ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいとやってきた中根さんのお気に入りは、古代の人びとの空想を絵にする授業です。資料を基に状況をイメージする力は、歴史学に欠かせません。歴史を学んだ人は、社会に出て働くようになっても、培った力を生かせるときが必ずやってきます。「歴史学は学問の王様だから」と魅力を語る先生の指導のもと、中根さんの探究が始まります。

05 古文書を読む一番の秘訣は、慣れ。

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中根:史料を使うには、古文書の読み方を勉強しないといけないですよね。
 
大艸:他の大学でも古文書には触れると思うけど、うちの大学は結構そこに力を入れてるんです。卒業して博物館とかに勤めると、「大谷大学の卒業生なら読めるよね」みたいに言われるらしいです。結構評価を受けてるらしいですよ。1年生から勉強してるでしょ?
中根:はい。かなり熱心に教えていただけるので、少しずつ読めるようになってきました。先生はどんな古文書でも読めるんですか?
 
大艸:いやいや、そんなことはない。まあ古代の史料ならそこそこは読める方だろうと思いますけど、中世の古文書なんて、他に専門家がいますから。研究者として最低限の読解能力はあるんじゃないかと思ってますけど、昔は読めませんでしたよ。
 
中根:大学生の頃から読んでたんですか?
大艸:やってたけど、大学院に行こうと思ってから、このままではまずいと思って自分で必死に勉強しましたね。崩し字を扱ったり、古文書を読んだりする授業に出させてもらったりして。
 
中根:崩し字を読めるようになる一番のコツは何ですか?
 
大艸:コツはないです。慣れ。いろんなものを読んでいくと、この字は誰でもこういう風に崩すんやなってわかるし、崩し字にしやすい字っていうのもあるやん。
 
中根:ありますね。じゃあ、必然的に少しずつ読める字が増えていくって感じですか?
 
大艸:そう。努力してると「あ、これ読めるようになってる」って思う日がくるから。川端先生のゼミ生で、毎日何文字かの崩し字を書いてる子がいたんだって。それがどれくらい効果があるのかわからないけど、ひょっとしたら書けるようになると読めるようになるのかな。僕は読むことはできるけど書くことはできないから。まあ、訓練しかないと思いますよ。漢文もそうでしょう。正解の読み方は一つじゃないから、いろんな人の読み方を聞いて「これでもいいのか」っていう感覚を養うことが大切だと思いますよ。
 
中根:はい。もっと勉強しないと。

PROFILEプロフィール

  • 大艸 啓

    文学部 歴史学科 講師



    1982年京都市生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。 同朋大学仏教文化研究所所員を経て、2018年大谷大学文学部歴史学科着任。
    日本古代の仏教史像を、様々な切り口から捉えなおすことを目指している。とくに正倉院文書を素材として、官人社会・都市社会の視角から仏教の展開を再構築することと、浄土信仰や太子信仰の黎明期の実態を明らかにすることに取り組んでいる。また、平安京の成立と展開についても関心があり、平安京以前の京都の歴史も視野に入れながら検討したいと考えている。



  • ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいと思い、大変だったAO入試のプレゼンもクリアし大谷大学へ入学。趣味にかけるお金はアルバイトで稼ぎつつ、もちろん勉強も大変だけど楽しくできている。お気に入りの授業は、古代の人びとの空想を絵にするもの。
    卒論のこと、めざす職業のこと、考えていかなければならないことはたくさんあるけれども、大学4年間で歴史学に浸って、将来に生かせる力をつけていこうと思っている。