大学生活も半分が終わろうとする中で自分を見つめなおしたとき、より自分に向いていると思えた小学校の教員になるべく、板尾さんは受験をし直しました。晴れて二度目の大学1年生になった今、チャンスは自ら掴みに行かないと、自身の成長にはつながらないと認識している板尾さんは、叶えたい自分の姿も明確に描いています。コロナ禍を経て、デジタルネイティブの子どもたちを教えるという前例のない領域において、新たな教育を切り拓くチャレンジが始まります。

06 早くから現場の空気に触れられる学校ボランティア

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井上:ボランティアとして小学校に初めて入ってみて、どう?
 
板尾:すごく親切な先生方が多いです。僕は1年生のクラスに入って、担任の先生と一緒にチームティーチングという形を取ったり、後ろで見守ってたりすることが多いんですけど、大学だけじゃ得られないことが多くて。実際に体験してみないとわからないことってあるじゃないですか。それを、先生になってから気づくんじゃなくて、学生のうちに現場の雰囲気を知れるのが、ボランティアをやってて一番良かったことだと思います。
 
井上:本当に授業の中に入って体験できてるんだね。
板尾:はい。大学の授業で扱われた内容がそのまま小学校の授業で行われたりして。本当にリアルな空気を味わえます。集中力が持たない子にどうやって接してるのかとか、先生がどうやって授業の準備をしているかとか、僕が子どもだった頃では気づかないところを、ボランティアでは学べますね。
 
井上:現場を知って、マイナスの印象になったことはない?
 
板尾:そうですね……。もし1年目から担任を持つことになったら、大丈夫かなとは思います。結構ベテランの先生方も苦労されていて、教育には絶対これだっていうものはないので。
 
井上:歳を重ねても、子どもとうまくいかないってことはあるんですよ。自分の過去の経験が通用しないっていうことはあるからね。自分が小さい時と比べて、子どもが変わってるっていうのは感じる?
 
板尾:そうですね、小学生はみんなデジタルの世界を知ってますね。1年生でも「オンラインでゲームしようぜ」って言ってますし。でも、ある程度の制限は必要だと思うんです。新しい世界に飛び出していくにも、ちゃんとしたルールがないと。そういうのは、デジタルネイティブだとしても、親の管理とか先生からの指導が大事だなと思います。
 
井上:今は、人としてとか社会人としての規律や役割を教えられない家庭もあるよね。だから学校がその辺のことも担わざるを得ないから、先生方がたじろぐっていうケースも出てきているんですよね。
 
板尾:家にもよると思うんですけど、タブレットを渡しておけば、とか、デジタル教材を与えておけば、みたいな感じで、親と子の関係がちょっと離れたのかなと思うんですよ。自分の世界に入り込むというのが早い時期から起こっているので、親と話す時間が減っていると感じます。そこはちゃんと人と関わらせることが大切かなと思います。

PROFILEプロフィール

  • 井上 和久

    教育学部教育学科 准教授



    1961年兵庫県生まれ。大谷大学文学部卒業。兵庫教育大大学院学校教育研究科修士課程終了。兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。博士(学校教育学)。兵庫県立高等学校、兵庫県教育委員会、兵庫県立特別支援学校、大和大学教育学部准教授を経て、2018年に大谷大学文学部着任。
    障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶインクルーシブ教育システム構築のための、早期からの支援方法と支援継続のための地域や学校等でのシステムの研究を行っている。具体的には、保育所・幼稚園・小中学校の先生を対象にした「幼児期から学齢期までの支援継続のためのガイドブック」「中学校から高等学校への支援継続のためのガイドライン」の作成、「特別支援学校のセンター的機能と関係機関が連携した早期からの支援システム」の提案などを行っている。



  • 以前は別の大学で学んでいたが、大学生活も半分が終わろうとする中で自分を見つめなおしたとき、小学校の教員が、より自分に向いていると思えて、再受験した。
    チャンスは自ら掴みに行かないと、自身の成長にはつながらないと認識している。叶えたい自分の姿も明確に描いており、コロナ禍を経て、デジタルネイティブの子どもたちを教えるという前例のない領域において、新たな教育を切り拓くチャレンジが始まる。