大学生活も半分が終わろうとする中で自分を見つめなおしたとき、より自分に向いていると思えた小学校の教員になるべく、板尾さんは受験をし直しました。晴れて二度目の大学1年生になった今、チャンスは自ら掴みに行かないと、自身の成長にはつながらないと認識している板尾さんは、叶えたい自分の姿も明確に描いています。コロナ禍を経て、デジタルネイティブの子どもたちを教えるという前例のない領域において、新たな教育を切り拓くチャレンジが始まります。

05 「やってみよう」を育てられる小学校の魅力

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井上:今、小学校の先生がブラックとか言われて、倍率も下がってきている中で、小学校の先生を目指すっていう、小学校の魅力って何?
 
板尾:学校ボランティアに行って実感したんですけど、何かを教えてフィードバックがあるとすごく嬉しいです。子どもたちの反応が嬉しくて、それがあるから頑張れるのかなって思います。
 
井上:中高の英語教員の免許は取らないの?
 
板尾:取らないです。中学高校となると、やっぱり受験英語になると思うんですよ。僕は受験するための勉強を教えたいわけじゃないので。受験に関係ない英語を教えられるのって、小学校しかないと思うんです。英語の楽しさというか多様性を教えられるのは小学校しかないので。
 
井上:なるほど。小学校では、どんな授業をしたい?
 
板尾:自分はわりと機械に強くて、プレゼンの資料を作ったりするのが好きなので、そういうテクノロジーを最大限に生かしたいと思います。でもやっぱり人が教えるっていうのが大事で、ロボットが教えるじゃダメで、機械と人間性の両立っていうのが難しいのかな。使えるものは使って、聴覚や視覚といった五感に訴えて、バラエティに富んだ授業をしたいです。
井上:機械と人との共存は、これからの新しい小学校だね。どんなクラスにしたいっていう希望はある?
 
板尾:勉強って、自分の力っていうよりは、チームワークによるところが大きいと思うんですよ。自分だけが頑張ってても、もし友達が頑張ってなかったらモチベーションが落ちるかもしれない。でも、友達が頑張ってるから自分も頑張るっていう、高めあう雰囲気のクラスができれば、みんな頑張ってくれるかなと思います。そうなると、ネガティブなことが起きるのも少ないかなと。
あとは「やってみよう」って思える気持ちを育てていきたいと思います。例えば、ここの長さはどうなってるんだっていう問いがあったら、じゃあ自分の持ってるもので測ってみようとか、太陽ってどう動いているのか観察してみようとか。自分でやってみる機会を増やしたいです。統一された価値観がなくても良いんですけど、自分なりに感じてくれればいいなと思います。
 
井上:そういう積み重ねが、子どもをどう成長させていく?
 
板尾:主体性が身につくのじゃないかと思います。「やってみよう」が中心だと、自分から動かないとわからないので、従来型の授業とは違って、自分から動いていけるのかなと。

PROFILEプロフィール

  • 井上 和久

    教育学部教育学科 准教授



    1961年兵庫県生まれ。大谷大学文学部卒業。兵庫教育大大学院学校教育研究科修士課程終了。兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。博士(学校教育学)。兵庫県立高等学校、兵庫県教育委員会、兵庫県立特別支援学校、大和大学教育学部准教授を経て、2018年に大谷大学文学部着任。
    障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶインクルーシブ教育システム構築のための、早期からの支援方法と支援継続のための地域や学校等でのシステムの研究を行っている。具体的には、保育所・幼稚園・小中学校の先生を対象にした「幼児期から学齢期までの支援継続のためのガイドブック」「中学校から高等学校への支援継続のためのガイドライン」の作成、「特別支援学校のセンター的機能と関係機関が連携した早期からの支援システム」の提案などを行っている。



  • 以前は別の大学で学んでいたが、大学生活も半分が終わろうとする中で自分を見つめなおしたとき、小学校の教員が、より自分に向いていると思えて、再受験した。
    チャンスは自ら掴みに行かないと、自身の成長にはつながらないと認識している。叶えたい自分の姿も明確に描いており、コロナ禍を経て、デジタルネイティブの子どもたちを教えるという前例のない領域において、新たな教育を切り拓くチャレンジが始まる。