小さい頃から勉強の優劣を点数で決められることに抵抗を感じていた青山さんは、4年間しっかり勉強ができる場として、自分のことを見つめ直せる哲学科を選びました。大学での学びはとても刺激的で、今までの人生で今が一番、勉強が楽しいと言います。哲学科の学びは人と話すことなしには成り立たないと思う一方で、自分の思いを言葉に出して表現することの難しさを感じてもいます。今を大事に、一歩ずつ「哲学している」毎日です。

04 意見を言える今が一番、勉強が楽しい

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藤枝:哲学科に入って来てみて、どう?
 
青山:哲学者とか哲学の考え方って全然知らなかったんですけど、それを知っていくうちに「こういう考え方ってこういう名前がついてるんや」って思ったり、「この問題はこんな名前がついてる問題なんや」っていうのがわかってくるので、知った気になりますね。
 
藤枝:それ、楽しいでしょ。今までモヤっとしてた考えが、こういう思想なんだ、ってわかっていく過程。
 
青山:はい。誰かが問題に対する解決を出しても、また別の人がそれにも問題点があるって言って、完全体が見られないっていうのも面白いなと思います。
 
藤枝:そうだね。哲学って、答えがない学問だって言われるんだけど、あらゆる学問は、最終的な答えが出てないから続いてるんだよね。医学だって、この病気に対してはこの治療法です、っていうのがないからこそ新しい薬が出たりするわけだし。そう考えると、答えが出ないというのは悪いことでも何でもなくて、次から次へと新しい答えを模索するのが学問の姿なんですよね。それを感じているっていうのは、すごく良いことだと思います。今のところ、面白く勉強してますか?
青山:はい。多分人生で、今が一番、勉強楽しいと思ってます。
 
藤枝:すごいな。そう言えるっていうのは、聞いてても嬉しいな。高校の時に感じてた数字で優劣をつけるという状況から離れたところでも、学問っていうのはあるんだってことを実感しますね。
 
青山:大学での勉強は、結果じゃなくて過程も見てくれるところが楽しいです。結果が違ってても、その過程に戻って「ここからはこう考えたら良かったよね」って言ってくれる人がいるので嬉しいです。今までは、出た答えに対して「それはダメです」って言われてたようなイメージだったので。
 
藤枝:勉強は、そういう測られかたしかされないものだと思ってたのか。哲学って、1人で本読んでるんでしょ、っていうイメージも、今となっては違うよね?
 
青山:全然。人がいないと成り立たないです。
 
藤枝:そうだよね。もちろん、本を読んで様々なことを吸収しておくってことはあるけど、もう一方で人と話したりすることは大事で、車の両輪みたいな感じですよね。でも今が一番楽しくて良いね。
青山:はい。今のところは「哲学科演習Ⅰ」が楽しいです。一番哲学科っぽくて。しかも、みんな考えてることがポンポン出てくるので、それがすごく楽しいです。高校生までは、意見なんて言わないか、発言するにしても手を挙げてからだったんですけど、大学生になってからは、発言して食いついて行かないと遅れちゃうみたいな。最近はグループで話し合うときも、「これってどういうこと?」って聞かれても「ここの言葉が足りなかったな」とか「こうやって説明したら良かったな」ってことを考えられるくらいまでには余裕が出てきました。
 
藤枝:やっぱり慣れてきて、みんな自分の意見を言っていいんだって思うようになってきたんだね。1年生のゼミを面白いと思ってくれるのは嬉しいです。同じテキストを読んでも、他の人がこれだけ違う考え方をするんだっていう「読みの可能性の多さ」も感じてくれると良いし、人の話を聞けるってことも、結構大事な力なのでね。他の人の話を聞いて受け止めるには訓練が必要なので、その力を1年生で養えているっていうのはいいね。

PROFILEプロフィール

  • 藤枝 真

    文学部 哲学科 教授



    1996年早稲田大学第一文学部哲学専修卒業。2001年大谷大学大学院博士後期課程哲学専攻満期退学。2004年博士(文学)。大谷大学任期制助手、京都光華女子大学・近畿大学・大谷大学・滋賀大学・大阪教育大学非常勤講師を経て、2005年に大谷大学文学部専任講師、2009年准教授。
    “科学が世界の在り方や人間の生を解明する”という現代にあって、なぜ宗教はいまだに存在し、そのような問題について関与し続けているのだろうか。様々な宗教がそれぞれ独自のことばを持つこと、そしてそのことばで語ることの意味について、また、宗教が社会で果たすべき倫理的責任について、キェルケゴール、ウィトゲンシュタイン、デリダなどを参照しつつ研究をすすめている。



  • 小さい頃から勉強の優劣を点数で決められることに抵抗を感じていた。いろいろ迷った末、さまざまな宗教について学べて、自分のことを見つめ直せる学問分野を探し、大谷大学の哲学科を選んだ。
    哲学科の学びは人と話すことなしには成り立たないと思う一方で、自分の思いを言葉に出して表現することの難しさを感じてもいる。高校生の頃から続けている茶華道のお稽古、アルバイト、映画研究部での活動、と充実した日々を送りながら、今を大事に、一歩ずつ「哲学」している。