ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいとやってきた中根さんのお気に入りは、古代の人びとの空想を絵にする授業です。資料を基に状況をイメージする力は、歴史学に欠かせません。歴史を学んだ人は、社会に出て働くようになっても、培った力を生かせるときが必ずやってきます。「歴史学は学問の王様だから」と魅力を語る先生の指導のもと、中根さんの探究が始まります。

07 打ち込んでみると、楽しさがわかる

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大艸:将来について考えてることはありますか?
 
中根:それが私の一番の問題です。今まで生きてきて、なりたい職業っていうのがなくて。
 
大艸:小さい頃、作文とかで書かされたりしなかった?
 
中根:しましたけど、それは単純にケーキが食べたいからケーキ屋さんとか。「これで働きたい!」って思ったことは一回もないですね。
 
大艸:むしろ今はそういう子が多いのかもしれないですね。僕もそうやったし。
 
中根:でも大学で進路を決めたんですよね?
 
大艸:そうだね。あれこれ就活もして。
 
中根:就活もしたんですか?
 
大艸:僕が卒業する頃って、1回来た就職氷河期が回復するような時期だったんですよ。それで採用率が結構高くて、ポーンって決まっちゃったんです。就活は、業種を絞ったほうがいいですね。あれこれいろんな業種を受けると、頭がパンパンになるでしょ。絞ったほうが対策もできるし。それから、面接のときには見栄を張ったほうがいい。ハッタリをかますんや。面接官の頭の中に自分を印象付けることを言ってみる。インパクトを残したほうがいいんです。差しさわりがないと、印象に残らないでしょ。
中根:リスクがありそうですね(笑)。
 
大艸:まあそれが僕の就活のコツ。結局全部蹴っちゃったけどね。
 
中根:なんでそうしたんですか?
 
大艸:卒業論文に取り組んでるときに、楽しいなって思って。それで一念発起して内定を蹴って、漢文をバーッとやり始めて。何かきっかけがあるとね。
 
中根:きっかけですか。転がってないですかね……。
 
大艸:まずは打ち込むことだね。バイトでも勉強でも、全部充実した生活を送ったほうがいいと思いますね。僕は大学の4年間、あんまり勉強してなかったから。

PROFILEプロフィール

  • 大艸 啓

    文学部 歴史学科 講師



    1982年京都市生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。 同朋大学仏教文化研究所所員を経て、2018年大谷大学文学部歴史学科着任。
    日本古代の仏教史像を、様々な切り口から捉えなおすことを目指している。とくに正倉院文書を素材として、官人社会・都市社会の視角から仏教の展開を再構築することと、浄土信仰や太子信仰の黎明期の実態を明らかにすることに取り組んでいる。また、平安京の成立と展開についても関心があり、平安京以前の京都の歴史も視野に入れながら検討したいと考えている。



  • ゲームでハマった刀に魅せられて、京都で歴史学を学びたいと思い、大変だったAO入試のプレゼンもクリアし大谷大学へ入学。趣味にかけるお金はアルバイトで稼ぎつつ、もちろん勉強も大変だけど楽しくできている。お気に入りの授業は、古代の人びとの空想を絵にするもの。
    卒論のこと、めざす職業のこと、考えていかなければならないことはたくさんあるけれども、大学4年間で歴史学に浸って、将来に生かせる力をつけていこうと思っている。