高校卒業後は漠然と就職を考えていた小佐野さんですが、学ぶことの面白さを知り、自分で進路を選びたいと思って進学を決めました。大学は、大きなことを大きな視野で考えられる場所であり、機会であると話す先生からは、「学問をする」ことの大切さを教わります。歴史学科で根本を学ぶ学生だからこそ、何事にも自分なりの問いを立てられるというプライドを持つ小佐野さんは、過去を学びつつ、まっすぐに前を見つめています。

05 1人の人間としてちゃんとした考えを持ちたい

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古川:大学って、貴重な4年間ですよね。今後についてはどうですか?
 
小佐野:具体的な職業で目指しているものはまだないですし、自分が専門的に学んだ知識をどこかに広めようとか生かそうともそんなに思ってないんです。今は自分の考え方とか身近にあるような時事問題に対して、1人の人間としてちゃんとした考えを持てたらいいなっていうのが目標です。大学に入って、知識も吸収して、そこから自分の問いを立てていかなきゃいけないわけじゃないですか。それって普通に生きてる人は、なかなかできることではないと思うんです。歴史を学んだ人が、根本から考えられるんじゃないかなと思います。それが就職に有利なわけじゃないけど、すごい強みなんじゃないかなって。選挙に行こうとかいう話になっても、根本の考え方がしっかりするんじゃないかなと思って。それが一番の目標です。
 
古川:……何と言うか、そのあなたの筋というかね、それはどこから来てるんだろう?ブレないよね。なかなかそんな話、すっと出てこないよ。小佐野さんは、最終的に自分の立ち位置、自分がどこにどういうふうに立ってどこに向かって歩いて行っているかという認識ができている印象を受けます。自分の柱を1本作りたいっていう気持ちが伝わってきます。あなたまだ1年生、19歳でしょ?
小佐野:はい(笑)。
 
古川:こっちはもう50半ばでもフラフラしてるのに(笑)。なんでそんなにしっかりしてるん?
 
小佐野:いえいえ。さっき先生が、アメリカではすごい点数主義だって仰いましたけど、日本にもありますよね。そういうのがすごく嫌やったんですよ。勉強において、周りと比べてできる・できないって見る風潮に、自分が適応できてない気がしてて。教科に成績をつけるとか、何かの行事でみんなで1位取ろうとか、それが自分にとって何の意味があるのかわからなくて。頑張ってたら「良い高校」に入れるとか、「良い就職先」に行けるとかいう結論にしかならないですよね。私にはそれがあんまりしっくりこなくて。
「良い学校」に行けたからってそれが自分の幸せにつながるのかとか、自分の興味が広がるのかっていうのがわからなかったんです。それで、決められたことをやっていくより、何に自分は興味を持てるのかって自分で考える方がいいのかなって。時間をかけて自分で考えるというか、型にはまった勉強とか、自分の職業を見越したようなことをするよりは、考えられる人間になった方が自分には合ってるのかなって。競争の中ではちょっと生きていけないと思ってました(笑)。
 
古川:じゃあ自分のペースで、あなたなりの学問をぜひ歴史学を通してやって下さい。最後はそれこそ自分とは、っていうのを考えてほしいですね。もちろん他者の価値観も考えなきゃいけないけど、自分が一番充実している生き方、進路を見つけていただけたらと思います。そこに教員ができることがあれば、全力で後押ししますから。

PROFILEプロフィール

  • 古川 哲史

    文学部 歴史学科 教授



    神戸市生まれ。広島大学総合科学部・総合科学科卒業。在学中、日本-アフリカ文化交流学院(在ケニア)に留学。その後、広島大学大学院社会科学研究科・イギリス地域研究講座、オハイオ大学国際事情研究所大学院・アフリカ研究講座(在アメリカ合衆国)、京都大学大学院人間・環境学研究科・共生文明論講座などで学ぶ。日本学術振興会特別研究員(史学・日本史)、京都大学総合人間学部研修員、国立民族学博物館共同研究員、明治学院大学国際学部在外研究員など。オハイオ大学、オハイオ州立刑務所、コロンバス日本語補習校、同志社女子大学、立命館大学、京都市立芸術大学、松下看護専門学校等で教える。2005年、大谷大学文学部・国際文化学科に赴任。2018年より歴史学科・世界史コースに所属、現在に至る。
    これまで、日本やアメリカ、アフリカの歴史と文化に関心を向けてきた。近現代の日本とアメリカやアフリカとの関係史にも取り組んでいる。



  • 高校卒業後は漠然と就職を考えていたが、学ぶことの面白さを知り進学を決めた。興味のあった歴史を学ぶため、京都の大学をめざすことにし、さらにオープンキャンパスに参加して雰囲気や設備などを確かめた結果、大谷大学を受験することにした。
    何事にも自分なりの問いを立てられるよう心掛けている。将来の夢はまだないが、大学4年間で、身近にある時事問題などに対して、1人の人間としてちゃんとした考えを持つことをいちばんの目標とし、まっすぐに前を見つめている。