大谷大学文学部・国際文化学科に赴任。2018年より歴史学科・世界史コースに所属、現在に至る。
    これまで、日本やアメリカ、アフリカの歴史と文化に関心を向けてきた。近現代の日本とアメリカやアフリカとの関係史にも取り組んでいる。



  • 高校卒業後は漠然と就職を考えていたが、学ぶことの面白さを知り進学を決めた。興味のあった歴史を学ぶため、京都の大学をめざすことにし、さらにオープンキャンパスに参加して雰囲気や設備などを確かめた結果、大谷大学を受験することにした。
    何事にも自分なりの問いを立てられるよう心掛けている。将来の夢はまだないが、大学4年間で、身近にある時事問題などに対して、1人の人間としてちゃんとした考えを持つことをいちばんの目標とし、まっすぐに前を見つめている。