自分の意見を、的確な言葉にして人に伝えるという作業を日ごろから意識して行っている河村君は、授業後も気軽に友達と意見を交わしているものの、実は人と接するのが苦手だそうです。それでも好奇心が勝って、探究を深めていける大学の学びの過程は、とても面白いと言います。興味を持ったことのみならず、苦手なことに対してもきちんと向き合い、「なぜ」を問う姿勢は、今後の研究において必ず生きてきます。「いつでも話を聞く」という教員に支えられ、河村君の成長は続きます。

01 人と接するのは不安でも、発言することにはメリットがある

西尾:大学に入学して半年が経ちましたけど、どうですか?
 
河村:すごく楽しいです。自分が成長できてるなっていうのが実感できて。特に前期は充実してました。後期になってからは、あんまり熱意を持って勉強に励めてないかなっていうのはあるんですけど、日々新しいことが発見できて楽しいです。
 
西尾:前期はコロナのために、ほとんど対面授業ができなかったけど、それでも前期の方が充実してた?
 
河村:はい。僕は1人で作業をすることがそれほど苦じゃないので、最初こそ難しいなって思った部分はありますけど、慣れてしまえばできるなって。わからないことがあれば先生ともやり取りできたので、困ることはなかったです。ただ、悩みを共有できる相手がいないっていうのは、結構しんどいなっていう感じはしました。
 
西尾:今は、友達はできましたか?
 
河村:はい、一応。人と接するのはあまり得意ではないんですけど。
西尾:そうなの!?
 
河村:はい。僕は一回高校を辞めていて、そこで気持ちが落ちていたというか、社交不安障害みたいな感じで。人と関わるのが不安なので、あまり積極的には関わらないんですよね。でも、自分の中に不安はあるんですけど、それだけじゃなくて、欲求もあるじゃないですか。人と仲良くしたいとか、この人に興味があるから知りたいとか。そういう気持ちが勝ったときは、自分から声をかけるときもあります。
 
西尾:意外ですね。河村君は授業が終わった後も誰かと話をしてるから、社交的かなって思ってたんですよ。授業中も、率先して手を挙げるでしょ。
 
河村:僕は、大学が仕事場っていう認識に近いんです。手を挙げることが僕のやるべきことって言うか。
 
西尾:素晴らしい学生ですね。
河村:それが空回りすることもあるんですけど、そういう認識があります。だから大学の友達も仲間っていう思いが強いです。あとは、前に出たがりでもありますね。発言することは、不安じゃないんです。それ以上のメリットがあるように感じるんで。僕の意見を聞いて欲しいっていう欲求があって、それが不安を打ち消すときは、よく発言しますね。

PROFILEプロフィール

  • 西尾 浩二

    文学部哲学科 講師



    2003年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2008年大谷大学任期制助教、その後非常勤講師、学習支援主任アドバイザーを経て、2019年大谷大学専任講師。
    西洋哲学、とくに古代ギリシャ哲学(ソクラテスやプラトン、アリストテレスなど)に関心を寄せて研究してきた。現在の研究テーマは「幸福(よい人生)」。制約ある境遇を生きる人間にとって、幸福とは何か、幸福の条件とは、運や性格や徳との関係は……。古代ギリシャの哲学者たちが残した思索や近現代の議論を手がかりに、幸福という古くて新しい問題の本質に迫りたい。また、明治期に西洋哲学がどのように受容されたかについても研究している。



  • 進路を考えたとき歴史学と心理学とで迷っていたが、歴史の事象に関わった人物が何を考えたのかについて考えることが好きなんだと気づき、哲学科を志望した。大谷大学については、オープンキャンパスに何度か参加してみて、「やっぱりここが自分には合う」と確信し、受験することにした。
    自分の意見を、的確な言葉にして人に伝えるという作業を日ごろから意識して行っている。授業後も気軽に友達と意見を交わしているものの、実は人と接するのが苦手。それでも好奇心が勝って、探究を深めていける大学の学びの過程はとても面白い。興味を持ったことのみならず、苦手なことに対してもきちんと向き合い、「なぜ」を問う姿勢で成長し続ける。