将来はプロフェッショナルの書き手になることを目指して、創作ができる大学を選んで谷大にやってきた西本君は、すでに何編かの小説を書き上げ、各種の賞に応募もしています。読み手の共感を得るためには、視点を変えてみると良いという先生のアドバイスを受けながら、授業や文藝塾で得られる学びを作品作りに生かそうと、気持ちを新たに過ごす毎日です。数年後には卒業論文の代わりとなる作品を書くべく、日夜研鑽を積んでいます。

03 面白い本を読んだら、自分も書きたくなった

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國中:創作に興味を持ったきっかけは?
 
西本:小学校の頃に、友達が「これ面白いよ」って、ある小説を勧めてくれたんです。もう題名も忘れちゃったんですけど、現代の子どもたちがナチスの世界に行ったらどういう対応をするかっていうので、すごく面白いなって思って。そこから本を読むようになって、自分も書いてみたいなって考えるようになって。ちょうど5年生の時に「自主勉強ノート」っていうのをやってて、それに自分の考えたものを書いてみようって思ったのがきっかけです。
 
ノートに書く内容は何でもいいんですけど、最初は10ページくらいで、気が付いたら3冊、4冊とかなってて。最初は好きなセリフとかシチュエーションを入れただけのものだったんですけど、だんだん「こういう場面を書いてみたい」っていうのを、自分のオリジナルで書くようになって。最初の頃はファンタジーが好きでしたね。敵が出てきて、今まで敵だったやつと力を合わせて戦うみたいな。そこを出発点に、だんだん小難しい話とかも読むようになりました。太宰とか芥川とか。明治以降の文学って、リアリティがある作品が多いなって思ったので。
國中:西本君は、創作も、空想系よりはリアリズムでいきたいって言ってたもんね。ナチスが出てきた話が面白かったということは、歴史物も好き?
 
西本:そうですね。歴史的な事件とか事故とかは、自分でも調べたりしてます。
 
國中:じゃあ歴史小説も向いてるかもね。あるいは、純粋な歴史小説ではないけれど、実際に起こったことは変えずに、そこに何かしらミステリーだとかフィクションを持ち込む方法、結構今やる人がいるじゃないですか。あれはかなり知識がないとできないけど、面白いよね。歴史的な事実の制約の中で、どうやって事件やフィクションをうまく成立させるか。読んでる方もワクワクしますよね。君、本当に歴史小説やると良いんじゃない?
 
西本:そうですね、挑戦してみようかな(笑)。
 
國中:作家になるためのトレーニングと同時に陸上競技部。かなり忙しいんじゃないですか?
 
西本:そんなでもないです。何もしなかったらダラダラするだけなので、運動したいというのもありましたし、創作のネタもちょっとはできるんじゃないかと思って。でも週に2回しか部活がないので、それ以外は家に帰ってダラダラしてます(笑)。
 
國中:アルバイトはやってる?
 
西本:今は教習所に通ってて。それが落ち着いたらアルバイトに行こうと思っています。

PROFILEプロフィール

  • 國中 治

    文学部文学科 教授



    早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程(日本近代文学専攻)単位取得満期退学。韓国大田広域市大田実業専門大学専任講師(日本語および日本事情を担当)、神戸松蔭女子学院大学文学部総合文芸学科教授などを経て、現職。
    昭和前期を代表する詩誌「四季」の文学者たち、特に三好達治と立原道造と杉山平一を中心に研究している。この3人は資質も志向も異なるが、詩形の追求と小説の実践、それらを補強する理論の構築に取り組んだ点では共通する。時代と社会にきちんと対峙しえなかったとして、戦後、「四季」は厳しい批判にさらされる。だが、日本の伝統美と西欧の知性を融合させた「四季」の抒情は奥が深くて目が離せない。



  • はじめは地元の大学を考えていたが、高校の担任の勧めで大谷大学を知る。すでに何編かの小説を書き上げ、各種の賞に応募もしており、大谷大学には創作できる場所もあるということに惹かれ、受験した。
    読み手の共感を得るためには、視点を変えてみると良いという先生のアドバイスを受けながら、授業や文藝塾で得られる学びを作品作りに生かそうと、気持ちを新たに過ごす毎日。将来はプロフェッショナルの書き手になることを目指し、数年後には卒業論文の代わりとなる作品を書くべく、日夜研鑽を積んでいる。