高校とは異なる勉強の仕方にも慣れ、友達とも楽しく過ごし、バイトもして充実した学生生活を送っている濱田さんですが、自分のことを「何にも関心がない人」だと言います。何かに夢中になりたいけど、本気で頑張れることが見つからない。見つからなくてもそこそこ楽しい生活は送れているし、今後も安定した生活をしていきたいから、将来は公務員志望。そんな矛盾と若干の懸念に、残りの学生生活でどう折り合いをつけていくのか。濱田さんの「これから」に注目です。

06 やりたいことは見つからないけど、もっと充実したい

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野村:1年生は必修科目が多いんやけど、面白い授業はある?

濱田:「人間関係論」です。もともと自分が人見知りなので、人間関係とかに興味があって。どういう風に人とコミュニケーションを取るのかとか、現代の問題に絡ませて社会に対応していくことを深く学べる講義やなと思って、面白いと思いました。いじめとか犯罪とか、ニュースですごい取り上げられることやから。

野村:事例が出てくるからリアルに感じられるんだよな。社会学って、人間の集まりの生々しさをどう調理するかっていうのも醍醐味だし。いじめとか学生にとって身近なことも学問になるんやって、感じたわけだ。

濱田:あとは「地域社会論」です。京都と大阪と兵庫の歴史とか人口の増加について学んだりしてるんですけど、知ってそうで知らないことが面白いなと思いました。

野村:同じ通勤圏だけど、言葉だって微妙にグラデーションがあったりしてね。課題はどんなのがあるの?

濱田:パソコンでレポート作ったりとか。「スポーツと健康の科学」っていう授業では、紙の真ん中に木を描いて、そこから自分のパーソナルなことを枝分かれさせていくっていう課題が大変でした。自己紹介をしていくみたいな感じなんですけど、趣味もないから、どうやって描いたらいいんやろうって思って。
野村:対外的な趣味みたいなのもオフィシャルに作っとかないとあかんね(笑)。よくあるんだよ、好きなタレントとか、本当はいなくても一応ウケのいい子を表向きに選んどく、みたいな(笑)。でも、そういいつつ、そうやって集めていっても、何となく自分らしさっていうのが意外に見えてきたりしてね。その課題をやって気づいたこととかあった?

濱田:ちゃんと自分のことをわかっておかないと描けなかったので、いろんなものを見て自分に刺激を与えていきたいと思いました。

野村:そうやって自分のことを知る作業っていうのが大切なんやね。自分はどういう人だってわかった?

濱田:何にも関心がない人やなって思いました。友人としゃべってる時とか、人に干渉しないところがあるなって思って。興味がないわけじゃないんですけど、つっこんだらあかんのかな、とか考えてしまって。

野村:自分が傷つきたくないし、相手も傷つけたくないから踏み込まないとかね。今の学生の多くって、特にしたいことはないけど、何もしたくないわけじゃないって言うか、何かあればしたいけど、それが見つからないっていう雰囲気だよね。「絶対にこれがしたい」っていうのが見つけられればいいけど、なかったらなかったでそこそこ楽しい時間は過ごせてる。でも何かにハマりたい、充実したいなっていうね。それ、どうしようかね(笑)。なんかぬるま湯に浸かってる感じがするよね。まぁ学生時代って、それを克服する時間やろね。いや、克服しなくてもええんかな?
濱田:した方がいいと思います(笑)。

野村:「そのためにはこれをやれ」ってやらされた方がいい?

濱田:その方が自分的には良いかも。そういう子の方が多いかもしれないです。

野村:そうなんだよね。役割を与えたら結構やってくれたりするんだよ。でも強要したら、ブーブー言われる(笑)。まぁ文句言いながらもやってくれたりするんだけど、教師も、あんまり学生にプレッシャーかけたくないなって思ってるし、煙たがられたくもないからね(笑)。でももっと「やって」って言ってみようかな。

PROFILEプロフィール

  • 野村 明宏

    社会学部 現代社会学科 教授



    1970年神戸市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。 京都大学大学院21世紀COEプログラム研究員、四国学院大学社会学部准教授を経て、2015年大谷大学文学部准教授、2017年同大学教授、現在に至る。
    国民国家やエスニシティに関する理論社会学的研究を行ってきたが、近年はそうした研究領域を含めて、ポストモダン思想や文化研究等の理論的成果を取り入れながら、現代の社会と文化について考えている。社会学という学問領域は近代という時代に要請され誕生した学問だが、激動する現代世界ではモダニティ自体の自明性が根底から揺れ動くとともに、社会学というディシプリンも岐路に立たされているように思われる。こうした問題関心を背景にしながら、現代の管理社会化やグローバル化における社会と個人の関係をあらためて検討することを大きな研究テーマにしている。



  • 大谷大学のオープンキャンパスに参加した時に先生との接しやすさを体感して、大谷大学を選んだ。高校とは異なる勉強の仕方にも慣れ、友達とも楽しく過ごし、バイトもして充実した学生生活を送っている。
    何かに夢中になりたいけど、本気で頑張れることが見つからない。見つからなくてもそこそこ楽しい生活は送れているし、今後も安定した生活をしていきたいから、将来は公務員志望。そんな矛盾と若干の懸念にどう折り合いをつけていくのかが課題。