文学科での勉強に加え、アルバイトにサークル活動、さらには教職課程の勉強もこなす山本さんは、常に多忙です。大学生活にかかる費用を自分で賄うためのバイトはキツイものの、学ぶことも多くあり、時間のやりくりの能力も磨かれています。学生の多くが苦手とする国文法に関する授業を面白く感じ、将来は高校の国語の先生になることを希望しています。日々、古典嫌いの学生に悩まされている先生も、山本さんには大きな期待を寄せています。

05 望まれているのは、古典を嫌いにさせない先生

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佐藤:国語の先生になるってことだよね?
 
山本:はい。最初から国語志望です。話すのとか人の話を聞くのも好きなので、国語的な言葉とか表現に興味があったっていうのが大きいですね。
 
佐藤:そうなんですね。面白いと思う授業は?
 
山本:「国語学概論」です。大秦先生の授業なんですけど、自分的にはすごく面白いと思ってます。あとは「国文法講義」です。
 
佐藤:本当!?そう言ってもらえると嬉しいですね。「文法」という言葉を使うと、学生は遠く離れていくんですよ……。特に古典文法って人気ないんですよ。古典文法をやればやるほど古典をやる子が減っていくんじゃないかとさえ思っていてね。古典はどう?
 
山本:難しいなとは思うんですけど、大秦先生の話し方も面白くて。今まで高校で習ったことを深く掘り下げて話してくれるので、新しい解釈ができるというか、「これはこうやったんだ」みたいなのが面白いです。
 
佐藤:そうなんですよ!文法って、決まったものじゃないんですよ。古典を担当してるのは大秦先生と中川先生と私なんですけど、中川先生と私は、できるだけ「文法」っていう匂いをさせないで古典を語りたいと思ってるんです。中学・高校では「活用を覚えなさい」って言われるけどね。大秦先生は国語学の先生なので文法は避けて通れないんだけど、きっとそこをすごく上手に伝えてはるんだろうね。山本君には、高校で古典を嫌いにさせない先生になってほしいと思います。我々は「古典は難しくないんだよ、面白いんだよ」ってことを伝えるので精いっぱいなのでね。だから大秦先生の面白い話は、そのまま自分の授業で使ってしまうといいですよね(笑)。
学生って、古典はすごく昔のものだと思ってるんですよ。だからお菓子のパッケージの由緒書きや観光地の伝説なんかから説話が始まるっていう話をして、古典嫌いを洗い流そうと思ってます。山本君が古典に対して拒否感がないっていうのはめちゃ嬉しいですね。
 
山本:高校の時は得意ではなかったんですけど、国語の先生と仲が良かったので、拒絶反応みたいなのはなかったですね。
 
佐藤:良かった……。数年後に先生になったら直面すると思うけど、本当に古典嫌いな子っているからね……。古典と近現代だったらどっちが好き?
 
山本:興味があるのは近現代ではあるんですけど、古典も先生になったら触れないといけないので、ちゃんとやろうかなって思います。

PROFILEプロフィール

  • 佐藤 愛弓

    文学部 文学科 准教授



    2000年 名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2003年 名古屋大学文学研究科COE研究員。2004年 日本学術振興会特別研究員(PD)。2007年 大谷大学文学部任期制助教。2013年 天理大学文学部准教授。2020年大谷大学文学部准教授。
    高校生の時に芥川龍之介の『羅生門』を読み、大学生になってからその元になった『今昔物語集』の説話を読んだ。当初は、「芥川の主張が魅力的だなあ」と思っていたが、そのうちふと『今昔』の簡潔な表現がもたらす強い印象が気になりはじめた。以来、説話の持つ、簡潔な文体と、はやい物語展開に興味を持ち、それがどのような場で醸成されたのかを追求している。その場の一つとして寺院に注目し、資料調査を行っている。



  • 高校時代に仲の良かった先輩のすすめで大谷大学を受験した。人と話したり人の話を聞いたりする中で、特に表現方法としての言葉に興味があり、多くの学生が苦手とする国文法に関する授業も面白いと感じている。
    将来は、高校の国語の先生になることが目標。アルバイトにサークル活動、さらには教職課程の勉強もこなす多忙な毎日は疲れるが、うまく切り替えながら、忙しい生活からもさまざまなことを学んでいる。