国際コースを選択し、順調に英語の勉強を進めている佐々木君ですが、真宗学の授業は全部難しいと言います。なかなか自分の意見がまとめられないと嘆く佐々木君に、長年真宗学を学んできたConway先生は、真宗の勉強には時間がかかると理解を示します。その上で、さらに上を目指してほしいと、大学院や開教使の仕事についても紹介してくれます。卒業後はまずワーキングホリデーに行って世界を見ようと考えている佐々木君の未来は、限りなく広がっています。

05 恵まれた環境から抜け出して、自分を見つめたい

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Conway:授業で面白かったのは?
 
佐々木:2年生の「人間学」は近藤先生が担当されてたんですけど、いろんな国々をボランティアしながら周ってたっていう経歴をお持ちで、その体験談をもとに講義をしてらっしゃって、とても面白かったです。
 
Conway:それは面白そうですね。そういうことやってみたい?
 
佐々木:はい。元から留学もしたくて、どうせ行くなら長期で行きたいなって考えてたんですけど、今のコロナ禍の状況ではちょっと無理そうで。それを親に言ったら、本当に行きたいなら卒業してからでも……って。
 
Conway:卒業してからなら、青年海外協力隊とか、いろんな可能性があると思うんですよね。そういうのは調べてる?
 
佐々木:めっちゃ調べてます。今は、オーストラリアでワーキングホリデーがいいかなと思ったりしてます。
 
Conway:なんでワーキングホリデーに行きたいの?
 
佐々木:自分は今まで、なに不自由なく育ててもらったと思ってて。でも一度日本の外に出ると、今までに見てきたものとは全く違った文化や生活があるんですよね。今まで生きてきた恵まれた環境から抜け出すことで、新しい自分というか、考え方の多様性を知るためにも、若いうちに外から見るっていう経験をしておきたいと思って、それにはワーキングホリデーが最適だと思いました。
 
Conway:現地で何か人のためになるような仕事を?
 
佐々木:そうですね。オーストラリアへ行きたいのは、移民国家なので、様々な国のルーツを持つ人々で成り立っているっていうこともあって、多様な文化や生活を身近に感じられると思いました。日本と時差もあまりなくて、気候も良いですし。あと、時給が高いというのにも惹かれました。ワーキングホリデーで貯めたお金で、世界のいろいろな国を旅したいです。いわゆるバックパッカーみたいな感じなんですけど、1人でカメラ片手に旅をするというのが夢ですね。どこかでボランティア団体に入るのも考えています。
 
Conway:それはいいですね。そのためには、英語力を高めてもらわないとね。今は勉強どうしてる?
 
佐々木:今は勉強っていう勉強はしてないんですけど、海外の人とチャットができる「Hello Talk」っていうアプリがあって、それを使ってチャットしてます。
 
Conway:いいですね。聞き取り練習はしてる?
 
佐々木:僕は聞き取りの方が得意なんです。スピーキングの方が、ぱっと出てこないです。
 
Conway:スピーキングも練習していかないとね。でも日本にいるとなかなか練習相手を見つけられないですよね。
 
佐々木:はい。だから1人でしゃべってます(笑)。
Conway:それも大事だよ(笑)。思ったことを口にするってことだね。僕が谷大に来る前にアメリカで一番言われたのが、とにかく聞きなさいっていうことですね。ラジオとかNHKとか、法話のテープとかを聞きました。
 
佐々木:法話を聞いて、分かったんですか?
 
Conway:その法話はテープ起こしがされていた音声だったので、そのテキストをもらって意味を調べて、ってやっていましたが、まあ時間かかりましたね。でもそういうことをやると良いと思うよ。ウチの妻が最近、ネット上の英会話をやり始めたんだよね。1日30分くらい、フィリピンの人とビデオ通話やってます。そういうのはやってる?
 
佐々木:お金が発生するのはやったことないです。でも何人かと電話はしたことあります。
 
Conway:電話難しいよね。本当にあれは恐怖だったよ……。全然顔を見れないし、こっちが外国人だってこともわかってもらえないから、日本に住んでから家の電話が鳴ると、いつもドキッとしてたよ。今はだいぶ慣れましたけど(笑)。

PROFILEプロフィール

  • マイケル コンウェイ

    文学部 真宗学科 准教授



    1976年アメリカ合衆国イリノイ州生まれ。1997年ノースウェスタン大学卒業(歴史学専攻)。2003年大谷大学大学院修士課程(真宗学専攻)入学。2005年大谷大学大学院修士課程修了。2006年大谷大学大学院博士後期課程(真宗学専攻)入学。2009年大谷大学大学院博士後期課程満期退学。2009年大谷大学文学部任期制助教着任(2011年まで)。2011年博士号取得、東方仏教徒協会(The Eastern Buddhist Society)編集者着任(2015年まで)。現在、大谷大学文学部准教授(真宗学)。
    親鸞の思想の背景を知るために、中国浄土教の祖師、とりわけ隋・唐代に活躍した道綽を中心に研究を進めてきた。また、親鸞の思想が現代にまでどのように展開されてきたかということを視野に入れ、曽我量深、金子大栄、安田理深に代表される真宗大谷派の近代教学者の研究にも取り組んできた。更に近年では真宗の教義と教学をいかに英語で表現すべきかという問題について考えており、鈴木大拙が英訳された『教行信証』を始めとして、親鸞の書物の英訳を比較し考察している。



  • 国際コースを選択し、カナダでのホームステイも経験した。国外に出て全く違う文化や生活を見たり体験したことで、これまでの自分の環境がとても恵まれていたのだと気づかされた。
    日本に戻ってからも海外の人とチャットができるアプリを活用したり、スピーキングの練習をしたりと、順調に英語の勉強を進めている。卒業後は、まずワーキングホリデーに行ってもっと世界を見ようと考えている。