国際コースを選択し、順調に英語の勉強を進めている佐々木君ですが、真宗学の授業は全部難しいと言います。なかなか自分の意見がまとめられないと嘆く佐々木君に、長年真宗学を学んできたConway先生は、真宗の勉強には時間がかかると理解を示します。その上で、さらに上を目指してほしいと、大学院や開教使の仕事についても紹介してくれます。卒業後はまずワーキングホリデーに行って世界を見ようと考えている佐々木君の未来は、限りなく広がっています。

06 フィールドワークで自分の可能性を探る

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佐々木:国際コースのフィールドワークは、どんな感じなんですか?
 
Conway:今予定を立てているところなんですが、7月の試験が終わった次の日くらいから行って、お盆前に帰って来れるようにと思っています。10日間くらいを考えていまして、滞在するところは、最初はバークレー。数日滞在した後にロサンゼルスに移って、そこでも4日間くらい。ロスには大谷派と関係のあるお寺が多いですから、そこに行ったり、長年キリスト教の教会などで宗教間対話に関わっている先生がいるから、話を聞いたり。
夜は基本的に自由時間です。お昼ご飯も各自で食べて来いってことにしていて。5時ごろに解散して、夕方の食事は自分たちで探して食べるような形を取っています。以前、その時間を利用して靴を買いに行っていた人たちもいましたね。それから、できればロスで1日自由時間にしようと思っています。初めて行った時は、バスケを見に行ったりしました。
 
佐々木:めっちゃ楽しみです。
 
Conway:本当に良い経験になると思いますよ。アメリカの仏教の現状と課題を把握してもらうために、アメリカの寺院に行って開教使(※)さんの話を聞いてもらったり、開教活動に関わっている人たちの話を聞いてもらうような機会になっているんですよ。アメリカの宗教事情を広く知るために、他宗教の施設もいくつか訪ねて、そこで教えておられる先生方からもお話を拝聴するという授業です。
 
佐々木:大学とかじゃなくて、寺院がメインなんですか?
 
Conway:西本願寺の組織の中にはかなり多くの海外の寺院があるんですけど、そこの人物育成のために大学院大学があるんですよ。そこを訪問したり、先生方から話を聞く機会もあるんです。主に開教現場で話を聞くことになっているんですが、大きな目的としては、アメリカの仏教の現状と課題を把握してもらって、日本の仏教の現状について新たな視点を見出してもらうこと。もう1つは、皆さんが自分の進路として、どこに行けるのかっていうことを知ってもらうために、開教使の仕事もありますよとか、大学院の進学もありますよということを実際に見てもらっています。進路について海外でいろいろな可能性があるんだっていうことを知ってもらいたいと思います。開教使には興味がある?
 
佐々木:全くないわけじゃないですけど、海外の浄土真宗を学んでいる人っていうのは、本当に知識があってすごいと思うんですよ。だから下手なことを言えないじゃないですか。
Conway:言えないよね。だから大学院に行けって言ってるじゃないですか(笑)。
 
佐々木:それに、英語力も問われるし。だから自信がないというか、怖いですね。
 
Conway:まあ最初からダメだと思わずに、やってみるのも大事だよ。谷大出身者で、大学院で修士号を取った学生の話を聞いてもらう機会もあるんですよ。実はそこで誰か目覚めたらいいなと思ってます。佐々木君が行って、ここで2年間勉強したい、と思ってくれたらいいね(笑)。
 
佐々木:はは(笑)。
(※開教使……広く海外に教法を宣布するための活動に携わる僧侶。日本国外の寺院などに派遣される。)

PROFILEプロフィール

  • マイケル コンウェイ

    文学部 真宗学科 准教授



    1976年アメリカ合衆国イリノイ州生まれ。1997年ノースウェスタン大学卒業(歴史学専攻)。2003年大谷大学大学院修士課程(真宗学専攻)入学。2005年大谷大学大学院修士課程修了。2006年大谷大学大学院博士後期課程(真宗学専攻)入学。2009年大谷大学大学院博士後期課程満期退学。2009年大谷大学文学部任期制助教着任(2011年まで)。2011年博士号取得、東方仏教徒協会(The Eastern Buddhist Society)編集者着任(2015年まで)。現在、大谷大学文学部准教授(真宗学)。
    親鸞の思想の背景を知るために、中国浄土教の祖師、とりわけ隋・唐代に活躍した道綽を中心に研究を進めてきた。また、親鸞の思想が現代にまでどのように展開されてきたかということを視野に入れ、曽我量深、金子大栄、安田理深に代表される真宗大谷派の近代教学者の研究にも取り組んできた。更に近年では真宗の教義と教学をいかに英語で表現すべきかという問題について考えており、鈴木大拙が英訳された『教行信証』を始めとして、親鸞の書物の英訳を比較し考察している。



  • 国際コースを選択し、カナダでのホームステイも経験した。国外に出て全く違う文化や生活を見たり体験したことで、これまでの自分の環境がとても恵まれていたのだと気づかされた。
    日本に戻ってからも海外の人とチャットができるアプリを活用したり、スピーキングの練習をしたりと、順調に英語の勉強を進めている。卒業後は、まずワーキングホリデーに行ってもっと世界を見ようと考えている。