話し慣れしている小川君は、人と気軽にコミュニケーションを取ることができます。授業はどれも面白いと言いますが、その中でも特に、もっと聞きたいと思う授業の場合は、積極的に先生の研究室に出かけていき、授業以外の場でもたくさんのことを吸収しています。過去を学ぶ過程では、歴史上の人物が実際に扱ったものに触れる機会もあります。机上の勉強だけではない多様な学びの中で、将来は歴史の先生になりたいという夢をより具体的に描いています。

07 サロン的な雰囲気のある研究室が好き

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小川:先生方って、日ごろ授業以外では、どんなことをされてるんですか?
 
國賀:私は時間が空けば調査に行きます。私は絵画史の中でも特に絵巻物を専門としているんですけど、今は「破来頓等絵巻(はらいとんとうえまき)」っていうのに取り組んでいます。ウチの大学に江戸時代に描かれた模本があります。そのような自分の関心によって調査に行くこともあれば、府県や市町村などから調査に呼ばれて行くこともあります。自分で博物館や美術館に調査に行くときは、特別観覧と言って、事前にお願いして、公開していないものを見せてもらうこともあります。それから大学の事務仕事もあったりしますし、結構忙しいです。大学の先生にも興味がある?
 
小川:実は最近揺れてきていて(笑)。大学の先生も、すごく楽しそうなんですよね。教師になりたいっていうのは変わらないんですけど、いつかは大学の先生たちのような研究室を持ちたいなっていうのはあって。なんかいいじゃないですか。研究室の飾りとかに先生たちのオリジナルがあって。ああいう研究室が持てたらなっていうのはありますね。もちろんそんなに簡単になれないとは思ってますけど、最終的にやるからには、大学の先生で終えるっていうのも、楽しそうだなって思います。
 
僕、和菓子が好きなんですけど、いつか研究室でみんなと食べたいんですよね。お茶を飲んで和菓子を食べながら、今日はこんなことをやったよって話をするっていうのが、60歳過ぎからの夢ですかね(笑)。研究室って、職員室とはまた違うじゃないですか。
 
國賀:一方通行じゃなくて、サロン的に話ができる雰囲気っていうのは、ゼミにはあると良いですね。
 
小川:この大学に入っていろんな先生と話すようになったんですけど、めちゃくちゃフレンドリーな先生が多いですよね。先生はどういう経緯で大学の先生になられたんですか?
國賀:私も高校の教員になりたくてね。でも採用試験に通らなくて。それで銀行に就職を決めたんですけど、卒論に取り組み始めたら、そっちの方が完全に面白くなっちゃって。自分のやりたいことはこっちだってわかってきたんですが、まあ女子大生は就職しにくい時代でしたし、採用を辞退するわけにはいかなかったんですよ。それで2年働いてから、大学院に行ったんです。それから学芸員として美術館で働いたんですけど、若い頃に培った人脈というのは、今でも非常にありがたい形で良い影響がありますね。だから、いろんな人と話されると良いと思いますよ。
 
小川:僕はよく大艸先生の研究室にお邪魔させていただくんですけど、この前は「お前と話すと長くなる」って言われました(笑)。確かに、1時間くらい話してるっていうことが結構あるので。井黒先生は「もうそろそろ切り上げろよ」っていうオーラを出してくださるので僕もわかるんですけど。
 
國賀:じゃあ今度は和菓子を持って伺うんやね?
 
小川:そうなんですよ。でも僕が好きな和菓子屋の話をして「今度持ってきます」って言ったら、大艸先生は「俺は普段はもっといいもの食べてるんや」って言われました(笑)。
 
國賀:そうですか(笑)。
 
小川:でも基礎演習を見てもらってる先生なので、来年は授業がないから、今のうちにたくさん話しておきたいと思います。卒業しても遊びに来れるようになりたいなと思って。國賀先生とは今まで授業でもあまり接点がなかったんですけど、これを機に先生のところにもこれからお邪魔させていただきたいです。
 
國賀:ぜひぜひ。

PROFILEプロフィール

  • 國賀 由美子

    文学部歴史学科 教授



    大阪府生まれ。同志社大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。文学修士。1988年滋賀県立近代美術館学芸員、同主任学芸員、同専門学芸員を経て、2017年大谷大学文学部教授。
    平安末の後白河院政期を中心に、美術、とくに絵画作品から読み取れる歴史事象を考察してきた。また、美術館に在職してからは幅広い年代のものを対象に、まず作品を観て分析し、作品そのものが語ってくれる多くの事実を拾い上げられるよう努めてきた。中世絵巻物、そして近世から近代に至る「やまと絵」を中心に、なぜその作品は制作されたのか?を問い続けて行きたい。



  • 小学生の頃に買ってもらった本がきっかけで歴史に興味を持ち始める。高校の時に生徒会長をしていたこともあり、人と気軽にコミュニケーションを取ることができる。教師をしていた祖父や、高校の時の担任の先生に憧れて、将来は高校の社会科教員になる夢を叶えるため、大谷大学を選んだ。
    大学の授業はどれも面白く、もっと聞きたいと思う授業の場合は、積極的に先生の研究室に出かけていき、授業以外の場でもたくさんのことを吸収している。過去を学ぶ過程では、歴史上の人物が実際に扱ったものに触れる機会もある。机上の勉強だけではない多様な学びの中で、将来自分はどんな先生になりたいか、具体的に描いている。