国際コースを選択し、順調に英語の勉強を進めている佐々木君ですが、真宗学の授業は全部難しいと言います。なかなか自分の意見がまとめられないと嘆く佐々木君に、長年真宗学を学んできたConway先生は、真宗の勉強には時間がかかると理解を示します。その上で、さらに上を目指してほしいと、大学院や開教使の仕事についても紹介してくれます。卒業後はまずワーキングホリデーに行って世界を見ようと考えている佐々木君の未来は、限りなく広がっています。

03 一生の付き合いとなる寮仲間

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Conway:残留生として寮に残られたってことですが、その残留生というのは、どうやって決まるんですか?
 
佐々木:僕らの代は寮生が18人くらいいたんですけど、その中から2人が、1学年下の入学生にいろいろ伝えるために残ります。僕はお願いされたんですけど、立候補する人もいます。1人暮らしをするよりも、経済的な負担が減るので。
 
Conway:それは両親が喜びますね。
 
佐々木:そうですね(笑)。本音としては、早く1人暮らししたかったんですけど、まあ寮は寮で楽しいし、10何畳かのすごい広い部屋に1人だし。図書室もあって結構資料もいっぱいあるし。すごくいい環境ですね。
 
Conway:最初からそんなに大きい部屋に1人?
 
佐々木:完全な1人部屋になったのは残留のときで、1年生のときは大きな部屋がふすまで仕切られていて、まあ実質1人ずつのスペースで生活してました。
 
Conway:残留生にはどんな役割があるの?
 
佐々木:寮則っていうのがあるんですけど、それを1年間守れるようにキッチリさせることですね。掃除当番やごみ当番とか、風呂掃除とかもあるんで。最初は残留生も一緒に指導して回るんですけど、慣れてきたらもう任せます。あとは、1週間に1回、寮内の掃除があって、そのチェックを寮監さんと一緒にやるくらいです。もちろん規則もあるんですけど、結構自由ですね。
 
Conway:勤行は?朝事勤行と夕事勤行があるよね?それは必ず出席しなければならないの?
 
佐々木:朝は全員です。夕事勤行は、寮にいれば出るんですけど、用事があって出かけたりしてる場合は出なくてもいいことになってます。でも就寝勤行っていうのが11時にあって、それを夕事勤行に出なかった人でやるっていうのが決まりですね。
 
Conway:寮の魅力って?
 
佐々木:いっぱいありますよ。大学に入ってすぐって、友達も作りにくいところがあると思うんですけど、寮は入学式の前に始まって、友だちを作ってから大学生活がスタートするので、いいスタートが切れると思います。それから、宿題をするにもテストの時も、本当に助け合ってやる感じですね。
Conway:昨日、ある授業の打ち合わせを教員でやったんですけど、去年は寮生の現代語訳がみんな一緒だったって言って、教員がすごく怒ってましてね(笑)。
 
佐々木:僕はそれには関与してないです(笑)。勉強に関してはあんまり聞かれなかったです。多分、頼りなかったんだと思います(笑)。
 
Conway:いやいや。でも18歳で1年間を共に過ごしただけの関係でも、その後ずっと続くんですよね。僕も、以前に同僚の結婚式に呼ばれたんですけど、35〜36歳のおっさんたちが、18歳のノリで付き合っていて、寮の濃い付き合いを知らない私だけ、ちょっと寂しい気分でしたよ。まあ、あのノリにはちょっとひきましたけど(笑)。

PROFILEプロフィール

  • マイケル コンウェイ

    文学部 真宗学科 准教授



    1976年アメリカ合衆国イリノイ州生まれ。1997年ノースウェスタン大学卒業(歴史学専攻)。2003年大谷大学大学院修士課程(真宗学専攻)入学。2005年大谷大学大学院修士課程修了。2006年大谷大学大学院博士後期課程(真宗学専攻)入学。2009年大谷大学大学院博士後期課程満期退学。2009年大谷大学文学部任期制助教着任(2011年まで)。2011年博士号取得、東方仏教徒協会(The Eastern Buddhist Society)編集者着任(2015年まで)。現在、大谷大学文学部准教授(真宗学)。
    親鸞の思想の背景を知るために、中国浄土教の祖師、とりわけ隋・唐代に活躍した道綽を中心に研究を進めてきた。また、親鸞の思想が現代にまでどのように展開されてきたかということを視野に入れ、曽我量深、金子大栄、安田理深に代表される真宗大谷派の近代教学者の研究にも取り組んできた。更に近年では真宗の教義と教学をいかに英語で表現すべきかという問題について考えており、鈴木大拙が英訳された『教行信証』を始めとして、親鸞の書物の英訳を比較し考察している。



  • 国際コースを選択し、カナダでのホームステイも経験した。国外に出て全く違う文化や生活を見たり体験したことで、これまでの自分の環境がとても恵まれていたのだと気づかされた。
    日本に戻ってからも海外の人とチャットができるアプリを活用したり、スピーキングの練習をしたりと、順調に英語の勉強を進めている。卒業後は、まずワーキングホリデーに行ってもっと世界を見ようと考えている。