大学生活も半分が終わろうとする中で自分を見つめなおしたとき、より自分に向いていると思えた小学校の教員になるべく、板尾さんは受験をし直しました。晴れて二度目の大学1年生になった今、チャンスは自ら掴みに行かないと、自身の成長にはつながらないと認識している板尾さんは、叶えたい自分の姿も明確に描いています。コロナ禍を経て、デジタルネイティブの子どもたちを教えるという前例のない領域において、新たな教育を切り拓くチャレンジが始まります。

07 子どもを育てるための親子支援

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板尾:先生は道徳教育がご専門ですか?
 
井上:特別支援教育。あとは子どもの発達。
 
板尾:それを専門で勉強しようと思ったきっかけは何ですか?
 
井上:私もここの出身なんです。2年生までは特に人生の目標がない中で、学外の障がい者のボランティアに参加する機会があって、そこで自閉症の子どもに接して、こういう道に行きたいなって思いました。当時の大谷大学には初等教育が学べる学科はなかったので、中学校か高校の先生になってから養護学校に行くという道しかなかったんです。それで高校の英語の教師になって、何年か普通高校に勤めて、それからようやく養護学校に行きました。
板尾:結構遠回りな感じがしますね。
 
井上:そうそう。最初に養護学校に行ったのは、30歳を過ぎてたかな。ようやく自分のやりたいことができるようになって、そこから実践をしながら研究しているという感じです。
 
板尾:最近はどんな研究をされてますか?
 
井上:今やってるのは、特別支援教育と言うよりも、親子支援。例えば、発達にゆっくりな子どもや発達障害の子を担任の先生や周りの専門家がサポートしても、完全にうまくいくわけではない。なぜかと言うと、子どもと一番長く時間を過ごしている人、つまりお母さん自身が、子どものことを理解しながら前向きに子育てしていく環境を作っていかない限り、子どもの発達は保障されていかないということがわかってきてね。
 
板尾:保育園でアルバイトをしてても、先生とどんなに楽しく接していても、お母さんが来ると「お母さん!」って言って行くんですよね。それだけお母さんの力って大きいんだなって実感しました。
 
井上:そうそう。だからお母さんが安心して子育てできる環境づくりとか、お母さん自身に不安があったらそれを解消してあげるとか、そういうのが必要なんですよね。

PROFILEプロフィール

  • 井上 和久

    教育学部教育学科 准教授



    1961年兵庫県生まれ。大谷大学文学部卒業。兵庫教育大大学院学校教育研究科修士課程終了。兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。博士(学校教育学)。兵庫県立高等学校、兵庫県教育委員会、兵庫県立特別支援学校、大和大学教育学部准教授を経て、2018年に大谷大学文学部着任。
    障害のある子どもと障害のない子どもが共に学ぶインクルーシブ教育システム構築のための、早期からの支援方法と支援継続のための地域や学校等でのシステムの研究を行っている。具体的には、保育所・幼稚園・小中学校の先生を対象にした「幼児期から学齢期までの支援継続のためのガイドブック」「中学校から高等学校への支援継続のためのガイドライン」の作成、「特別支援学校のセンター的機能と関係機関が連携した早期からの支援システム」の提案などを行っている。



  • 以前は別の大学で学んでいたが、大学生活も半分が終わろうとする中で自分を見つめなおしたとき、小学校の教員が、より自分に向いていると思えて、再受験した。
    チャンスは自ら掴みに行かないと、自身の成長にはつながらないと認識している。叶えたい自分の姿も明確に描いており、コロナ禍を経て、デジタルネイティブの子どもたちを教えるという前例のない領域において、新たな教育を切り拓くチャレンジが始まる。