文学科での勉強に加え、アルバイトにサークル活動、さらには教職課程の勉強もこなす山本さんは、常に多忙です。大学生活にかかる費用を自分で賄うためのバイトはキツイものの、学ぶことも多くあり、時間のやりくりの能力も磨かれています。学生の多くが苦手とする国文法に関する授業を面白く感じ、将来は高校の国語の先生になることを希望しています。日々、古典嫌いの学生に悩まされている先生も、山本さんには大きな期待を寄せています。

06 好きなものをプレゼンする授業の聞く楽しさ

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佐藤:私の授業で、自分がお勧めするものをプリント1枚に収まる範囲でプレゼンしましょうっていうのをやったやんか。あの時は何したんだった?
 
山本:僕は好きなバンドの紹介をしました。
 
佐藤:ああ、そうだったね。あれは、発表者のことをみんなによく知ってもらおうと思ってやったんですよ。好きなものは何か、って。面白いのたくさんあったよね。ゴリラが作るバナナジュースの店、とかね。店員さんが「ウホ」しか言わないとか、私、今でもよく覚えてるよ。若者だからゲームや音楽っていうのが多いのはわかるんだけど、料理や掃除機っていうのもあったね。
 
山本:掃除機の「Shark」でしたっけ。あれは面白かったですね。すごく印象に残ってます。
 
佐藤:大学生が掃除機に入れ込むってね。きっと顔を見るたび思い出すよね。あの発表は、その学生が今凝っているものを教えてくれるから面白いし、人前で話すことにも慣れていくからね。教員になると、最初は教えることで精いっぱいだと思うけど、そのうち聞く楽しみっていうのも出てきますよ。私も今の若い人が何を考えているかを聞けるのは楽しいんですよ。みんなとても上手にプレゼンしてくれたけど、最近は、お勧めの声優さんとか、VTuberっていうのも増えたな。新しいものを取り上げると、例えば「VTuberって何?」ってところから説明しなきゃいけないから大変なはずだけど、よく伝わったよね。でもVTuberって、ある種謎じゃん。発信したいのに隠したいんでしょ?
 
山本:そう言われると難しいですね。好きっていう人は結構いると思いますけど。
 
佐藤:やってる子もいる?
 
山本:それは知らないですね。作り自体は簡単なんですけど、アバターを作るのにもお金がかかったりするので。
 
佐藤:そうなんだ。コロナ禍になって、教員の間でもどうやって魅力的なオンライン授業をやるかについてよく話すんですよ。背景をどうするとか、バックミュージックはかけるかとかね。アバターを使うっていうのはどう?私だったら、恐竜のアバターに話させるとか。
 
山本:印象には残りますね(笑)。先生がアバターを使ってたら、その授業は面白そうだなって思いますね。僕はオンライン授業はなかったので、見てみたいなとは思います。
佐藤:そうか、オンライン授業がなかったのか!それはそれでいいね。研究者の会議はオンラインなんだけど、常に背景が田んぼの先生がいて、いつも私笑っちゃうんだよね。どこで話してるの、と思って(笑)。パリの街並みを背景にしてる先生もいるし、みんな一応気を配っているんですよ。コロナ禍では不都合なことが多いけど、ICTを活用しようっていうのはいいよね。教職でもやると思うけど、そういうのは不得意ではないですか?
 
山本:苦手意識はないですけど、これまでそんなに触れてはこなかったですね。
 
佐藤:そうなんだ。近年、大学の教員業界は激動ですよ……。学生からは「10分以上のYouTubeは見るの辛いです」って言われちゃうし。まあ、確かにね。そう思うと、YouTuberって見せる工夫をちゃんとしててすごいよね。まあ大谷大学は対面授業が多いから、オンライン授業はあんまりなくていいけどね。

PROFILEプロフィール

  • 佐藤 愛弓

    文学部 文学科 准教授



    2000年 名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2003年 名古屋大学文学研究科COE研究員。2004年 日本学術振興会特別研究員(PD)。2007年 大谷大学文学部任期制助教。2013年 天理大学文学部准教授。2020年大谷大学文学部准教授。
    高校生の時に芥川龍之介の『羅生門』を読み、大学生になってからその元になった『今昔物語集』の説話を読んだ。当初は、「芥川の主張が魅力的だなあ」と思っていたが、そのうちふと『今昔』の簡潔な表現がもたらす強い印象が気になりはじめた。以来、説話の持つ、簡潔な文体と、はやい物語展開に興味を持ち、それがどのような場で醸成されたのかを追求している。その場の一つとして寺院に注目し、資料調査を行っている。



  • 高校時代に仲の良かった先輩のすすめで大谷大学を受験した。人と話したり人の話を聞いたりする中で、特に表現方法としての言葉に興味があり、多くの学生が苦手とする国文法に関する授業も面白いと感じている。
    将来は、高校の国語の先生になることが目標。アルバイトにサークル活動、さらには教職課程の勉強もこなす多忙な毎日は疲れるが、うまく切り替えながら、忙しい生活からもさまざまなことを学んでいる。