自分の意見を、的確な言葉にして人に伝えるという作業を日ごろから意識して行っている河村君は、授業後も気軽に友達と意見を交わしているものの、実は人と接するのが苦手だそうです。それでも好奇心が勝って、探究を深めていける大学の学びの過程は、とても面白いと言います。興味を持ったことのみならず、苦手なことに対してもきちんと向き合い、「なぜ」を問う姿勢は、今後の研究において必ず生きてきます。「いつでも話を聞く」という教員に支えられ、河村君の成長は続きます。

06 認識を変えれば、学びの量も質も変わってくる

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河村:僕、英語は好きじゃないんですけど、単位は取らないといけないので、考えを変えたんです。やることによって噛みしめるというか、知ることが楽しいと思って。最近そう思えるようになったので、自分の認識とか見方を変えれば、学ぶことは量も質も変わってくるんだなって思いました。
 
西尾:「英語再入門」クラスを取ってるんだよね。あれは、英語が苦手な人も一から学べるからいいですよね。映画とかも使うし。
 
河村:文法に関しては、雲をつかむような感覚だったんですけど、やっと自分ができることが増えたなと思ったのが、楽しめてる要因です。
 
西尾:わかったら面白いんだよね。大谷大学にはラーニング・スクエアっていう学習支援室もあるから、どんどん使うと良いと思います。
 
河村:ちょくちょく使ってます。英語は母が得意なので、よく教えてもらってます。実は哲学についても母の影響が大きいかと思います。「こういうの読んだら?」って勧められた本に、ことごとくハマっていくというか。最近、母は哲学カフェとかにも行くようになってるんで、家でもよく議論します。
 
西尾:へえ、最近はどんな議論をしたの?
 
河村:カントの、人を道具として使っていいのかっていう話についてです。僕は人を道具として使ってるから、カントに批判されちゃうなと思って。
 
西尾:カントの本をちゃんと読んだらわかるけど、カントは、「人間を手段としてのみ扱ってはならない」って言ってるんだよ。店に行ったら、当然品物を買うための手段として店員さんを使うでしょ。それがないと世の中は成り立っていかないから。手段としてのみじゃなければいいんです。人を尊重しないといけないっていうのがプラスされていたら問題ない。お母さんと哲学の議論してるっていうのは良いね。議論は大事だけど、本も読んでみると、わかった上で議論ができるよね。
河村:僕がもっと本を読んで、本を読んだ者同士で対話すると、もっと楽しくなってお互いに発見もあるのかなと思います。
 
西尾:そういうのを哲学の授業でやりますから、楽しみにしていてください。だからゼミの予習してや(笑)。

PROFILEプロフィール

  • 西尾 浩二

    文学部哲学科 講師



    2003年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2008年大谷大学任期制助教、その後非常勤講師、学習支援主任アドバイザーを経て、2019年大谷大学専任講師。
    西洋哲学、とくに古代ギリシャ哲学(ソクラテスやプラトン、アリストテレスなど)に関心を寄せて研究してきた。現在の研究テーマは「幸福(よい人生)」。制約ある境遇を生きる人間にとって、幸福とは何か、幸福の条件とは、運や性格や徳との関係は……。古代ギリシャの哲学者たちが残した思索や近現代の議論を手がかりに、幸福という古くて新しい問題の本質に迫りたい。また、明治期に西洋哲学がどのように受容されたかについても研究している。



  • 進路を考えたとき歴史学と心理学とで迷っていたが、歴史の事象に関わった人物が何を考えたのかについて考えることが好きなんだと気づき、哲学科を志望した。大谷大学については、オープンキャンパスに何度か参加してみて、「やっぱりここが自分には合う」と確信し、受験することにした。
    自分の意見を、的確な言葉にして人に伝えるという作業を日ごろから意識して行っている。授業後も気軽に友達と意見を交わしているものの、実は人と接するのが苦手。それでも好奇心が勝って、探究を深めていける大学の学びの過程はとても面白い。興味を持ったことのみならず、苦手なことに対してもきちんと向き合い、「なぜ」を問う姿勢で成長し続ける。