こだわっている古着のことについて、語りだしたら止まらないほどの熱情を持っている青山君は、卒論でも古着について取り組みます。自分の足でデータを集めに行ったり、自主的に気になることをまとめたりして卒論に備える一方で、純粋に古着を楽しみたいから、仕事にはしたくないと、将来の希望もはっきりしています。1年生の時にも対談した先生に温かく見守ってもらいながら、好きなことをとことん追求しています。

04 ワークライフバランスの視点で仕事を選ぶ

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脇中:青山君はね、てっきり就職もアパレルに行くと思ってたの。なんでアパレルじゃないの?
 
青山:アパレル業界で働くと、古着の楽しさがなくなるんじゃないかなと思って。
 
脇中:古着の業界で働けばいいじゃない。
 
青山:いや、古着も一緒なんですよ。唯一僕が楽しみにしてるものを仕事にしちゃうと、楽しめなくなってしまうかもしれないのが怖くて。普通の仕事をしていて、ご褒美に古着屋に行くっていうのがいいんですよ。
脇中:ああ、音楽やってる人も似たようなことを言ってたな。音楽をお仕事にしてると苦しいこともあって、楽しさだけを追求したいからお仕事にするのはやめるって。そんな感じなのかな。てっきり古着の買い付けとかを仕事にするのかと思ってた。
 
青山:古着の卸売場に買い付けには行きたいですね。アメリカ、韓国、タイとかにもあるんですよ。卒業するまでには韓国の市場に行くって決めてます。
 
脇中:卒論も古着のままでいい?
 
青山:はい。楽しく書きたいなと思って。古着の知識もつけられて好きなこともできるし、一石二鳥だなって思います。
 
脇中:確かに「ゼミでやりたいことは?」って聞いたら、青山君はすぐに出たよね。でも全然出ない人もいたけど、あれは何でだろうね?私のゼミでは、社会学に関係なさそうなことでもいいんだけど、「やりたいこと何?」っていう質問に答えられないと厳しいですよね。
青山:テーマが決まってて先生のゼミに入るんだったら、いろいろ相談に乗ってくださるからいいんですけどね。僕も、相談したら一番親身に聞いてくれそうだと思って先生のゼミにしましたし。それで聞きたかったんですけど、先生って古着のことどう思ってますか?
 
脇中:あんまり学生さんには意識されてないけど、現代社会学コースには、「公共社会」「現代文化」「人間関係」っていう3つの視点があるんですよ。私は「公共社会」なんだけど、研究内容は心理学だから「人間関係」でしょ。だから現代文化的なものは実は一番縁がないの。古着と言われても、知らないっていうのが正直なところなんだけど、でも面白いですよね、逆に勉強になるから。
 
青山君は古着をやるし、他にも「眉毛の細さ」とかK-POPについてやる学生もいるでしょ。なんでウチのゼミに来たの、って思うんだけど(笑)。でも好きだったらやるといいよね。だけど古着って、ものによってはプレミアがついたりするでしょ。青山君ってお金持ちなんだなと思ってます(笑)。
 
青山:いやいやいや。僕、服にしかお金を使わないですよ。お酒もほとんど飲まないので、友達と飲みにも行かないですし。たまにラーメン食べに行くくらいですね。夜に電話かかってきて、屋台のラーメンを食べに福井まで行ったりとか。そうやって遊びには行きますけど、だいたい友達の車で行きますし、服にしかお金を使わないんですよね。
 
脇中:それで仕事にはしないと。若いのに、ワークライフバランスの考え方をしっかり持ってるんですね。

PROFILEプロフィール

  • 脇中 洋

    社会学部 現代社会学科 教授



    1959年東京生まれ。京都大学農学部を経て、1996年立命館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。1999年花園大学講師、2002年同助教授、2006年教授。2008年より大谷大学教授、現在に至る。臨床心理士、保育士。
    「コミュニケーションの発達的変容」を研究テーマとして、以下の個別課題に取り組んでいる。「乳児の初期コミュニケーションの生成と変容」「発達障害児や聾児の対人コミュニケーション」「取調べにおける供述分析」「高次脳機能障害者のピアサポートによる自己の再構築」「犯罪加害者の更生」。いずれの課題も、「ヒトはどこまで変わりうるのか」の探求を目指している。



  • 1年生の対談時に脇中先生から、研究は「できることではなく、好きなことから始める」とのアドバイスを受けたとおり、卒論の研究テーマは、語り出したら止まらないほどの熱情を持っている古着について。自分の足でデータを集めに行ったり、自主的に気になることをまとめたりして卒論に備える。
    その一方で、純粋に古着を楽しみたいから仕事にはしたくない、とワークライフバランスの視点で考え、最近興味を持ち始めたIT関係で、特に企画や開発に関わる仕事を希望している。早期選考を狙って、就職活動も既に始めている。