将来はプロフェッショナルの書き手になることを目指して、創作ができる大学を選んで谷大にやってきた西本君は、すでに何編かの小説を書き上げ、各種の賞に応募もしています。読み手の共感を得るためには、視点を変えてみると良いという先生のアドバイスを受けながら、授業や文藝塾で得られる学びを作品作りに生かそうと、気持ちを新たに過ごす毎日です。数年後には卒業論文の代わりとなる作品を書くべく、日夜研鑽を積んでいます。

02 昼ご飯を一緒に食べて、関係を深めたい

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國中:前期はオンラインでの授業が多かったけど、後期になってからは対面授業ができるようになったから、授業もだいたい毎日ありますよね。大学ではね、友達と昼ご飯を一緒に食べるのが、親しくなるきっかけになることが多いんですよ。西本君は1人暮らしだけど、お昼はどうしてますか?
 
西本:1限しかないときは家に帰って、カップ麺やらなにやら食べてるって感じです。
 
國中:学食はどう?
 
西本:利用しますよ。今は200円のランチとか丼とかをよく食べてます。
 
國中:200円っていうのはありがたいけど、残念ながらあれは期限付きだから、終わっちゃったらちょっと困るかもね。私のお勧めは、昼休み以外の時間に行くことです。空いてるから。陸上部ではどこか行きつけのお店とかないの?
 
西本:今は三密を避けなきゃいけないから、みんなで食べに行くっていうのはあんまりないです。
 
國中:じゃあこれから気に入ったお店を見つけるのか。楽しみですね。
 
西本:そうですね。
 
國中:私も学生時代には、大学近くのお店によく通ったんですよ。苦手な人に会うと嫌だから行かないとかいうこともありましたけど。でも今思うと、創作の糧になるのだから、そういうことももっとたくさんやった方が良かったかなとも思いますね。気まずい相手と会ったときにどういう対応をするか。お互いに気づいていて知らんぷりするのもちょっとまずいし、挨拶だけして別の席に行くのか、やっぱり近くの席に座るのが自然なのかとか。こういう状況を小説とか詩にするならどういうシチュエーションがいいかなって考えたり、いろいろな構想がわいてくるでしょ。目先の感情に囚われてもったいないことしたなっていう後悔が、僕は結構あるんですよ。でも今は、創作仲間と関係を深めていく機会が、あんまりないですよね。
西本:そうなんですよ。自分も創作仲間をなるべく増やしたいんですけど、こういう時期なので、なかなか集まりにくいですよね。正直、いろんなジャンルの人と喋りたいし、幅を広げたいっていうのはあるんですけど。
 
國中:今は短時間の親睦会でもやりにくいからね……。地方から来ている学生の中には、「今日は誰とも話をしなかった」なんていう人もいて、こっちも悲しくなる。コロナは、感染するのも恐ろしいけど、メンタル面でも大きなストレスになっちゃう。だけど、西本君は大丈夫だよね。西本君はいたって健康そうなんで、その点では安心です。
 
西本:はい。前期も、高校の友達としゃべったりしてると寂しさはあんまり感じなくて、大丈夫でした。
 
國中:でも、一人暮らしって、この春からが初めてでしょ?一人で知らない町で暮らすのは、コロナの時じゃなくても寂しさがあると思うんですよ。寂しいというほどではなくても、心細さはあると思うんだけど?
 
西本:高校の時から、大学に行ったら一人暮らしはしたいと思ってたんで、ホームシックとかは心配してなかったです。でも家事はやったことがなかったんで、「ヤバイ、今日の夜は何食べよう」とか「どのタイミングで洗濯したらいいんだろう?」とか、そういうので頭が一杯でしたね。
 
國中:じゃあ現実的な問題が大きくて、メンタルの問題の入りこむ隙がなかったってことか。
 
西本:そうですね(笑)。

PROFILEプロフィール

  • 國中 治

    文学部文学科 教授



    早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程(日本近代文学専攻)単位取得満期退学。韓国大田広域市大田実業専門大学専任講師(日本語および日本事情を担当)、神戸松蔭女子学院大学文学部総合文芸学科教授などを経て、現職。
    昭和前期を代表する詩誌「四季」の文学者たち、特に三好達治と立原道造と杉山平一を中心に研究している。この3人は資質も志向も異なるが、詩形の追求と小説の実践、それらを補強する理論の構築に取り組んだ点では共通する。時代と社会にきちんと対峙しえなかったとして、戦後、「四季」は厳しい批判にさらされる。だが、日本の伝統美と西欧の知性を融合させた「四季」の抒情は奥が深くて目が離せない。



  • はじめは地元の大学を考えていたが、高校の担任の勧めで大谷大学を知る。すでに何編かの小説を書き上げ、各種の賞に応募もしており、大谷大学には創作できる場所もあるということに惹かれ、受験した。
    読み手の共感を得るためには、視点を変えてみると良いという先生のアドバイスを受けながら、授業や文藝塾で得られる学びを作品作りに生かそうと、気持ちを新たに過ごす毎日。将来はプロフェッショナルの書き手になることを目指し、数年後には卒業論文の代わりとなる作品を書くべく、日夜研鑽を積んでいる。