大学生活も半分が終わろうとする中で自分を見つめなおしたとき、より自分に向いていると思えた小学校の教員になるべく、板尾さんは受験をし直しました。晴れて二度目の大学1年生になった今、チャンスは自ら掴みに行かないと、自身の成長にはつながらないと認識している板尾さんは、叶えたい自分の姿も明確に描いています。コロナ禍を経て、デジタルネイティブの子どもたちを教えるという前例のない領域において、新たな教育を切り拓くチャレンジが始まります。

09 英語教育では、いろんな音を聞かせたい

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井上:小学校で英語が強い先生はまだ多くないから、おそらくあなただったら力を発揮できると思うんですよ。どんな英語の授業をしていきたい?
 
板尾:この前の授業で、広く日本人の英語力について討論したんですけど、日本人の英語力を上げるにはスピーキングが大事という意見になったんです。でも、自分たちが日本語を覚えた時って、聞くことから始めましたよね。お母さんとか周りの大人がしゃべっているのを聞いて。だから順番としては、英語ってどんな音なのかなって何回も聞くのが先だと思うんです。自分が日本語のときはどうしてたかなっていうのを思いだして、順番を守って教えたいなと思います。
そして聞くときは、バラエティに富んだ音を聞く。日本ではアメリカ英語を基本にして教えてると思うんですよ。Rが強調されてたり、Tが消えて聞こえたり。でも実際に社会に出たら、インドやスウェーデンの人がしゃべる英語もある。標準となる英語がない中で、アメリカ英語しか知らないと、将来知らない音が出てきて戸惑ってしまう。そういう状況に陥らないように、いろんな発音もあっていいんだよっていうことを伝えたいです。
 
井上:いろんな音を聞かせるためには、オーストラリア英語とかイングランドの英語とかを聞かせるってことですか?
 
板尾:そうです。オンライン環境も発達してるので、その国出身の先生とつないで「Hello!」みたいなこともできるんじゃないかと。
 
井上:アメリカ英語に慣れてからイングランド英語に、っていう流れの方が聞き取りは早くできるかと思うんやけど、あえて最初からいろんな音を聞かせる理由は?
 
板尾:自分が英語の授業を受けてきて思ったんですけど、学校ではずっと同じCDなんですよね。教科書英語の。でも高校入試とかセンター試験では、違う人がしゃべるんですよ。その時に戸惑いを覚える人が多いと思ったんです。そういうことにならないためにも、たとえアメリカ英語を教えるにしても、いろんな人がしゃべってる音を用意したいと思います。
 
井上:確かによく聞くのって、日本人が聞けるように用意された会話だったりするもんね。それでは実際に生きた英語は聞き取れないから、当然会話もできないってことか。
 
板尾:そうです。
 
井上:おそらく板尾さんのような人は、小学校の先生100人探しても滅多にいないと思うから、そこで自分の強みを出してくれたらいいかな。板尾さんには教育学科のホープとして、これからもどんどん引っ張って行ってほしいと思います。

PROFILEプロフィール

  • 井上 和久

    教育学部教育学科 准教授



    1961年兵庫県生まれ。大谷大学文学部卒業。兵庫教育大大学院学校教育研究科修士課程終了。兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。博士(学校教育学)。兵庫県立高等学校、兵庫県教育委員会、兵庫県立特別支援学校、大和大学教育学部准教授を経て、2018年に大谷大学文学部着任。
    障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶインクルーシブ教育システム構築のための、早期からの支援方法と支援継続のための地域や学校等でのシステムの研究を行っている。具体的には、保育所・幼稚園・小中学校の先生を対象にした「幼児期から学齢期までの支援継続のためのガイドブック」「中学校から高等学校への支援継続のためのガイドライン」の作成、「特別支援学校のセンター的機能と関係機関が連携した早期からの支援システム」の提案などを行っている。



  • 以前は別の大学で学んでいたが、大学生活も半分が終わろうとする中で自分を見つめなおしたとき、小学校の教員が、より自分に向いていると思えて、再受験した。
    チャンスは自ら掴みに行かないと、自身の成長にはつながらないと認識している。叶えたい自分の姿も明確に描いており、コロナ禍を経て、デジタルネイティブの子どもたちを教えるという前例のない領域において、新たな教育を切り拓くチャレンジが始まる。