こだわっている古着のことについて、語りだしたら止まらないほどの熱情を持っている青山君は、卒論でも古着について取り組みます。自分の足でデータを集めに行ったり、自主的に気になることをまとめたりして卒論に備える一方で、純粋に古着を楽しみたいから、仕事にはしたくないと、将来の希望もはっきりしています。1年生の時にも対談した先生に温かく見守ってもらいながら、好きなことをとことん追求しています。

06 人に理解されなくても楽しめるのが趣味

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脇中:アフリカでは大量の古着に困ってるってことだけど、青山君は服をどうしてるの?
 
青山:一応部屋に置いてますけど、多すぎですね。5段の、180センチくらいのラックが全部埋まってて、その下にもTシャツが50枚くらいありますし。
 
脇中:じゃあ着ない服がたくさんあるんだ。
青山:Tシャツはそんなでもないですけど、デニムは、欲しかったものを履くんじゃなくて、コレクションするために買うって感じです。履きたいものと欲しいものは別なんですよ。履きたいものは普段履きできるように。コレクションするものとしては、一番にレア度、次にサイズ感が大切です。
 
脇中:私、古着の理解度めっちゃ低いんだけど。
 
青山:いや、けど先生、古着みたいな服装してるじゃないですか。
 
脇中:私としてはちゃんとした服着てるつもりなんだけど、古着に見えちゃうんだよ(苦笑)。他の学生にも「ジーンズのポケットの破れ方が良いですね」って言われたけど、そんなの、10年も履いてたらそうなっちゃうだけだよ。
 
青山:いや、でもかっこいいと思います。
 
脇中:なんか人生の古着みたいな扱いを受けてる気がするな(笑)。じゃあ人としても、渋い人が好きなの?
 
青山:はい。僕、芸能人の中で滝藤賢一さんが一番好きです。50歳くらいだと思うんですけど、50代って渋く着るのに一番良くないですか?
 
脇中:良くないですか、って言われてもなあ。ちょっと白髪が目立ってきたり、シワができてきたりするよね。
 
青山:そこがいいんですよ。若い時は若いなりに着れる服があるんですけど、渋くないと着れない服もやっぱりあって。上下ジーンズにグラサンとか。
 
脇中:それ、怖いおじさんじゃない(笑)。
 
青山:いや、それで、ハイカットの革靴を合わせたり。革ジャンとかを着れるような渋さがいいですよね。
 
脇中:外国の兵士って渋くない?ひげはやしてて、渋さを感じるよね。
 
青山:ああ、わかります。古着にもミリタリーってカテゴリーがあるんですよ。個人的にはドイツ海兵のパンツがカッコいいと思います。ポケットも横についてて、デザインが違うんですよ。個性の塊ですね。
脇中:私の父親が海軍だったから、夏の真っ白な詰襟の制服が家にあったよ。肩章がついてるやつ。
 
青山:それ、今だったらすごい値が付きますよ。めちゃ高いですよ。
 
脇中:古いのにね。新品よりも古い方がカッコいいっていう感覚は何なんだろうね。でも青山君ほど何かを楽しめる人はそんなにいないよね。
 
青山:古着は、見てるだけで「自分がこの服持ってるんだな」ってニヤついちゃいますね。
 
脇中:趣味ってそういうもんだよね。

PROFILEプロフィール

  • 脇中 洋

    社会学部 現代社会学科 教授



    1959年東京生まれ。京都大学農学部を経て、1996年立命館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。1999年花園大学講師、2002年同助教授、2006年教授。2008年より大谷大学教授、現在に至る。臨床心理士、保育士。
    「コミュニケーションの発達的変容」を研究テーマとして、以下の個別課題に取り組んでいる。「乳児の初期コミュニケーションの生成と変容」「発達障害児や聾児の対人コミュニケーション」「取調べにおける供述分析」「高次脳機能障害者のピアサポートによる自己の再構築」「犯罪加害者の更生」。いずれの課題も、「ヒトはどこまで変わりうるのか」の探求を目指している。



  • 1年生の対談時に脇中先生から、研究は「できることではなく、好きなことから始める」とのアドバイスを受けたとおり、卒論の研究テーマは、語り出したら止まらないほどの熱情を持っている古着について。自分の足でデータを集めに行ったり、自主的に気になることをまとめたりして卒論に備える。
    その一方で、純粋に古着を楽しみたいから仕事にはしたくない、とワークライフバランスの視点で考え、最近興味を持ち始めたIT関係で、特に企画や開発に関わる仕事を希望している。早期選考を狙って、就職活動も既に始めている。