小さい頃から勉強の優劣を点数で決められることに抵抗を感じていた青山さんは、4年間しっかり勉強ができる場として、自分のことを見つめ直せる哲学科を選びました。大学での学びはとても刺激的で、今までの人生で今が一番、勉強が楽しいと言います。哲学科の学びは人と話すことなしには成り立たないと思う一方で、自分の思いを言葉に出して表現することの難しさを感じてもいます。今を大事に、一歩ずつ「哲学している」毎日です。

02 勉強の優劣を点数で決められる感覚が嫌だった

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藤枝:高校ではどんな生徒だった?
 
青山:勉強は小さい時から苦手でした。成績を数字で決められるあの感覚が嫌で。優劣を点数で決められるのが好きじゃなかったし、そのレースに自分が参加してるってことも、それについていろいろ言われるのも嫌でした。
 
藤枝:なるほどね。それでも言われてしまうよね、点数が何点で、偏差値がいくつで、誰々さんよりも良かったとか。とにかく数字で劣ってるとか優れてるとか決められる感覚が嫌だったと。
 
青山:はい。自分ってちょっと変わってるなって思ったのが高3の大学受験の時ですね。みんなが真面目に勉強しだすのに、自分は何とかなるかなっていう感じでいて。実際、今まで何とかなって来てたんですよ。だから舐めくさってて(笑)。焦りは感じてたんですけど。
 
藤枝:それは興味深い話ですね。でも勉強が苦手だって言ってたけど、大学での勉強の様子を見てると、落ち着いてやってるような感じがするんだけど。まあ、哲学を中心にした大学での勉強と高校での勉強は違うところもあるので、面白くやれてるのかもしれないですね。点数で決められることの多い高校の勉強の中で、この教科は面白く感じたっていうのはありますか?
 
青山:国語で、先生が言う主人公の心境と、自分が読み取る心境が全然違って。でもその違いが面白いなって思ってて、点数は良くなかったんですけど、何となく好きでした。
 
藤枝:おそらく先生の読み方というのは、問題の答えとして正解とされる読み方なんでしょうけど、そうじゃない読みもできるんじゃないかと思って、それが面白かったということですね。それは大事なところだと思いますね。そういうふうな読み方も可能だっていう主張もできるはずですから。そこに面白さを感じるってことは、哲学をやるうえでも見込みがあるかもしれないね。国語以外に楽しかったことは?
青山:数学かな……。教えてもらって理解できた時はすごく楽しかったです。数字はめっちゃ苦手で計算もできないんで、一番嫌いですけど(笑)。あと、高3の生物はほとんどが映像授業で、恐竜の映像を見せてもらったんですけど、すごくリアルなんですよ。食いついて血がビシャ、みたいな(笑)。で、そういうのも研究して作るんや、って思って面白いなと思いました。
 
藤枝:映画が好きって言ってたし、もっと早いうちに見てたら、そういうのを作る道に進んだかもね。

PROFILEプロフィール

  • 藤枝 真

    文学部 哲学科 教授



    1996年早稲田大学第一文学部哲学専修卒業。2001年大谷大学大学院博士後期課程哲学専攻満期退学。2004年博士(文学)。大谷大学任期制助手、京都光華女子大学・近畿大学・大谷大学・滋賀大学・大阪教育大学非常勤講師を経て、2005年に大谷大学文学部専任講師、2009年准教授。
    “科学が世界の在り方や人間の生を解明する”という現代にあって、なぜ宗教はいまだに存在し、そのような問題について関与し続けているのだろうか。様々な宗教がそれぞれ独自のことばを持つこと、そしてそのことばで語ることの意味について、また、宗教が社会で果たすべき倫理的責任について、キェルケゴール、ウィトゲンシュタイン、デリダなどを参照しつつ研究をすすめている。



  • 小さい頃から勉強の優劣を点数で決められることに抵抗を感じていた。いろいろ迷った末、さまざまな宗教について学べて、自分のことを見つめ直せる学問分野を探し、大谷大学の哲学科を選んだ。
    哲学科の学びは人と話すことなしには成り立たないと思う一方で、自分の思いを言葉に出して表現することの難しさを感じてもいる。高校生の頃から続けている茶華道のお稽古、アルバイト、映画研究部での活動、と充実した日々を送りながら、今を大事に、一歩ずつ「哲学」している。