高校とは異なる勉強の仕方にも慣れ、友達とも楽しく過ごし、バイトもして充実した学生生活を送っている濱田さんですが、自分のことを「何にも関心がない人」だと言います。何かに夢中になりたいけど、本気で頑張れることが見つからない。見つからなくてもそこそこ楽しい生活は送れているし、今後も安定した生活をしていきたいから、将来は公務員志望。そんな矛盾と若干の懸念に、残りの学生生活でどう折り合いをつけていくのか。濱田さんの「これから」に注目です。

08 知識を役立たせるのは自分

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野村:将来のことはわりと決めてるんだね。もう公務員試験の勉強してる?

濱田:ぼちぼちですね。

野村:大谷大学には、わりと公務員試験の対策講座とかあるでしょ。みんなと一緒にやると頑張れるよね。

濱田:でも友達にまだ公務員をめざしてる子がいなくて。

野村:自分から周りを巻き込んでいくのも手かもよ。もう学生時代の4分の1が過ぎ去ろうとしてるけど、今後はどうしたい?
濱田:今の授業とかを深めていきたいと思うし、公務員に対する意識ももっと強めていけたらと思います。

野村:当面のことでなんとなく充実している感じになってしまって忙しいんだけど、ちょっと余裕を持って、自分はこういう夢があったんだって刻み込んで過ごしていくことも大事だね。世の中に無関心でも生きていけるけど、プラスアルファが欲しい。なんで働かなきゃあかんのかなって、今の学生はすごく考えるんだよね。昔は問答無用って言うか、働くことに関してクエスチョンはなかったんですね。でも今は、働く意味を自分で積極的に見つけないと、結構不毛な感じで時間が過ぎていく。今の雇用環境は厳しいところもあるけど、それでもとりあえずは生きていける。そういうのを感じているわけよね。どうですか?将来的な安定を求めて公務員になりたいの?

濱田:はい。やっぱり変動がないから。何に関しても安定が一番やなって思って。それにたどり着けるように頑張りたいなって。

野村:安定って、ほとんど変わらないっていうことなんだけど、昔は未来志向型で、将来は今より良くなるはずって思えるから今を犠牲にしても頑張れたわけで、今は未来が尻すぼみだから、現状維持を目指したり、とりあえず今を楽しんで生きていこうって感じになって刹那的だよね。べつに悪くないんだけど、楽しみ方も安定志向になってる。未来に賭けていくだけの熱意をもちにくいんかな。どう?

濱田:まだ将来のことは全然ビジョンが見えてなくて。とりあえず頑張らないといけないことを探さないといけないと思って。今は将来のことは後まわしにしてる感じがあって。いつまでに考えればいいのかなって思って。

野村:そうだよね、毎日課題で忙しいのに、将来のことも考えてっていうのは、難しい注文だよね。毎日の積み重ねが将来につながるよって言えるけど、矛盾してるよね。でも、いま溜めている知識っていうのは、いつかつながりが見えてくる。単体ではあまり役に立たないと思うことでも、関連性が見えてくる時が来るかもしれない。そう思って勉強してほしいかな。最近って情報の流れがすごいから、「こんなんわかったわ」っていう感じにもなりやすいんだけど、実はわかってなかった、とかあるしね。つながりが見えてくると奥行や裏側が見えてくることもあるし。すぐに古びる知識もあるけど、もう一度読み直されたり再解釈されたりすることもあるから、見切ってしまわずにね。知識を役立たせるのは自分だから。

PROFILEプロフィール

  • 野村 明宏

    社会学部 現代社会学科 教授



    1970年神戸市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。 京都大学大学院21世紀COEプログラム研究員、四国学院大学社会学部准教授を経て、2015年大谷大学文学部准教授、2017年同大学教授、現在に至る。
    国民国家やエスニシティに関する理論社会学的研究を行ってきたが、近年はそうした研究領域を含めて、ポストモダン思想や文化研究等の理論的成果を取り入れながら、現代の社会と文化について考えている。社会学という学問領域は近代という時代に要請され誕生した学問だが、激動する現代世界ではモダニティ自体の自明性が根底から揺れ動くとともに、社会学というディシプリンも岐路に立たされているように思われる。こうした問題関心を背景にしながら、現代の管理社会化やグローバル化における社会と個人の関係をあらためて検討することを大きな研究テーマにしている。



  • 大谷大学のオープンキャンパスに参加した時に先生との接しやすさを体感して、大谷大学を選んだ。高校とは異なる勉強の仕方にも慣れ、友達とも楽しく過ごし、バイトもして充実した学生生活を送っている。
    何かに夢中になりたいけど、本気で頑張れることが見つからない。見つからなくてもそこそこ楽しい生活は送れているし、今後も安定した生活をしていきたいから、将来は公務員志望。そんな矛盾と若干の懸念にどう折り合いをつけていくのかが課題。