文学科での勉強に加え、アルバイトにサークル活動、さらには教職課程の勉強もこなす山本さんは、常に多忙です。大学生活にかかる費用を自分で賄うためのバイトはキツイものの、学ぶことも多くあり、時間のやりくりの能力も磨かれています。学生の多くが苦手とする国文法に関する授業を面白く感じ、将来は高校の国語の先生になることを希望しています。日々、古典嫌いの学生に悩まされている先生も、山本さんには大きな期待を寄せています。

07 高校の国語は結構難しい

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佐藤:高校の古典の授業で印象に残ってるのはある?
 
山本:……何やろ?あんまり記憶にないですね。近現代も含めるんだったら、個人的には『山月記』は好きでしたけど。
 
佐藤:そうなの!?「自意識を鬱々とこじらせました」みたいな話だけど、共感した?
 
山本:いや、共感ではなかったです。
 
佐藤:そうだよね、あれに共感はしないよね(笑)。じゃあ『こころ』は?
山本:面白かったです。授業でやって面白かったので、自分でも小説買って読みました。
 
佐藤:そうか、ああいうのが好きなのか。高校の国語の教科書って、結構難しいんだよね。『こころ』も、なぜ自殺したのかってことを、国語が得意な10人に教えるならまだしも、得意じゃない30人にも教えなきゃいけないから。古典だったら『方丈記』もやるけど、若者がだよ、「ゆく川の流れは絶えずして しかももとの水にあらず……」なんてやるわけだけど、そもそも隠者の文化と高校生って、合わないと思うんだよね。難しいよね……。あとは『枕草子』とか『徒然草』とか。『平家物語』もやった?
 
山本:はい。小学生の時に暗唱させられました。意味はわからなかったので、音だけで暗唱した感じです(笑)。
佐藤:そうか、小学校の先生もすごいね。小学生にあれを暗唱させるんだ。暗唱シリーズだったら「春はあけぼの……」はやった?
 
山本:暗唱はしませんでしたけど、文章はやりました。あとは、高校で「いずれの御時か……」は冒頭だけ暗唱しました。
 
佐藤:なるほどね。今は最初だけでも暗唱させる先生とさせない先生がいるんですよね。近現代の文章はどう?『羅生門』の「一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた」は?
 
山本:暗唱はしてないですね。
 
佐藤:そうか。暗唱するかどうかはやっぱり先生次第なんですね。どちらがいいっていうのはないけど、ぜひとも国語嫌いにならないようにお願いしたいです。特に古典は「嫌われない」がテーマです(笑)。

PROFILEプロフィール

  • 佐藤 愛弓

    文学部 文学科 准教授



    2000年 名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2003年 名古屋大学文学研究科COE研究員。2004年 日本学術振興会特別研究員(PD)。2007年 大谷大学文学部任期制助教。2013年 天理大学文学部准教授。2020年大谷大学文学部准教授。
    高校生の時に芥川龍之介の『羅生門』を読み、大学生になってからその元になった『今昔物語集』の説話を読んだ。当初は、「芥川の主張が魅力的だなあ」と思っていたが、そのうちふと『今昔』の簡潔な表現がもたらす強い印象が気になりはじめた。以来、説話の持つ、簡潔な文体と、はやい物語展開に興味を持ち、それがどのような場で醸成されたのかを追求している。その場の一つとして寺院に注目し、資料調査を行っている。



  • 高校時代に仲の良かった先輩のすすめで大谷大学を受験した。人と話したり人の話を聞いたりする中で、特に表現方法としての言葉に興味があり、多くの学生が苦手とする国文法に関する授業も面白いと感じている。
    将来は、高校の国語の先生になることが目標。アルバイトにサークル活動、さらには教職課程の勉強もこなす多忙な毎日は疲れるが、うまく切り替えながら、忙しい生活からもさまざまなことを学んでいる。