高校とは異なる勉強の仕方にも慣れ、友達とも楽しく過ごし、バイトもして充実した学生生活を送っている濱田さんですが、自分のことを「何にも関心がない人」だと言います。何かに夢中になりたいけど、本気で頑張れることが見つからない。見つからなくてもそこそこ楽しい生活は送れているし、今後も安定した生活をしていきたいから、将来は公務員志望。そんな矛盾と若干の懸念に、残りの学生生活でどう折り合いをつけていくのか。濱田さんの「これから」に注目です。

04 大学での学びは、高校とは違う

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野村:どの入試方式で入ったの?

濱田:指定校制推薦です。

野村:小論文と面接、どうでした?

濱田:論文対策は、高校ですごいやりました。本を読んで論文を書くってことをやったことがなかったので、とにかく先生に聞いて。国語の先生にコツを教えていただいて書けるようにしました。

野村:高校時代は、早い段階から指定校制推薦を取ろうと思ってた?

濱田:はい。とりあえず上位にいたらいいかなと思って勉強はしてました。

野村:入試終わった後はどうやった?

濱田:11月に決まったんですけど、入学前課題が送られてきて、驚きました。また作文を書かなあかんかったり。入学前にすごい教育されてたなって感じました。
野村:大学に入学してからの方が楽だったりするからね(笑)。でもそういう風にして本に慣れていって、だんだん読める状態になってくるでしょ。卒論を書く時まで本をあまり読まないっていう子もいるから、できるだけ本には触れておいて欲しいなと思います。指定校制推薦は決まるのが早いから、入学までの半年で遊んだまま4月を迎えるのでは困るのでね。濱田さんはわりと順調だったようだね。

濱田:そうですね。いいスタートを切れました。

野村:でも大学の学びって、高校と違うでしょ。

濱田:もう全然。観点が違うなと思って。高校までは、与えられた問題を解いて答えを出すっていう感じなんですけど、大学では答えが出るまでをしっかりやっていかないといけないから、すごい大変だと思います。

野村:自分でテーマを決めて、それをゼミで発表しないといけないからね。答えがあるかどうかもわからないようなことから始めて、どういう問いが良い問いなのかっていうことを考えないといけない。高校までは、正解があって、それに向かってまっすぐ学んでいくって感じだったけど、大学の学びは問い自体を自分で設定しないといけないし。

濱田:それで不安もありました。大学では答えがいっぱいあったりするし、自分は正しい答えを導くためにどういう勉強をしたらいいのかなってわからなくなったりとか。

野村:価値観が多様化していて、いろいろある「正しさ」の中から自分なりの正解を選び取らなきゃいけないってことも関係あるかな。自己責任って言われて困ってしまうってこともあるよね。でも社会学って、自己責任とか自分の意思だと思いがちなことが、実は社会や環境によって決まっていて、意思とか責任とかいうことをいっぺん相対化して考えてみる。自分が選んでいたのは、実は生育環境とか時代とか社会に規定されているっていう風に、自分が自分であるのはどういう状況かっていうのを考えたりするんですよ。そういう中で学んでいけばいいかな。

PROFILEプロフィール

  • 野村 明宏

    社会学部 現代社会学科 教授



    1970年神戸市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。 京都大学大学院21世紀COEプログラム研究員、四国学院大学社会学部准教授を経て、2015年大谷大学文学部准教授、2017年同大学教授、現在に至る。
    国民国家やエスニシティに関する理論社会学的研究を行ってきたが、近年はそうした研究領域を含めて、ポストモダン思想や文化研究等の理論的成果を取り入れながら、現代の社会と文化について考えている。社会学という学問領域は近代という時代に要請され誕生した学問だが、激動する現代世界ではモダニティ自体の自明性が根底から揺れ動くとともに、社会学というディシプリンも岐路に立たされているように思われる。こうした問題関心を背景にしながら、現代の管理社会化やグローバル化における社会と個人の関係をあらためて検討することを大きな研究テーマにしている。



  • 大谷大学のオープンキャンパスに参加した時に先生との接しやすさを体感して、大谷大学を選んだ。高校とは異なる勉強の仕方にも慣れ、友達とも楽しく過ごし、バイトもして充実した学生生活を送っている。
    何かに夢中になりたいけど、本気で頑張れることが見つからない。見つからなくてもそこそこ楽しい生活は送れているし、今後も安定した生活をしていきたいから、将来は公務員志望。そんな矛盾と若干の懸念にどう折り合いをつけていくのかが課題。