こだわっている古着のことについて、語りだしたら止まらないほどの熱情を持っている青山君は、卒論でも古着について取り組みます。自分の足でデータを集めに行ったり、自主的に気になることをまとめたりして卒論に備える一方で、純粋に古着を楽しみたいから、仕事にはしたくないと、将来の希望もはっきりしています。1年生の時にも対談した先生に温かく見守ってもらいながら、好きなことをとことん追求しています。

07 実際に現場へ行くことも研究の第一歩

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脇中:私のゼミでは、刑務所とか拘置所の見学にも行くんだけど、コロナ禍だからまだ行けてないですね。今のところ、ゼミはつまらないんじゃないかと思うんだけど、どうですか?
 
青山:刑務所に行くのは、シンプルに興味あります。でも他のゼミ生もいろんな研究テーマを選んでるので、個性が出て面白いですよね。
 
脇中:他の人の研究テーマで気になるのはある?
 
青山:個人的には、限界集落問題が気になります。この前、彦根の廃村に行ったんですよ。男鬼集落って言って、すごく山奥にあるんです。軽自動車1台が通れるか通れないかくらいの狭い道を行くんですけど、1人で行ったので、めっちゃ怖かったです。住まないと村って廃れるんだなっていうのがよくわかりました。街に出るのに30分くらいかかるんですよ。
途中でお年寄りの方に会ったんですけど、最初は幽霊かと思いましたね(笑)。こんなところで何してるんだろうって思って、大丈夫かと不安になって。帰り道でもまだ歩いてたので、声をかけました。車の後ろは空いてたし、最悪、乗せてあげることも考えて。「大丈夫です」って言われましたけど。
 
脇中:昔の人は山道でも黙々と歩いただろうからね。その村にはどれくらいまで人が住んでたの?
 
青山:昭和くらいまでは住んでたんだと思います。たまたま動画で見て、気になって行ってみただけなのであまりよく知らないんですけど。
脇中:昭和って、結構最近な気がするけどね(笑)。
 
青山:でもすごい山奥で、暗すぎて、昼なのにライトをつけないといけなくて。定期的に掃除に来てるっていうことだけは聞いたんですけど。
 
脇中:青山君はフットワークが軽いね。限界集落を研究テーマに選んだ彼にも、実際に行ってこいって言ったんだけど、まだ行ってないかもしれないなあ。IT系に就職するなら、それこそ限界集落からリモートしたりもできるんじゃない?その村には電波入ってた?
 
青山:途中から切れました。だからナビもバグって、どっちに行ったらいいかわからなくて、2択で道を間違えました。さすがにこっちではないやろ、っていう道が正解でしたね。
 
脇中:最悪、そこに泊まろうとは思わなかった?
 
青山:無理ですね、怖すぎて。でもこういうところがあるから、限界集落って興味深い研究テーマだなと思います。実際に行って、人が住んでた様子が分かると興味深いだろうなって思います。
 
脇中:そうだよね。だから彼も、どんどん進めてくれていいんだけどねえ。

PROFILEプロフィール

  • 脇中 洋

    社会学部 現代社会学科 教授



    1959年東京生まれ。京都大学農学部を経て、1996年立命館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。1999年花園大学講師、2002年同助教授、2006年教授。2008年より大谷大学教授、現在に至る。臨床心理士、保育士。
    「コミュニケーションの発達的変容」を研究テーマとして、以下の個別課題に取り組んでいる。「乳児の初期コミュニケーションの生成と変容」「発達障害児や聾児の対人コミュニケーション」「取調べにおける供述分析」「高次脳機能障害者のピアサポートによる自己の再構築」「犯罪加害者の更生」。いずれの課題も、「ヒトはどこまで変わりうるのか」の探求を目指している。



  • 1年生の対談時に脇中先生から、研究は「できることではなく、好きなことから始める」とのアドバイスを受けたとおり、卒論の研究テーマは、語り出したら止まらないほどの熱情を持っている古着について。自分の足でデータを集めに行ったり、自主的に気になることをまとめたりして卒論に備える。
    その一方で、純粋に古着を楽しみたいから仕事にはしたくない、とワークライフバランスの視点で考え、最近興味を持ち始めたIT関係で、特に企画や開発に関わる仕事を希望している。早期選考を狙って、就職活動も既に始めている。