自分の意見を、的確な言葉にして人に伝えるという作業を日ごろから意識して行っている河村君は、授業後も気軽に友達と意見を交わしているものの、実は人と接するのが苦手だそうです。それでも好奇心が勝って、探究を深めていける大学の学びの過程は、とても面白いと言います。興味を持ったことのみならず、苦手なことに対してもきちんと向き合い、「なぜ」を問う姿勢は、今後の研究において必ず生きてきます。「いつでも話を聞く」という教員に支えられ、河村君の成長は続きます。

08 4年後の未来は誰にもわからない

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西尾:今後の目標とか将来については何か考えてる?
 
河村:学者か、臨床心理士か……。心理関係で、誰かの役に立てる人になりたいと思います。
 
西尾:臨床心理士になりたいんだったら別の大学・大学院に行かないといけないね。
 
河村:はい、行こうと思ってます。でも、僕はわざと未来について考えないようにしてるんです。今に集中しようと思って。わからないことに対して不安を抱いても、疲れるんですよね。だから止めようと思うんですけど、うちの大学で習うように、過去とか現在に執着するのは、愚かなんですよね。仏陀の言う通りだって思います。そこに執着しないようにと思うんですけど、それも執着かなと思ったり。一回そこを巡った上で、考えないようにしておこうというところはあります。今の自分には余裕はないので考えないでおこうとか。
西尾:まあ4年後の未来なんて誰にもわからないし、イメージできている学生さんの方が少ないと思うよ。僕の学生時代も、毎日毎日生きていくので精いっぱいだったよ。自分がどういう人物で、どういう仕事があって、それが自分に合いそうかっていうのを、大学時代に見極めていくと良いかな。でも大学院に行ってみたらいいよ。
 
河村:はい。今考えている仕事については大学院に行く必要があるので、行こうとは思ってます。単位互換制度とかも使っていろんな勉強ができたらなとも思っています。
 
西尾:進路は、ガラッと変わる可能性が高いよね。それが人生、面白い。僕も大学教員なんてやってるけど、小中高の頃は、人前で話すなんて緊張して声は震えるし手も震えるしで、大学教員として人前で話すなんて、考えもしなかったよ。それでもこうやってやってるから、河村君もガラリと変わるかもね。
 
河村:僕、落ちているときはその時の精神状態とか考えていることをノートに書くんですけど、後からそれを読み返すと、何を書いてるんだって思うんですよ。だからこの対談も、後から聞いたら、何を言ってるんだって、きっと思うと思います。
 
西尾:他人の目で客観視できるんだね。それはいいね。でも、来年大学辞めてるとかはナシね。アカン、っていうときには声かけて。話聞くから。
 
河村:はい(笑)。

PROFILEプロフィール

  • 西尾 浩二

    文学部哲学科 講師



    2003年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。2008年大谷大学任期制助教、その後非常勤講師、学習支援主任アドバイザーを経て、2019年大谷大学専任講師。
    西洋哲学、とくに古代ギリシャ哲学(ソクラテスやプラトン、アリストテレスなど)に関心を寄せて研究してきた。現在の研究テーマは「幸福(よい人生)」。制約ある境遇を生きる人間にとって、幸福とは何か、幸福の条件とは、運や性格や徳との関係は……。古代ギリシャの哲学者たちが残した思索や近現代の議論を手がかりに、幸福という古くて新しい問題の本質に迫りたい。また、明治期に西洋哲学がどのように受容されたかについても研究している。



  • 進路を考えたとき歴史学と心理学とで迷っていたが、歴史の事象に関わった人物が何を考えたのかについて考えることが好きなんだと気づき、哲学科を志望した。大谷大学については、オープンキャンパスに何度か参加してみて、「やっぱりここが自分には合う」と確信し、受験することにした。
    自分の意見を、的確な言葉にして人に伝えるという作業を日ごろから意識して行っている。授業後も気軽に友達と意見を交わしているものの、実は人と接するのが苦手。それでも好奇心が勝って、探究を深めていける大学の学びの過程はとても面白い。興味を持ったことのみならず、苦手なことに対してもきちんと向き合い、「なぜ」を問う姿勢で成長し続ける。